I LOVE YOU (尾崎豊の曲)
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音楽性と歌詞
尾崎豊が伝えたかったこと[12]
本作に関して須藤は、尾崎が『十七歳の地図』のレコーディングを通して、自身の中で音楽的要素が整理されていく中で制作した曲ではないかと推測している[13]。須藤は尾崎は吸収力があったと述べ、自身はギターのみで作曲していたがキーボードが入ってバンド形式となった時に、どんな形で音が構築されていくのかをレコーディング中の2~3週間で学び本作を制作したのではないかと須藤は述べている[13]。須藤は本作はアマチュアっぽさがなく、楽曲としてスタンダードになり得る完成度であった事から流行歌になったと総括している[13]。須藤は自身にとって尾崎の代表曲は「卒業」(1985年)であると述べたが、世間一般的には本作であり、後にリリースされ尾崎最大のヒット曲となった「OH MY LITTLE GIRL」(1994年)と比較しても本作は制作当初から評価が高かったと述べている[15]。
本作は恋愛関係にある男女の幸福を描いた曲であるにも拘わらず、「とてつもなく哀しく聞こえる」と須藤は述べている[12]。須藤はこの事について尾崎と議論を重ね、「人の命には、限りがあるからではないか」という結論に辿り着いた[12]。須藤は歌詞中の「若すぎる二人の愛には触れられぬ秘密がある」という箇所の解釈として、若すぎる為に生活力もなく、二人で暮らす事を社会が認めてくれない事が「秘密」であると述べている[12]。須藤は現実的に生きる力がない事を箱の中にいる子猫のイメージに例えた尾崎の詩人としての才能を称賛し、本作には決して一つになれないという10代の恋愛が持つ哀しさが全て融合されていると述べた他、本作がその後ライブなどで歌唱された際にも17歳の尾崎の瑞々しさを失わなかった理由として、「ラブソングの持つ永遠の魅力を、表現しきったからだと思う」と述べている[12]。
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、本作が結婚式の定番曲になっている事を指摘し、歌詞が「純粋で刹那的」である事から18歳で制作されたとは思えないと述べ、「しっとりと情熱的に歌われており、色褪せない永遠のラヴ・ソング」であると評価した[16]。著書『放熱の行方』においてノンフィクション作家である吉岡忍は、本作を「きれいだが、悲しみに満ちた歌」であると指摘し、「まぶしさの前で立ち止まり、そのまぶしさの裏側に隠されているのもを必死で探し当てようとしている姿がある」と述べている[17]。
注釈
- ^ 死後にリリースされたシングル『OH MY LITTLE GIRL』(1994年)が売り上げ枚数107.8万枚とミリオンセラーとなり、尾崎最大のヒット曲となっている。
- ^ 1984年の「アトミック・カフェ・ミュージック・フェスティバル'84」における骨折事故により「FIRST LIVE CONCERT TOUR」が9月から12月開始に延期、1987年の「TREES LINING A STREET」ツアーでは急病のため9月に倒れその後約半分の本数を残したままツアー中止となった事などから、各地のイベンターからは要注意人物とされていた[10]。
- ^ 3作品とも多くの尾崎の映像作品に携わってきた佐藤輝がプロデュースしている。
出典
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