DTP 代表的なDTPソフト、システム

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > DTPの解説 > 代表的なDTPソフト、システム 

DTP

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/22 06:49 UTC 版)

代表的なDTPソフト、システム

民生用

ワープロソフトやデザインソフトなど、DTPソフトではないものが使われる場合が多い。これらはパソコン用のプリンターで印刷する場合は問題がないが商業印刷特有の仕様に適合していないため、印刷を拒否されたり、原稿再調整のための作業料金を請求されることがある。なお対応業者は限られるが、PDF/Xで出力することで商業印刷特有の仕様に適合させる方法(いわゆるPDF入稿)もある。

  • Adobe Creative Cloud - Adobeのグラフィックデザイン・動画編集・ウェブデザインの統合パッケージ。月額・年額サブスクリプション制。買い切り版は存在しない。
    • Adobe InDesign - DTP業界における事実上の標準ソフト[8]で、民生用から業務用まであらゆる局面で使用されている。日本語組版機能は日本語版独自のもので[9]、非常に強力である。
    • Adobe Illustrator - デザインソフト。単ページの簡易なDTPで使用することがあるが、DTPソフトとしての機能はそれほど高くなく、欧米ではフィニッシュワークにはInDesignのようなレイアウトソフトを使うのが主流であるとして、Adobeの公式ブログでもInDesignを使うことが推奨されている[10]
  • Affinity Publisher - AffinityシリーズのDTPソフト。廉価であるため、欧米では人気がある。Adobe Illustratorの代替ソフトとして紹介されることもあるが、日本語組版機能は最低限のものしか備えておらず、右綴じ・縦書きができない。
  • CorelDRAW - デザインソフトだがDTPにも使える。日本語組版機能は最低限のものしか備えていない。
  • iWork - Apple純正のオフィススイート。全てのmacOSおよびiOS・iPadOS搭載機器で無料で利用できる。iCloud.comでは、他OSのウェブブラウザからでもKeynote for iCloud・Pages for iCloudを使用することができる。
    • Keynote - Microsoft PowerPointより高度なレイアウト機能を備えたプレゼンテーションソフト。PDF形式の出力も可能で、簡易なDTPにも使われる。
    • Pages - Microsoft WordやMicrosoft Publisherより高度なレイアウト機能を備えたワープロソフト。PDF・EPUB形式の出力も可能で、簡易なDTPにも使われる。
    • Numbers - 1ページに複数のスプレッドシートを持てるなど、Microsoft Excelより強力なレイアウト機能を備えた表計算ソフト。PDF形式の出力も可能で、簡易なDTPにも使われる。
  • JUST Office - ジャストシステムのオフィススイート。
    • 一太郎 - 日本語ワープロソフト。小説誌や簡易な新聞・会報の制作に強みを持ち、ワープロソフトの中では日本語組版機能が非常に強い。
    • 花子 - デザインソフトだが、簡易な単ページのDTPにも使える。学校のプリント制作などに便利なテンプレートが付属している。一太郎の上位版に付属しており、連携ができる。
  • Microsoft Office - マイクロソフト社のオフィススイート。Microsoft 365ではウェブブラウザからも使用することができる。
    • Microsoft Excel - 表計算ソフト。エクセルのセルを升目として使ってオブジェクトの配置を決めるExcel方眼紙と言うテクニックがあり、DTPソフトの代用として使われることがある。ただし作成画面・印刷プレビューどおりに印刷されず、ずれが生じることも多い。
    • Microsoft PowerPoint - プレゼンテーションソフト。簡易なDTPでも使われる。
    • Microsoft Publisher - 簡易DTPソフト。Microsoft Officeと同一のインターフェイスを持つことが特徴。単体販売、もしくはMicrosoft Office・Microsoft 365の上位エディションに同梱。右綴じができない。
    • Microsoft Word - ワープロソフトだが、簡易なDTPでも使われる。
  • パーソナル編集長 - ソースネクストの新聞用DTPソフト。会報や学級新聞などの簡易な新聞制作向けに特化している。テンプレートとして「段組み」が用意されているため、小説誌も作ることができる。2016年度の日本の一般向けのDTP市場におけるシェアは約8割(BCN調べ)。
  • ラベルマイティ - ジャストシステムが提供するラベル作成ソフト。ラベル・カード・チラシなどが作成できる、単ページのDTPソフト。店舗などのPOP制作に便利なテンプレートが付属した「POP in Shop」と言うパッケージもある。

業務用

大企業ですら業務用のデータ入稿にPowerPoint原稿を利用する場合が多いが[11]2021年現在、専門のデザイナーが手掛ける商業出版物では普通はAdobe InDesignが使われる[8]。業務用では、2000年代まではQuark XPressの利用者が多かったが、次第に日本語組版機能が充実していたInDesignにシェアを奪われた。

一方、辞書などの大規模組版や、複雑な数式が含まれた専門書、鉄道の時刻表といった、汎用のDTPソフトでは手に負えない特殊な組版に特化した業務用システムもある。

  • Adobe FrameMaker - マニュアルなどの大規模出版物に向く。
  • Adobe InDesign - DTP業界における事実上の標準ソフト。2020年代からは地方紙の新聞組版でも使用されている。
  • MC-Smart - モリサワ提供。表組や数式など、高度な組版機能を必要とする専門書に向く。また自動組版に対応し、大量のページがある辞書などに向く。
  • Quark XPress - 1990年代から2000年代にかけてはDTP業界の事実上の標準ソフトだったが、2010年代以降はその地位をInDesignに取って代わられた。

新聞組版システム

「新聞組版」という特殊な業態に特化している。ニュース配信の標準フォーマットである「NewsML」形式の記事を受け取って自動組版する機能などが必要とされる。

  • SUPER DIGITORIAL/EW - NECネクサソリューションズ製。書籍など一般の印刷物にも対応する汎用の業務用DTPシステムであるが、新聞特有の紙面レイアウトを組版する機能を持つ。また、予想紙などの特殊な組版にも対応している。
  • 新聞王システム - 東機システムサービス製。
  • 新聞統合編集システム - 東京ソフトウェア製。

フリーソフト

オープンソースのフリーソフトがいくつかあるが日本語組版機能への対応は不十分であるため、TeX以外のソフトは本格的なDTPには向かない。

  • Apache OpenOffice - OpenOffice.orgの直系の後継で、Microsoft Officeの代替ソフト。Linux, Windows, macOSで使える。ただ開発・バグ修正の停滞が常態化しており、兄弟関係にあるLibreOfficeの利用のほうが多い。
  • Inkscape - Adobe Illustratorに相当するデザインソフト。Linux, Unix, Windows, macOSで使える。単ページのDTPで使えるが、縦書き機能は不十分で、CMYKカラーでの出力には非対応。
  • LibreOffice - OpenOffice.orgの事実上の後継で、Microsoft Officeの代替ソフト。Linux, Windows, macOS, Solaris, FreeBSDで使える。Apache OpenOfficeとは兄弟関係である。
    • LibreOffice Draw - Microsoft Visioに相当するデザインソフト。単ページの簡易DTPにも使える。
    • LibreOffice Impress - Microsoft PowerPointに相当するプレゼンテーションソフト。複数ページの簡易DTPにも使える。
    • LibreOffice Writer - Microsoft Wordに相当するワープロソフト。簡易DTPにも使える。
  • Scribus - オープンソースのDTPソフト。Linuxでも使える。高度な組版機能を持つが、日本語組版機能は最低限のものしか備えておらず、右綴じ・縦書きができない。
  • TeX - 数学者が作成したソフトウェア。論文制作を目的としており、数式に関しては非常に高機能である。理系の大学を始めとした研究機関で多用されている。様々なOSで使用することができ、LaTeX, pTeX, TeX Liveなどの派生版も多い。ただしインストール・設定・カスタマイズなどの難易度が高く、それを解説するための書籍も多く販売されている。

販売が終了したソフト


注釈

  1. ^ 現場では、カラープロファイルを使って色の管理を図り、非PSのカラープリンターでも色校正ができるようなワークフローを確立しつつある。

出典

  1. ^ 『週刊ダイヤモンド』1988年10月15日号、p.32
  2. ^ 『コンピュートピア』1987年10月号、p.131
  3. ^ 『月刊印刷時報』1990年6月号、p.58
  4. ^ 『月刊印刷時報』1990年6月号、p.34
  5. ^ 『月刊貿易と産業』1987年10月号、p.71
  6. ^ 3年遅れの日本のDTP : 1984-94 公益社団法人日本印刷技術協会
  7. ^ DTPはMac OS X、CS3/4に移行したのか:アンケートに見る日本のDTPの現場
  8. ^ a b 20周年を迎えたInDesign日本語版が、日本でトップシェアになるまでの歴史 (1)”. マイナビニュース (2021年2月17日). 2023年4月6日閲覧。
  9. ^ 大谷イビサ「PostScript、デジタルフォント、InDesign 日本語DTPを当たり前にしたアドビの技術」『ASCII.jp』 角川アスキー総合研究所、2022年3月24日
  10. ^ こんなときはイラレよりInDesignが断然便利 ─画像配置&縦中横&ルビ編─ - Adobe Creative Station
  11. ^ Power PointをDTPソフト的に使う人が増えています。 - 印刷通販運営日誌


「DTP」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「DTP」の関連用語

DTPのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



DTPのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのDTP (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS