DLP
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/18 06:38 UTC 版)
2004年現在、プロジェクタ市場の47%を占め[3]、液晶式プロジェクタと市場占有率を争っていたが、2011年末ではDLPのシェアが1年でほぼ倍増した。世界のシアターのほぼ半数以上がデジタルシネマに移行したとし、これが2015年までには完了するだろうと発表した[4][リンク切れ][誰?]。
構造
白色に光るランプの光をレンズで集光し、DMDに当てる。DMDの個々のミラーがオン状態に傾いているときの光を他のレンズで拡大し、スクリーンに投影する。DMDミラーがオフ状態に傾いているときの光は投影レンズに入らずに捨てられる。
ミラーをオンにしている時間とオフにしている時間の比率で投影する点の明るさが制御される。すなわち、100%オン状態だと最大輝度の点になるし、50%オン・50%オフだと半分の輝度の点になる。
カラー画像を投影するためには、大きく分けて2つの手法が用いられる。
一つは、DMDを3個用い、光源も赤・緑・青の3つを用意する方法である。これは3板方式と呼ばれる。光源は実際には3つ用意するのではなく、白色光源をダイクロイックフィルターで3色に分離したものを用いる事が多い。
もう一つは、光源とDMDの間に高速で回転するカラーホイールを配置し、赤・緑・青の光を時分割でDMDに当てる方法である。これは単板方式と呼ばれる。赤色を投影したい場合には赤の光がDMDにあたっている瞬間だけミラーをオン状態にする[5]。
DMDを構成するミラーはマイクロ秒単位でオン・オフを変化させる事ができるため、このような手法を用いる事ができる。例えば、秒60フレームの映像を投影する事を考えると、1フレームあたりの投影時間は1/60秒=16667マイクロ秒である。これを赤・緑・青のための3つの時間に分割すると16667÷3=5556マイクロ秒となり、この時間内で256段階の明るさを再生するためには5556÷256=21.7マイクロ秒ごとにミラーのオンオフを切り替えられるようになっていなければいけない。オンオフの切り換えにミリ秒単位の時間がかかる液晶の場合、明るさの階調を表示する仕組みの違いを考慮しても、単板でカラー画像再生を行なうのは現実的ではない。
チップセット
テキサス・インスツルメンツ社はDLPシステム専用のCPUなどのICを開発し販売している。ARMアーキテクチャのCPUにDSP機能などを付加したDDPチップと、DMDミラーをリセットする電圧を供給するためのDADチップ、安定化電源とカラーホイールモーター制御などを司るPMDチップが用意されている。現在市場で使われているDLPプロジェクタのほとんどはDDPチップとDADチップを用いて作られている。
また、これらのチップを用いたソフトウェア開発を容易にするために、DLP Composerと呼ばれる開発ワークベンチがテキサス・インスツルメンツ社より提供されている。さらに、CodeWarrior用のDDP FPライブラリセットも用意されており、DLPプロジェクタの開発作業は原則としてこれらを用いて行なわれる事となる。
DLPの要となるDMDは画素数として、800x600、1024x768、1280x1024、1280x768、1280x720、1920x1080などの種類があり、パーソナルコンピュータ画像、テレビ画像、映画など用途に応じて選択される。
- ^ Texas Business
- ^ 日本では1998年に初めて商標登録されている(第4106085号ほか)。他社も別分野で登録している。
- ^ 日本TI プレスリリース 2005年2月15日
- ^ 2011/12/7 TIニュースリリース
- ^ アリの足先より小さな鏡”が生み出す映像美——DLPの魅力
- ^ TI PRESS RELEASE 6/8/2005
- ^ TI、プロジェクター携帯電話を実現する「DLP Pico」チップセットの量産化を発表
- ^ 根津貞著 『プロジェクターが携帯機器に載る』 日経エレクトロニクス 2008年8月11日号
- ^ 2011/01/05 TIニュースリリース
- ^ 2012/01/11 TIニュースリリース
- ^ “DLP 共焦点顕微鏡”. 2016年9月13日閲覧。
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