頭上の敵機 評価

頭上の敵機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/26 04:51 UTC 版)

評価

『頭上の敵機』はロスアンゼルスで1949年12月21日から、次いでニューヨークで翌年1月26日から上映され[19]、同年2月から全米で公開された[20]ボズレー・クラウザーニューヨーク・タイムズに寄稿した映画評がこの時代のこの映画の評価をよくあらわしているものとされる。クローサーは飛行機や機械ではなく人間に主眼を置いた映画である、と記している[21]タイムズは『頭上の敵機』を1949年の映画十傑に選出し、後年すべての映画の千傑に選出している[22]

プレミア試写会に参加した後、戦略航空軍団カーチス・ルメイ将軍は、観客に対して、この映画には完ぺきだ、と述べている。アメリカのあらゆるSL理論を採用する高級軍人養成学校で『頭上の敵機』を観ることが求められた。この映画は、軍事部門、民間部門の双方でリーダーシップの基本を教える教材として利用されている[23]

『頭上の敵機』のアメリカでの興行収入は$3,225,000だった[24]

日本での公開は1950年昭和25年)11月14日である[25]

受賞

『頭上の敵機』は第22回アカデミー賞助演男優賞(ディーン・ジャガー)と録音賞を受賞しているほか、作品賞主演男優賞(グレゴリー・ペック)にノミネートされた[2]第16回ニューヨーク映画批評家協会賞ではグレゴリー・ペックが主演男優賞を受賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー映画賞の候補にもなった[22]

1998年に『頭上の敵機』はアメリカ議会図書館アメリカ国立フィルム登録簿に文化的、歴史的、芸術的に顕著な作品として登録されている[26][27]

アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100にはフランク・サヴェージ准将が候補として選ばれている。

題名の由来

英語の原題"twelve o'clock high"は敵機の方向を示す用語で、"twelve o'clock"はクロックポジションで12時の方向(前方)、"high"は自身より上方に敵機がいることを表している("level"は自身と同高度、"low"は自身より下方)。つまり、"twelve o'clock high"を直訳すれば『12時の方向上』であり、この方向から敵機が接近していることを意味している。

初期型のB-17では機首正面方向が弱点とされており(この方向を射撃できる防御機銃が少ないため)、ドイツ空軍の戦闘機はこの位置からB-17を攻撃することが多かった。上方から急降下してくる敵戦闘機は相対速度の速さもあって難敵であった。

原作者の1人であるサイ・バートレットの妻で女優のエレン・ドリューが、バーン・レイ・Jrとバートレットが"twelve o'clock high"から攻撃してくるドイツ戦闘機の戦術について議論しているのを聞いて、この題名を決めたとされている。


注釈

  1. ^ テイベッツは広島に原爆を投下したB-29エノラ・ゲイの操縦士である。
  2. ^ 306×3は918である。
  3. ^ このトールマンの主張は映画撮影中に20世紀フォックスが発表した内容とも、ダフィンとマーセイスがThe 12 O'Clock High Logbook執筆用に行った調査とも矛盾する。 1961年にグレゴリー・ボードがB-17の単独飛行を行ったとEverything But the Flakの"The Amazing Mr. Board"章でマーチン・カイディンが記している[12]ほか、1947年にアート・ラセイがB-17を単独で飛ばしたとされているが、後者の事例は、ラセイがB-17を破損した際に天候によるもの、と記録されたためにあまり有名ではない。[13]

出典

  1. ^ "The Top Box Office Hits of 1950." Variety, January 3, 1951.
  2. ^ a b "The 22nd Academy Awards (1950) Nominees and Winners." oscars.org.]”. 2011年8月18日閲覧。
  3. ^ "Twelve O'Clock High Full credits."”. IMDb. 2009年10月21日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g クレジット無し
  5. ^ a b Bowman, Martin. “"12 O'Clock High."”. Osprey Publishing,. 2014年5月25日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h Correll, John T.. “The Real Twelve O’Clock High.”. The Air Force Association via airforce-magazine.com, Volume 94, Issue 1, January 2011. 2014年5月25日閲覧。
  7. ^ Duffin and Matheis 2005, p. 61.
  8. ^ a b c d Notes: Twelve O'Clock High.”. Turner Classic Movies. 2009年10月21日閲覧。
  9. ^ Filming locations: Twelve O'Clock High”. IMDb. 2009年10月21日閲覧。
  10. ^ Duffin and Matheis 2005, p. 87.
  11. ^ Trivia: Twelve O'Clock High”. Turner Classic Movies. 2009年10月21日閲覧。
  12. ^ Gregory Board”. 'IMDb. 2013年5月9日閲覧。
  13. ^ Cheesman. Shannon (2010年6月16日). “Boast + adult beverages = a B-17 on the roof.”. KVAL.com. 2012年2月5日閲覧。
  14. ^ The War Lover (1962)”. aerovintage.com (2007年10月28日). 2012年12月15日閲覧。
  15. ^ a b Orriss 1984, p. 149.
  16. ^ Duffin and Matheis 2005, pp. 65–67.
  17. ^ Locations: Twelve O'Clock High (1949)”. IMDb. 2009年10月21日閲覧。
  18. ^ Overview: Twelve O'Clock High”. Turner Classic Movies. 2009年10月21日閲覧。
  19. ^ Release dates: Twelve O'Clock High (1949).”. IMDb. 2009年10月21日閲覧。
  20. ^ Misc. notes: Twelve O'Clock High”. 'Turner Classic Movies'. 2009年10月21日閲覧。
  21. ^ Crowther, Bosley (1950年1月28日). “Twelve O'Clock High (1949)”. The New York Times. 2011年3月1日閲覧。
  22. ^ a b Awards”. Allmovie. 2009年10月21日閲覧。
  23. ^ Correll, John T.. “The Real Twelve O’Clock High”. Air Force Magazine, Vol. 94, No. 1, January 2011. 2014年2月7日閲覧。
  24. ^ Twelve O'Clock High (1949)”. IMDb. 2009年10月21日閲覧。
  25. ^ 頭上の敵機”. 映画.com. 2014年5月27日閲覧。
  26. ^ Awards: Twelve O'Clock High (1949)”. IMDb. 2009年10月21日閲覧。
  27. ^ Hooray for Hollywood - Librarian Names 25 More Films to National Registry”. Library of Congress. 2014年5月28日閲覧。
  28. ^ Duffin and Matheis
  29. ^ 番組ガイド:「頭上の敵機」「爆撃命令」”. 【海外ドラマ番組ガイド☆テレプレイ】. 2014年5月28日閲覧。
  30. ^ Orriss 1984, p. 122.






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「頭上の敵機」の関連用語

頭上の敵機のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



頭上の敵機のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの頭上の敵機 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS