非調和性 非調和振動子の量子論

非調和性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/13 05:36 UTC 版)

非調和振動子の量子論

非調和振動子のエネルギー準位

例として次のようなハミルトニアンで表される非調和振動子を考える。

非調和項が十分に小さい()として1次の摂動まで考えると、非調和振動子のエネルギー準位は次のように調和振動子のエネルギー準位からずれる[1]

ここでは、調和振動子の数演算子固有状態である。ここでを代入すると、生成消滅演算子についての16個の項が得られる。生成消滅演算子の昇降性により、ゼロでない期待値を与えるのは2個のと2個のを含む項のみである。よってこの項のみを計算すると、次のようになる。よって調和振動子のように等間隔なエネルギー準位ではないことがわかる。

非調和振動子と粒子像

フェルミ粒子の例

全ハミルトニアンが自由状態と非調和相互作用の和で表され、それらが2種類のフェルミ粒子生成消滅演算子で表される場合を考える。

この全ハミルトニアンは、ボゴリューボフ変換

によって次のような対角形になり、固有値を求める事ができる。

ここでは各量子のエネルギー、は系全体のエネルギーの自由状態からのずれである。よって相互作用ハミルトニアンに現れる関数の大きさに関わらず量子像は保存される。[2]

ボース粒子の例

全ハミルトニアンが2種類のボース粒子の生成消滅演算子で表される場合を考える。

このとき全ハミルトニアンの非対角項が消えるような変換ができるのは、

のときだけである。つまりボース粒子でボゴリューボフ変換が使えるのは相互作用が小さいときのみである。相互作用が大きいときには量子像が壊れるのみならず、エネルギーに下限が無くなり、物理的解釈が困難になる。[2]


  1. ^ リチャード・P・ファインマン著、西川恭治監訳「ファインマン統計力学」2009年、シュプリンガー・ジャパン
  2. ^ a b 高橋康 『多量子問題から場の量子論へ(物理のたねあかし1)』 講談社1997年3月ISBN 978-4061551015


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