青色本・茶色本 青色本・茶色本の概要

青色本・茶色本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/17 14:40 UTC 版)

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ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン(クリスティアーン・トニス画、1985年)

後に『哲学探究』において十全な形で考察される様々な思考の萌芽をそこここにみてとることができるこの2冊の講義録は、いわゆる「後期ウィトゲンシュタイン」として知られる哲学の起源に文献的な根拠を与えてもいる[1]

青色本

青色本は1933-34年に口述されたテキストであり、後に言語ゲームとして知られることになる概念が先駆的に導入されているという点で、1932年以降のウィトゲンシュタイン哲学の画期をなすとされている。記号の操作として思考を考察するという後期の著作では取り組まれていないテーマが含まれているが、それを可能にする確固とした言語規則という中期の考え方は認められない[3]。ここにみられる言語学的分析という手法は、その後日常言語の哲学として結実した。

茶色本

1934-35年の講義でウィトゲンシュタインはフランシス・スキナーとアリス・アンブローズに向かって口述を行い、テキストはタイプされて3冊のノートとして装丁された。これが表紙の色にちなみ「茶色本」と呼ばれるようになった。ウィトゲンシュタインは出版を検討しており、ドイツ語での改訂も試みたが、結局は無価値なものだとこの計画を放棄してしまった[2]

文献


  1. ^ a b Grayling, A. C., Wittgenstein: A Very Short Introduction (1988) Oxford University Press ISBN 0192854119
  2. ^ a b Wittgenstein, Ludwig, Preliminary Studies for the "Philosophical Investigations", Generally known as The Blue and Brown Books, (1958) Blackwell Publishers Ltd.
  3. ^ 野矢茂樹(2010)「『青色本』の使い方」ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン『青色本』大森荘蔵訳、ちくま学芸文庫 p.176


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