需要と供給 概説

需要と供給

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 00:03 UTC 版)

概説

需要

とくに貨幣などの購買力に裏づけされた需要を「有効需要」という[1]。貨幣経済では、(有効)需要量は、提供される財・サービスの価格、購入しようとする経済主体のの度合いや所得の程度によって決定されてくる[1]。一般には(あくまで一般論としてはであるが)価格が上昇すると需要は減少する傾向がある[1]。分かりやすく説明すると、価格が上昇すると経済主体の購入側の「購買意欲」が下がり、買おうとする行動が減る傾向がある。また、限定品や高級品などの少数品などに対して独占欲が刺激され、他の商品に対して異常な価格が付いたり、転売ヤーなど転売(独占)目的によるさらなる価格加熱により、さらなる購買意欲が減少で需要が減るということである。

供給

一般的な交換経済の場合は(あくまで一般的な交換経済の場合に限定した話であるが)、取引相手側が代価として提供するものが高い効用をもつときには、供給する側の供給しようとする意思は強くなり、結果として供給量は多くなる[2]。分かりやすく説明すると、買い手側が高い値段で買うと分かっていると、売り手側(商品やサービスを提供する側)は、より多くの財貨を得られる(だろう)という期待が膨らみ、より多くの財貨が得られるならば、より多くの苦労をすることも「それだけの財貨が得られるならば、その苦労も、もっと我慢でき、さらに苦労すれば、それ相応に得られるものがある(規模拡大的思考)」や「他者が効率的に財貨を得ているなら、自分達も真似して儲けよう(新規参入的思考)」などとと考える傾向があり、結果として供給への意思が強くなり、結果として供給者側の供給のための活動量が増え、実際に供給量が増える傾向がある、ということである。

競争市場では、市場価格は絶対的なものではなく、市場価格や取引数量は需要量の大きさと供給量の大きさの相対的関係に応じて変動し、そして決まる。

以下で示す需要・供給分析は、ある財(物品)・サービスの市場に注目した分析となるため、部分均衡分析と呼ばれる。(すべての市場を同時に分析するものを一般均衡と呼び、対照的に扱われる。)


注釈

  1. ^ フォン・マンゴルト関数で知られるドイツの数学者ハンス・カール・フリードリヒ・フォン・マンゴルト英語版の息子である。
  2. ^ なお、中世の荘園・公領においては、供給に必要な食料や人夫は雑公事及び夫役として現地の在地領主及び名主百姓の負担とされていた[15]

出典

  1. ^ a b c d 小学館『日本大百科全書』「需要」
  2. ^ a b 小学館『日本大百科全書』「供給」
  3. ^ a b c d 需要・供給の法則』 - コトバンク
  4. ^ 岩田規久男 『経済学的思考のすすめ』 筑摩書房、2011年、73頁。
  5. ^ スティーヴン・ランズバーグ 『ランチタイムの経済学-日常生活の謎をやさしく解き明かす』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2004年、196-197頁。
  6. ^ 日本経済新聞社編 『経済学の巨人 危機と闘う-達人が読み解く先人の知恵』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2012年、35頁。
  7. ^ a b c d e f g Humphrey, Thomas M. (1992). “Marshallian Cross Diagrams and their Uses before Alfred Marshall”. Economic Review (Mar/Apr): 3–23. https://www.richmondfed.org/-/media/richmondfedorg/publications/research/economic_review/1992/pdf/er780201.pdf 2022年10月29日閲覧。. 
  8. ^ Karl Heinrich Rau,Grundsätze der Volkswirthschaftslehre , 1841b., Heidelberg.
  9. ^ 池田浩太郎「K.H.ラウの『財政学の諸原理』初版--「初期ドイツ財政学」のStandardwerkの出現」2003,成城大学経済研究159号、p97~131
  10. ^ Dupuit, Arsène Jules Étienne Juvénal (1844): De la mesure de l’utilité des travaux publics, Annales des ponts et chaussées, Second series, 8.:On the measurement of the utility of public works. Trans. by R.H. Barback in Readings in Welfare Economics,ed. K.J. Arrow and T. Scitovsky. Homewood,IL: Richard D. Irwin, 1969, 255-83.
  11. ^ Grundriss der Volkswirthschaftslehre. Ein Leitfaden für Vorlesungen an Hochschulen und für das Privatstudium. Faksimile der 1863 in Stuttgart erschienenen Erstausgabe. Komm. von Peter D. Groenewegen, Karl Heinrich Kaufhold und Jochen Schumann. Wirtschaft und Finanzen, 1995, ISBN 978-3-87881-096-4. 英語訳 The exchange ratio of goods. E,Henderson訳
  12. ^ 1870. " The Graphical Representation of the Laws of Supply and Demand, and their Application to Labour",in Alexander Grant, ed., Recess Studies, ch. VI, pp. 151–85.
  13. ^ 類聚名義抄
  14. ^ 早川庄八「供給」(『日本史大事典 2』(平凡社、1993年) ISBN 978-4-582-13105-5)P967
  15. ^ 網野善彦「公事」(『歴史学事典 1 交換と消費』(弘文堂、1994年) ISBN 978-4-335-21031-0)P218





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