電磁弁
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概要
電磁弁は電磁石(ソレノイド)に電流を流すことで、プランジャと呼ばれる鉄片を吸引し、電流を切ると離れる原理を使用し、弁(バルブ)を開閉する仕組みを持つものである。用途としては、流体(油圧、空圧、水圧など)やガスなどを通す管での流れの開閉制御に用いられる[1]。通電の開閉には手動で開閉する方式もあるが、サーモスタットや圧力スイッチ、ヒューミディスタット、フロートスイッチなどを接続させて自動で開閉する方式のほうが多い[1]。
構造
電磁弁は大きく分けると電気エネルギーを機械運動に変換する「ソレノイド部」と、流路の開閉を行う「弁部」から構成される[2]。
弁部の構造
基本的には次の3つに分類できる[3]。
- ポペット式
- ストロークが短く構造が単純。弁体が流体圧力の影響を受けるが摺動部が無いので寿命が長く、漏れも発生しにくい。多ポート弁になると構造が複雑になる。
- スプール式
- 円筒形の筒の中に串形状の弁体を通したもの。流体圧力の影響を受けない。多ポート弁に見られる構造。
- スライド式
- 流路を設けたプレート上を弁体がスライドしながら移動することで流路を切り替える構造。多ポート弁に見られる。
特徴
電動機(モーター)で駆動する電動弁にくらべ、電磁弁は応答速度が速いことが特徴であるが、構造上、全開か全閉のいずれかの状態しか保持できない。このことから、中間を保持することで流量などを細かく制御できるタイプの弁と区別して、切替弁や方向制御弁と呼ばれることもある。ダブルソレノイド方式のものは無励磁を中立(閉鎖、締め切り)・一方の励磁(Aポートの開放)・他方の励磁(Bポートの開放)により、それぞれ油圧モーターの停止・正転・逆転あるいは油圧シリンダーの停止・伸び・縮みの切り替えに使うことができる。
主な用途
電気的駆動弁のうち約8割は電磁弁であり、さまざまな用途に合わせた電磁弁が開発、製造されている。身近では、全自動洗濯機や都市ガスなどに用いられる。用途によって、油圧用、空圧用、水圧用といった分類をされることがあるが、構造的に明確な違いがあるわけではなく、用途に応じた素材や形状が採用されているにすぎない場合が多い。
使用上の注意
電磁弁の開閉時にはサージ電流が発生するので、近くの電子機器を破損させる可能性がある。また、電磁弁までの配線経路で、電気的に絶縁されたケーブルを並行させて配線している場合でもケーブル(配線)のC(静電容量)成分があるため、サージの影響を受ける恐れがある。
- ^ a b c 石渡(1970):36
- ^ “電磁弁とは 電磁弁の構造”. 日本アスコ株式会社. 2016年11月6日閲覧。
- ^ “電磁弁とは 弁部の構造”. 日本アスコ株式会社. 2016年11月6日閲覧。
- ^ “電磁弁とは 電磁弁の種類”. 日本アスコ株式会社. 2016年11月6日閲覧。
- ^ a b c 石渡(1970):37
- ^ a b c 石渡(1970):38
- ^ 石渡(1970):39
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