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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 19:03 UTC 版)

コンテンツ

電子書籍は書籍出版の一形態と考えられ、米国ではそのページ内の情報はインターネット・ウェブと同様にコンテンツと呼ばれる。コンテンツそのものが多様な種類があり、これを提供する側もさまざまな関係者が存在する。従来の紙媒体で出版されていたコンテンツのカテゴリーを網羅することはもちろん、Kindleストアに見られるようなブログの有料配信モデルや絶版誌の復刻、クイズやパズル系のコンテンツなど紙媒体では存在しなかったようなコンテンツのカテゴリーも出版可能となっていることが強みの一つである。

価格設定と印税率

米国では一般的には著作者が値段を設定できることが多い。Kindleストアでは著者(あるいは出版者)は99セント~200ドルまでの間で任意の数字を売価として設定できるようになっている。著作者はコンテンツが販売されるごとに売価に対してストア側が決めた所定の印税率を掛けたものを印税として受け取れる。Kindleストアでは通常月末の45日~60日といったサイクルで印税が支払われる。そのため紙出版よりもはるかに速く印税を回収できる。

その他

既存物の権利

コンテンツの多くは紙媒体での出版を前提とした契約下で関係者が制作に携わったものであり、その電子化と公開ではそれら関係者の利権が絡み合い、デジタル情報ゆえに新たな契約が対象とする配布媒体・データ形態の範囲がわかりにくいなど、コンテンツの電子化にも技術面以外の様々なハードルが存在している。

著作権切れの無料コンテンツ

プロジェクト・グーテンベルク青空文庫のような著作権切れコンテンツも存在する。著作権切れの書籍などをデジテル情報による無料コンテンツへ加工する作業は、ボランティアや無償提供目的の公益の事業{などが行なっている。日本では国立国会図書館や複数の大学図書館、美術館などが著作権適用期間を過ぎた古い書物や古文書の電子化を行なっているが、これらは互いに異なるファイル形式で記述しているために、利用者には不便である[4]。これらの著作権切れコンテンツを自社のファイル形式に変換して無料で提供する商業的電子書籍流通網も少なくない。

世界的に日刊新聞の発行部数は下降しており、日本では出版業界も1990年中頃から後半にかけて販売が減少し、これらの電子書籍への参入を後押ししている。"Wall Street Journal"や"FOX"を保有する米Newsグループでは2009年から2010年に電子書籍への参入するとされる。"San Francisco Chronicle"や"ESPN"を保有する米Hearstも2009年に電子書籍への参入するとされる。米最大手の書店"Barnes & Noble"も2009年内に電子書籍販売サイトを立ち上げる。

図書館

公立図書館では2002年、北海道岩見沢市立図書館が電子書籍の閲覧サービスをはじめたが、需要が少なかったため、書店の指定した2カ月の無償での試行の後、取り止めとなった。2005年から奈良県生駒市立図書館が電子書籍端末「リブリエ」による電子書籍の閲覧・貸出サービスをおこなっている。

課題

著作権保護と可搬性

紙の出版物をデジタル情報化すれば、なんらかの複製制御の仕組みを配布方法や再生機器内に備えないと、デジタル情報は容易に複製物が作られるようになり、P2P型共有ソフトなどの違法な情報複製によって本来の著作物の販売が阻害されるなど著作権者の権利が侵害される可能性が高い。これを避けるために、電子書籍では当初からオンラインによる認証機能を設けたり、ダウンロードした端末以外で閲覧できないようにするといったハードウェア・キーを導入したりすることで広範な複製はおこなわれないようになっている。著作権者の権利保護はこれでほとんど問題がないが、利用者にとっては購入したコンテンツは特定の機器に縛られて他へ移動することが制限されるなど、可搬性は低下する。閲覧キーを購入する方式ではその損壊によって再生できなくなる。

しかし2010年代に入りクラウド化が急速に進み、利用者は購入した書籍を電子書籍流通会社の「書庫」に保存できるだけでなく、読み出しのための鍵も、端末が損傷するなどして使えなくなっても電子書籍流通会社のウェブサイトで書籍に購入と同じ程度の簡単な認証(無料)で他の端末に移動できたり、もともと同じアカウントを使用するように設定した一定数までの複数の端末で同時の読書を認めるなど、「回し読み」が可能な紙の書籍と同程度もしくはより優れた利便さへの改善が進んでいる。

デジタルデバイド

全国民が端末を持っているわけではないので、デジタルデバイド(情報格差)を生じる可能性がある。

出版社・書店の影響

電子書籍が流通すれば電子書籍出版社が直接著作者から出版権を購入し販売することになる。そうなれば出版社や書店は大打撃を受けると予想されている。日本国内の大手出版社は2010年2月に日本電子書籍出版社協会(仮称)を発足させアマゾンなど大手ネット書店に対抗する予定である[5]

日本市場特有の課題

  • 縦書きや日本語特有の組版の対応
  • 漢字OCR技術の向上
  • 外字の表示

注釈

  1. ^ biblio(TSY01)およびT002(TS002)は東芝が開発したauKDDI沖縄セルラー電話)向けの電子書籍アプリ対応携帯電話である。

出典

  1. ^ a b c d e "電子書籍リーダー". 小学館デジタル大辞泉. コトバンクより2024年1月2日閲覧
  2. ^ "電子書籍リーダー". 講談社IT用語がわかる辞典. コトバンクより2024年1月2日閲覧
  3. ^ クリスマスの売上、電子書籍が紙の本を超える 米アマゾン・ドットコム”. AFP BB (2009年12月27日). 2012年7月18日閲覧。
  4. ^ 国立国会図書館-National Diet Library:電子図書館の蔵書(2004年8月20日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  5. ^ 電子書籍化へ出版社が大同団結 国内市場の主導権狙い - ウェイバックマシン(2010年1月15日アーカイブ分)
  6. ^ 山口真弘 (2011年4月17日). “ΣBook(シグマブック)――パナソニック”. ITmedia eBook USER. 2024年1月2日閲覧。
  7. ^ 『新・読書端末「Words Gear」(ワーズギア)を開発』”. 松下電器 (2006年9月26日). 2012年8月14日閲覧。
  8. ^ 電子書籍端末売れず──ソニーと松下が事実上撤退 - ITmedia News(2008年07月01日)
  9. ^ ソニーもReaderの後継モデルについて言及、日本では…… - IT media eBookUSER、2014年8月6日
  10. ^ “BookLive!Reader Lideo保証期間外修理対応終了及び付属品の供給終了のお知らせ”. https://www.booklive.co.jp/archives/528 2017年7月21日閲覧。 






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