釜石線 運行形態

釜石線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 09:33 UTC 版)

運行形態

国道283号と並行して走る釜石線のキハ100形(2008年8月)
キハ110系3両編成で運行される快速「はまゆり」(2006年10月、遠野駅

各駅に停車する普通列車は、基本的に花巻駅 - 釜石駅間で2時間に1本程度運行されているが、朝には遠野発釜石行きの区間列車がある。また、一部の列車は東北本線を経由して盛岡駅発着で運転している。東日本大震災前には山田線に直通する宮古駅発着列車もあった。2010年12月3日までは釜石発いわて銀河鉄道線直通好摩行きも1本設定されていた。1994年3月30日から、盛岡車両センター配置のキハ100形気動車によるワンマン運転が行われている[14]

このほか、盛岡駅 - 釜石駅間に一部指定席の快速「はまゆり」が3往復運転されている。2002年11月30日までは、急行「陸中」として運転されていた列車で、回転リクライニングシートを装備した専用のキハ110系気動車が使用されている。このキハ110系は釜石線に初投入され、はじめは前面が黒色のブラックフェイスであったが視認性向上のために白系に塗り替えられたものである。快速「はまゆり」は基本的に3両編成である。当初キハ110系0番台だけを使用していたが、2007年から指定席に0番台を使用(一部自由席にも使用)し、自由席は100番台を使用している。従来使用していた0番台の一部は、気仙沼線の快速「南三陸」の指定席車両に充当されている。震災前の2010年3月13日改正時点では4号が宮古発で運転されていたが[18]、震災による山田線の不通に伴い釜石駅 - 盛岡駅間のみの運転となった。

列車番号は花巻から釜石方面が「下り」列車に付ける奇数で、その逆(釜石から花巻方面)が「上り」列車に付ける偶数である。

キハ100形導入前にはキハ52系キハ58系が使用されていた。

かつては東北本線 - 釜石線 - 山田線を回る盛岡発盛岡行きの循環急行列車五葉」と、逆回りの「そとやま」が存在した。また、かつての「五葉」・「そとやま」辺りと同様のルートを走る観光列車として、一時期「ぐるっとさんりくトレイン」なる列車が運行されたこともあった[19]

釜石製鉄所が高炉を24時間体制で操業していた時代には、山田線とともに夜勤者用に時刻表非掲載の深夜列車が運行されていた。1979年当時のダイヤでは、釜石を深夜の1時20分に発車し、終着の遠野には午前2時54分に到着していた[20]

JR東日本の路線におけるニホンジカカモシカと列車車両との接触事故は釜石線と山田線で約5割を占めるなど問題となっていたことから、2004年以降は岩手大学と共同開発した忌避剤の散布、2007年以降は線路沿線への侵入防止ネット設置、早朝と夜間のレーザー光照射などの対策を山間部で行ってきた[21][22]。2017年2月には運行車両のキハ100系1両に排障器を試験的に採用し、車両に接触しても運行への影響が少なくなるようにしている[22]

臨時列車の運転

宮守橋梁を走るSL銀河

このほか、当線には様々な列車が臨時に運行される。その代表的な列車が2014年4月12日から運行を開始した蒸気機関車C58 239牽引による列車「SL銀河」である。前身は、1989年から2001年にかけて毎年運行された蒸気機関車によるイベント列車「SL銀河ドリーム号」で、路線愛称である「銀河ドリームライン釜石線」と、「銀河鉄道の夜」にちなんだもの。2001年で一旦運行は打ち切りとなったが、その後も2004年、2012年と運行された。2014年度より、専用の蒸気機関車となるC58 239を新たに動態復元し、「SL銀河」として週末を中心に定期運行が行われたが、客車の老朽化により、2023年6月11日を最後に運行を終了した[23]

後継として2023年12月23日から主に土休日を中心にHB-E300系気動車による観光列車ひなび(陽旅)」が運行されている[24][25]

また、当線を管理する盛岡支社は、宮沢賢治の名前にちなんだジョイフルトレインKenji」を所有していた。この列車も、時折入線し、イベント運行を行っていた。

2020年12月から冬の2泊3日コースで周遊型寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」が花巻駅 - 遠野駅間に乗り入れている[26]。専用バスで乗客が遠野市に入り観光をしている間、車両は遠野駅まで回送。客乗せ後、折り返し花巻経由で次の目的地に向かう。なお、途中駅の有効長の関係などから花巻駅 - 遠野駅間は全駅通過、ノンストップで走行する。


  1. ^ a b c d e 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線 5頁
  2. ^ 日本国有鉄道電気局『鉄道電報略号』1959年9月17日、23頁。 
  3. ^ a b サステナビリティレポート2018 34頁 - JR東日本、2018年9月
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線 11頁
  5. ^ 「銀河鉄道の夜」地上モデルは 王子軽便鉄道沿線!?”. WEBみんぽう. 苫小牧民報社 (2016年11月28日). 2016年11月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月8日閲覧。 “同作は賢治の故郷の岩手軽便鉄道がモデルとされるが、” - この苫小牧民報の記事では日高本線の前身王子軽便鉄道・浜線の沿線風景がモチーフではと指摘する論文がまとめられたことを報じているが、論文著者は「岩手軽便鉄道説を否定しているのではない。」としている。
  6. ^ 釜石線 駅名標デザイン - JR東日本建築設計
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 鉄道ジャーナル』第21巻第1号、鉄道ジャーナル社、1987年1月、112-113頁。 
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 通巻21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線 10頁
  9. ^ 「煙突つきのトンネル 釜石線に国鉄が初の設計」『朝日新聞』昭和26年1月9日
  10. ^ 記念スタンプ「郵政省告示第325号」『官報』1950年10月11日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. ^ a b “釜石線 全線復旧”. 交通新聞 (交通協力会): p. 2. (1981年9月19日) 
  12. ^ “高性能気動車を投入”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1991年7月9日) 
  13. ^ “JR釜石線自動制御に移行 7駅が無人化 地元に不満残したまま”. 岩手日報 (岩手日報社): p.2 (1993年10月2日 夕刊)
  14. ^ a b 『JR気動車客車編成表』'96年版、ジェー・アール・アール、1996年、pp.55,191
  15. ^ 鉄道ファン』第37巻第12号、交友社、1997年12月、54-57頁。 
  16. ^ 2023年5月27日(土)北東北3エリアでSuicaがデビューします!』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道盛岡支社・秋田支社、2022年12月12日。 オリジナルの2022年12月12日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20221212054051/https://www.jreast.co.jp/press/2022/morioka/20221212_mr01.pdf2022年12月12日閲覧 
  17. ^ 北東北3県におけるSuicaご利用エリアの拡大について 〜2023年春以降、青森・岩手・秋田の各エリアでSuicaをご利用いただけるようになります〜』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2021年4月6日。 オリジナルの2021年4月6日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210406050454/https://www.jreast.co.jp/press/2021/20210406_ho02.pdf2021年4月6日閲覧 
  18. ^ 『JTB時刻表』2010年3月号、JTBパブリッシング、pp.626-627
  19. ^ “山田・釜石線をぐるり”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (2001年5月8日) 
  20. ^ 石野哲『時刻表名探偵』日本交通公社、1979年、pp.77、79。このダイヤは盛岡鉄道管理局の運転時刻表が出典と記されている。
  21. ^ 釜石線をシカから守れ JR東、衝突回避へ薬剤散布 - 河北新報、2019年8月17日
  22. ^ a b 釜石線シカ対策による輸送障害発生防止の取り組みについて』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道 盛岡支社、2017年4月21日。 オリジナルの2017年6月19日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20170619090627/http://www.jr-morioka.com/cgi-bin/pdf/press/pdf_1492754416_1.pdf2017年6月22日閲覧 
  23. ^ 「SL銀河」の運行終了について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道盛岡支社、2021年11月19日https://www.jreast.co.jp/press/2021/morioka/20211119_mr01.pdf2022年11月14日閲覧 
  24. ^ ~岩手・青森の新しい観光列車~「ひなび(陽旅)」2023 年 12 月 23 日デビュー』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道盛岡支社、2023年9月27日。 オリジナルの2023年10月10日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20231010141148/https://www.jreast.co.jp/press/2023/morioka/20230927_mr02.pdf2023年10月29日閲覧 
  25. ^ 新しい観光列車「ひなび(陽旅)」2023 年 12 月~2024 年 2 月運転日のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道盛岡支社、2023年10月20日。 オリジナルの2023年11月1日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20231101060855/https://www.jreast.co.jp/press/2023/morioka/20231020_mr02.pdf2023年12月8日閲覧 
  26. ^ 「TRAIN SUITE 四季島」2020年度12〜3月出発分のコース詳細および申込受付開始、“STAY SMILING”の取組みについて』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2020年6月10日https://www.jreast.co.jp/press/2020/20200610_ho01.pdf2023年2月28日閲覧 
  27. ^ 各駅の乗車人員”. 東日本旅客鉄道. 2023年10月9日閲覧。






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