部品取り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 03:49 UTC 版)
自動車の場合
自動車では、廃車となりナンバープレート(車籍)を外され、解体業者で積み上げられる直前の状態である公道を走行不能となったものを指す。バスやタクシーの車両にも、そのような例は存在する。
日本で2005年(平成17年)4月1日に施行された自動車リサイクル法により、廃車時の処理費用がユーザー負担となった背景には、ディーラーと解体業者の間に国が割り入って管理している形が挙げられる。ボンネットや足回りはOEMや姉妹車、機能部品になるとプラットフォームの共有化で他車種でも転用できる可能性があるため、多くの修理工場が修理部品のコストを低く済ませようとする場合、あるいは新品部品がない場合はこの部品取り車から流用する場合が多い。 ユーザーがその車によほどの愛着がない限りは廃車となってしまうことが多い現在において、外装部品・機能部品はマニアやエンスーの手により早めになくなってしまう。その部品がすべて剥ぎ取られた状態が、解体済みのドンガラとして解体業者の敷地に積み上げられる。
ちなみに、特定の車種を多く擁する場合(タクシー会社など)だと、耐用年数やダメージなどの関係で本来なら廃車にされる車両を部品取りとして保有している場合もある。その一例として、陸上自衛隊においても73式小型トラック(旧型)をニコイチ目的で廃車にしている。この理由としては一般の旧車とほとんど同じで、市販型三菱・ジープの生産終了により起こりうるメンテナンスパーツの枯渇に備えるためである。旧来車両の用途には新型車では代替できない分野もあるという事情もあり、部品取りの確保を目的として、耐用年数が規定に達した車両は、走行可能な状態であっても廃車としているのである。警察が保有するパトロールカーにおいても、既存資産の有効活用と部外者による悪用の防止を目的に、走行不能となった個体は、部品取り車として倉庫内で厳重に保管され、使用可能な部品がなくなり次第、解体処理が行われる。
またカスタムカーの世界においては、エンジンスワップなど何か一部分をごっそり移植しようと考えた場合に、部品取りが丸ごと用意される場合もある。 その理由には
- 予想外のパーツが必要になったがために、発生する不具合(作業がストップする、想定外の費用が発生するなど)を防ぐ。
- 車体丸ごと買ってしまった方が、単体で買い揃えるより安い、またはパーツ調達の手間が省ける。
- 部品取り車の状態にもよるが、パーツ単体ではないので、部品の動作確認が容易な場合がある。
が挙げられる。
- ^ 「譲渡対象から外れた編成から数両を抜き出して部品取り車として購入するケース」、「編成単位で購入後に短編成化で余った車両を部品取り車にするケース」、「同型車両を複数購入して必要分を差し引いた残りの車両を部品取り車にするケース」など事業者や車両の事情で変わってくる。
- ^ 三岐鉄道三岐線でも事故廃車の代替として部品取り車を整備して現役復帰させた事例がある。ただし豊橋鉄道とは異なり事故車とは別形式の部品取り車を流用したために残った車両とは前面形状など一部の形態が異なっている。
- ^ "고장난 KTX 부품 멀쩡한 차량에서 떼내 교체"(「故障したKTX部品 正常な車両からはずして交換」)2006年10月13日、ノーカットニュース
- ^ “水没F2戦闘機「復活は3分の1」 修理費は1機あたり50億〜60億円”. MSN産経ニュース (産経デジタル). (2011年5月19日). オリジナルの2011年5月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ “6回目となる旧型AIBOの葬儀は4月26日に 110体以上の献体が届く”. ロボスタ. (2018年4月19日)
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