被覆空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 23:56 UTC 版)
定義
位相空間 C から X への連続全射 p : C → X が被覆写像であるとは、すべての点 x ∈ X に対し x の開近傍 U が存在し、逆像 p−1(U) が共通部分をもたない C の開集合の和集合で表され、各開集合が p の制限写像により U と同相であることをいう[2]。このとき C を被覆空間、 X を底空間という。被覆写像や被覆空間のことを単に被覆と呼ぶこともある。
底空間の点 x における逆像 p−1(x) は x 上のファイバーと呼ばれ、離散空間となる[2]。
定義中に現れる点 x の特別な開近傍 U は、均一被覆近傍[訳語疑問点]と言う。均一被覆近傍は、空間 X の開被覆となる。均一被覆近傍 U の C における同相なコピーを、U 上のシートと言う。一般に図示するときには、被覆空間 C は底空間 X 上に「浮いて」いて、 p が「下向き」に写像し、U 上のシートは、U の「真上方向に水平に積み重なって」いて、x 上のファイバーは、x の「真上」にある C の点であることが多い。特に、被覆写像は局所的には自明である。このことは局所的には、均一被覆近傍 U の逆像 p−1(U) の U × F の上への準同型 h が、各々の被覆写像が射影と同型であることを意味する。ここに F はファイバーであり、局所自明化条件、つまり、U の上への U × F から U の上への射影 π : U × F → U に対して、射影 π と準同型 h との合成は、前像 p−1(U) から U 上への写像 π ∘ h であり、従って、導かれた合成 π ∘ h は p に局所的に(p−1(U) の中では)等しい。
他の定義
被覆写像の定義では位相空間 C と X にある種の連結性を課すこともある。特に弧状連結や局所弧状連結を要請することが多い[3][4]。実際、多くの定理はこれらの条件の下でしか成り立たない。被覆写像の全射性を要請しない場合もあるが、もし C が弧状連結で空でないならば全射性は他の公理から従う。
- ^ Bredon 1993, Theorem 8.1.
- ^ a b c Munkres 2000, p. 336.
- ^ Lickorish 1997, Definition 7.1.
- ^ Bredon 1993, Definition 3.1.
- ^ Sunada T. (2012), Topological Crystallography ---With a View Towards Discrete Geometric Analysis---", Surveys and Tutorials in the Applied Mathematical Sciences, Vol. 6, Springer
- ^ Munkres 2000, p. 338.
- ^ Munkres 2000, p. 339, Theorem 53.3.
- ^ Bredon 1993, Definition 6.1.
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