至聖所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/16 08:26 UTC 版)
旧約聖書の記述
幕屋の至聖所
年に一度、ユダヤ暦の第7の月の10日、贖罪日に大祭司のみが入ることを許された空間である。アカシヤの木枠に布を掛けて外界から仕切られた、一辺を10キュビトとする立方体の空間で、契約の箱が安置されていた。また、香の祭壇も至聖所内にあり、契約の箱を直接見ることがないよう、至聖所内を煙で満たしたとされる。そして荒野では、至聖所の上空に、昼には雲が、夜には火が留まっていたと伝えられる。
エルサレム神殿の至聖所
列王記上 6章の記述によれば、一辺を20キュビトとする立方体であり、内壁を彫刻の施された杉の板で覆われ、天井から床に至るまで金がかぶせられた。そしてこの中には、高さ10キュビト、翼の長さが5キュビトのケルブの木像2体(複数形はケルビム、ロシアではヘルビム)が設置され、この木像にも金がかぶせられた。このほかの、契約の箱が安置されたことや、過越の祭りの前の贖罪日に大祭司1名のみが入ることを許された点などは、幕屋と同様である。
正教会の至聖所
正教会では聖書および伝統に倣い、聖堂内部に神品とその補助者だけ(いずれも男性のみ)が入ることを許される場所が設けられ、これを至聖所と呼んでいる。イコノスタスで聖所と区分されている。
至聖所の中心に、聖体機密(聖体礼儀)が執行され、聖堂でも最も重要な[1]宝座がある。
正面左奥には奉献台がある。聖爵といった聖器物が安置され、聖体礼儀に必要な物品(パンと葡萄酒)を整える奉献礼儀がここで行われる。
至聖所には他にも、福音経が宝座に安置されているほか、燭台、ディキリとトリキリ、リピタといった祭具など、様々な祭具が置かれている。
イコンがあるのは、他の聖堂の場所と変わらない。
参考文献
- ミハイル・ソコロフ著、木村伊薩阿克訳『正教奉神禮』日本正教会(明治24年)
外部リンク
- ^ ミハイル・ソコロフ著、木村伊薩阿克訳『正教奉神禮』日本正教会(明治24年)
- 1 至聖所とは
- 2 至聖所の概要
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