自由 「Freedom」と「Liberty」

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自由

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/27 01:27 UTC 版)

「Freedom」と「Liberty」

ウジェーヌ・ドラクロワ民衆を導く自由の女神』(1833年),自由を寓意的に表した代表的な絵画。1789年8月26日人間と市民の権利の宣言(フランス人権宣言)第4条は「他人を害することのないもの全てをなし得ること」を「自由」と定義した。[1]

英語の「Freedom フリーダム」と「Liberty リバティ」は、ともに自由と訳される。現在、この2つの語はほぼ同じ意味で用いられるが、その意味合いはいくらか異なっている。

フリーダムは古英語の「frēo」に由来する。これは古インドヨーロッパ語の「prijos」や「prēy-」、あるいは古ドイツ語の「frijaz」に起源をもち「好む、愛」の意味を持つ。北欧神話のフレイフレイヤも同じ語源による。古アイルランド語の「ríar」はウェールズ語の「rhydd」と対応し現在の英語の「free(自由な)」に直接対応している。古代ギリシア語では「πρᾶος(praos, 温和で、優しい)」[2]保守を意味する場合がある。

一方でリバティはラテン語liber」の「社会的・政治的に制約されていない」「負債を負っていない」という意味から、英語の「liberal(形:自由な)」や「liberty(名:自由)」の語源となった。自由主義の「liberalism」はこれによる。また「liberate(動:解放する)」、「liberator(名:解放者)」、「liberation(名:解放)」も同じ語源による[3]。「liber」は古英語に入り「leod」となり、こちらは「leader」の語源とされている[4]進歩を意味する場合がある。

両者の共通点は、現在的意味合いの自由とは異なる意味で用いられた点である。英語「freedom」と「liberty」の用法にも残っているが、近世までは特権を意味する語であった。奴隷の持ちえない権利を有している状態が「freedom」または「liberty」であった。1729年に出版された辞書によれば、権利付与や時効によって得られる高貴なる者の特権と定義され、但し書きで「一部で、各人が思うように行動できる力という意味でも用いられてきている」と言及されている[5]


注釈

  1. ^ 三省堂大辞林(第三版)「自由」①[1]による。このほかに②物事か自分の思うままになるさま、③わがまま気まま、の意味。
  2. ^ ミルや20世紀初頭のアメリカの自由主義的判例(ルイス・ブランダイズやベンジャミンカルドーゾなど)の要約による
  3. ^ デュルケームは、ギリシア語の anomos(法がないこと)に由来するアノミー概念を提唱し、制限のない自由が個々人をかえって不安定に陥れることを問題とした。

出典

  1. ^ 1789年8月26日の人及び市民の権利宣言(フランス人権宣言) ミネソタ大学人権図書館 2015年3月15日閲覧
  2. ^ ウィクショナリー「freo」wiktionary:en:freo
  3. ^ 神田外語大学「語源のたのしみ」第38回2004年1月 石井米雄[2]
  4. ^ ウィクショナリー「freo」wiktionary:en:freo、「leod」wiktionary:en:leod
  5. ^ 松浦高嶺『イギリス近代史論集』第4章「18世紀のイギリス」、山川出版社、2005年。
  6. ^ 「法窓夜話」穂積陳重[3]P.109
  7. ^ 「日本漢語と中国」鈴木修次中央公論社1981
  8. ^ デジタルで読む福沢諭吉・西洋事情・初版[4]
  9. ^ 小関武史「明治の日本が作り出した新しい言語 (平成15年秋季公開講座 近代を思考/志向する言語--ヨーロッパと日本)」『一橋法学』第3巻第3号、一橋大学大学院法学研究科、2004年、1001-1012頁、doi:10.15057/8702ISSN 13470388NAID 110007619918 
  10. ^ goo辞書「自由」(3)[5]
  11. ^ 和俗童子訓 巻之一 貝原益軒 1710年
  12. ^ 「法窓夜話」穂積陳重
  13. ^ 「合意形成と生命倫理」加藤尚武(東京大学(笑)グローバルCOE2009-8-8)[6][7][8]


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