続巷説百物語
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狐者異
11月半ば。無類の不思議話好きの山岡百介は、殺しても殺しても生き返るという極悪人の噂を聞く。その男は、斬首される度に蘇り、今、三度目のお仕置きを受けたというのだ。ふとした好奇心から、男の生首が晒されている小塚原縄手の刑場へ出かけた百介は、山猫廻しのおぎんと出会う。おぎんは祇右衛門に遺恨があると言うのだ。(『怪』第七号 掲載)
登場人物
- 祇右衛門(ぎえもん)
- 異名:稲荷坂の祇右衛門(いなりざか の ぎえもん)
- 斬首されるたびよみがえるといわれる極悪人。当年55歳。香具師の元締めで浅草新町の公事宿世話役だった。髑髏を頭に乗せた狐の刺青が腹にあるのが特徴。
- 遊行する宗教者達や旅芸人、無宿人や野非人といった世の中の枠組みからはずれた者達を配下とし、町奉行所や弾左衛門の臨時狩り込みの情報を事前に流したり、住居仕事を斡旋したりと便宜を図る代わりに、彼らを束ねて様々な形であがりを吸い上げていた。しかも配下を人扱いせず、弱みにつけ込んでありとあらゆる悪事の道具として使っていたという稀代の悪党で、同じ悪党連中にとっても身内を食い物にする目の上の瘤として疎まれた。だが、無宿人を自在に操りながらも常に一人できちんとした組織は持たないので本人の居場所が皆目判らず、自らは全く手を汚さないという巧妙な手口から、南北両奉行所、火盗改メ、弾左衛門まで敵に回してものうのうと悪事をしていた。
- 15年前、10年前、そして今回の計3回首を斬られている。素性は判っているものの、捕らえられた全員が同じ出自を語り、消せない証までもが同じなので、記録上は同姓同名の別人扱いで、齢も生国も判らないことにされている。
- 又市やおぎんと過去に関わりがあった。当時の因縁については「前巷説百物語」を参照。
- 笹森 欣蔵(ささもり きんぞう)
- 北町奉行所吟味方筆頭与力。額に大きな福徳痣があるのが特徴。吟味方与力の中では一番、北町でも5本の指に入る凄腕の剣客だった。
- 1ヶ月前に両国の小料理屋の隠し部屋に潜匿していた祇右衛門を召し捕えたが、首を晒して間もなく祇右衛門を名乗る者の配下とおぼしき不逞の輩に誘拐される。
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