続巷説百物語
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船幽霊
冬の始め。淡路島の狸騒動ののち、おぎんと共に四国へ向かった百介。そこで、何者かにつけられていることに気付き、追手を巻こうとするが、帯刀した不審な集団に命を狙われ、自分達をつけていた右近に助けらて旅を再開する。おぎんは旅の目的が小右衛門のルーツである川久保党に会うことだと語るが、巷で起きる船幽霊騒動は川久保党の仕業だという噂が流れ始めており、百介はこれに何者かの思惑を感じ取る。(『怪』第九号 掲載)
登場人物
- 窪田 桓三(くぼた かんぞう)
- おぎんと百介に襲いかかってきた男。実は、かつて小松代藩で千代の方のお付から楓姫のお世話役になり、現在は土佐で関山兵五の右腕になっている。
- 文作(ぶんさく)
- 二ツ名:祭文語りの文作(さいもんがたり の ぶんさく)
- 土佐の逃散百姓という。土佐の韮生あたりの小さな荘園から逃げてきたらしく、百介たちの会話を聞き、協力する。得体のしれない老人で、国境の番所も刀も持ったまま難なく超えている。
- 太郎丸(たろうまる)
- 阿波と土佐の国境、剣山あたりに棲まう川久保党の党首。平家の落人である年老いた末裔。すさまじい火薬技である、飛火槍という技術を持っているため諸藩から狙われている。娘の千代は小右衛門の妻になるはずだったが、小松城の殿様に見初められてしまう。
- 関山 兵五(せきやま ひょうご)
- 土佐藩御船手奉行。かつての小松城藩次席家老・関山将監の息子。領内で頻繁する凶事は怪異ではなく川久保党の仕業だと触れを出す。
- 千代(ちよ)
- 太郎丸の娘で小右衛門のかつての許嫁。故人。おぎんと瓜二つの容姿であったという。
- 山を降り小松代藩に仕官した小右衛門の元へ行くが、当時の藩主・小松代忠教に見初められて無理矢理側室にされ、小右衛門が将監を斬って脱藩した後に楓姫と志郎丸の2児を産む。藩主の死後はお家騒動に巻き込まれ、楓姫を残して生まれたばかりの志郎丸と共に城を離れて失踪し、15年程前に35歳で亡くなる。
- 久保 源兵衛(くぼ げんべえ)
- 天明年間における久保家の当主で、本家筋では最後の人物。故人。豪胆な人物で、木挽や木地師と共に冬谷川の轟釜と呼ばれる滝壺で猛毒を使う空川流しを行ったとされる。その結果、凶事が相次ぎ、最後には川を堰き止めるほど大規模な山崩れが起こり、久保村に居た一族全員と家来、雇い百姓諸共、一夜にして土芥の下に消えた。
- 関山 将監(せきやま しょうげん)
- 小松代藩の次席家老。故人。かつては山奉行として川久保党との交渉役を担っており、天明の事故の後も飛火槍の製法を教えるよう執拗に要求していた。30年以上前、奸計を巡らせて千代を捕らえて藩主に差し出したが、小右衛門が脱藩する際に斬られて死亡した。
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