穴熊囲い 概説

穴熊囲い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/01 15:10 UTC 版)

概説

端の香車を一つ前進させ空いたマス目に玉将を移動させる様子が、まるで穴蔵に潜るように見えることからこの名が付いたと言われている。古くは「岩屋」や「獅子のホラ入り」などとも呼ばれていた。

一般的には正方形にまとまった形になっており、そのままでは王手がまったく掛からない、などといった特徴がある[1]

穴熊囲いの歴史 - 「振り飛車穴熊」と「居飛車穴熊」

歴史をさかのぼると、もともと穴熊囲いは振り飛車で用いられた囲いであり、江戸時代から存在する戦法であった。現在いうところの振り飛車穴熊のほうが先に、江戸時代からあったのである。 ただし穴熊(振り飛車穴熊)は、1960年代ころまではプロからの評価は低く「穴熊などやるようでは強くなれない」[2]という偏見もあった。

しかし、1970年代に入ると大内延介らによって穴熊囲いの優秀性が示された。その後、田中寅彦らにより対振り飛車戦で居飛車側が穴熊に囲う居飛車穴熊が整備され、猛威を振るった。現代では、その居飛車穴熊にどう立ち向かうかが振り飛車側の大きな課題の一つとまでなっている。また、平成期には居飛車対振り飛車の対抗型だけでなく相振り飛車戦、さらには矢倉戦や角換わり戦などの相居飛車戦でも隙を見て穴熊囲いに組み替える場合が頻繁に出現した。現在は、将棋AIの影響もあり、プロ棋界では相居飛車の穴熊囲いが現れることは稀になっている。

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囲いが完成するまでに他の囲いよりも手数がかかるため、組んでいる途中で攻撃を仕掛けられた場合の対処方も研究しておく必要はある。


注釈

  1. ^ 先手が振り飛車の場合は3九と4八に置いたり、3九と4九に置いたりすることがある。相振り飛車のときは3八と4八もあり得る。
  2. ^ 松尾本人は「松尾流穴熊」について「もともとあった形」と発言しており、松尾が多用して勝率を上げたことからこの呼称になったと思われる。
  3. ^ 「松尾流穴熊に組めたら勝率8割」と言われている。渡辺明:四間飛車破り 居飛車穴熊編”. 棋書解説評価委員会. 2024年1月29日閲覧。

出典

  1. ^ a b c d e f g 将棋連盟公式サイト記事。一瀬浩司、2017年11月06日「堅い囲いを作って、ガンガン攻めよう。穴熊囲いの組み方・特徴は?」
  2. ^ 『日本将棋用語事典』p.8より引用。
  3. ^ 週刊将棋 2004, p. 66.
  4. ^ セクシーな男(松尾歩八段)【叡王戦24棋士 白鳥士郎 特別インタビュー vol.11】”. ニコニコニュース オリジナル. 2023年5月13日閲覧。





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