知的障害 診断

知的障害

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 15:32 UTC 版)

診断

Levine and Marks 1928 IQ分類[7][8]
IQ範囲 IQ 分類
175以上 Precocious
150–174 Very superior
125–149 Superior
115–124 Very bright
105–114 Bright
95–104 Average (平均的)
85–94 Dull
75–84 Borderline(境界例)
50–74 Morons
25–49 Imbeciles
0–24 Idiots

基本的には、知能指数が100に近い人ほど人数が多い。しかし、知能指数の種類によっては最重度まで正確な存在数比率を出せない場合もある[9]

歴史的には、Albert Julius LevineとLouis Marksは1928年の著書Testing Intelligence and Achievementにてカテゴリ分類を提案した[10]。この表で用いられている表現は、知的障害のある個人を分類するための現代的な用語に由来するものである。

教育の分野では、軽度の生徒を「教育可能」、中度の生徒を「訓練可能」と分類する。医学的に考えると精神年齢は12歳以下と推定される(厚生労働省などの発表)。

ボーダー(境界域)
知能指数は70 - 85程度(精神年齢に換算すると11歳3か月以上12歳9か月未満)。知的障害者とは認定されない。
軽度 F70
知能指数は50 - 69程度(7歳6か月以上11歳3か月未満)。理論上は知的障害者の8割あまりがこのカテゴリーに分類されるが、本人・周囲ともに障害の自認がないまま社会生活を営んでいるケースも多いため、認定数はこれより少なくなる。生理的要因による障害が多く、大半が若年期の健康状態は良好。
成人期に診断され、療育手帳が支給されないこともよくあるという。近年は障害者雇用促進のために、精神障害者保健福祉手帳(とくに3級程度)の所持者が増える傾向にある。[注釈 3]
中等度(中度)F71
知能指数は35 - 49程度(5歳3か月以上7歳6か月未満)。合併症が多数と見られる。
精神疾患などを伴う場合は、療育手帳の1種(重度判定)を満たすこともできる。
重度 F72
知能指数は20 - 34程度(3歳以上5歳3か月未満)。大部分に合併症が見られる。多動や嗜好の偏りなどの問題が現れやすい。
自閉症を伴う場合、噛み付きやパニック、飛び出しなど問題行為が絶え間ないケースが多い。
精神障害者保健福祉手帳の対象とはならない。
最重度 F73
知能指数は19以下程度(精神年齢3歳未満)。大部分に合併症が見られる。寝たきりの場合も多い。しかし運動機能に問題がない場合、多動などの問題行為が課題となってくる。
重度と同様、精神障害者保健福祉手帳の対象とはならない。

多元的アプローチによる分類

多元的アプローチによる分類としては、以下のようなものが挙げられる[11]。また、AAMR第9版においてなされている定義では、(1)精神遅滞の概念を広げること、(2)IQ値によって障害のレベルを分類することはやめること、(3)個人のニードを、適切なサポートのレベルに結びつけること、の3点を意図している。

一時的(intermittent)
必要なときだけの支援
限定的(limited)
期間限定ではあるが、継続的な性格の支援
長期的(extensive)
少なくともある環境においては定期的に必要な支援
全面的(pervasive)
いろいろな環境で長期的に、しかも強力に行う必要がある支援

大島分類表

大島分類

運動能力と知能指数による分類として、大島一良による大島分類が使用されている。左の表は大島分類の表に障害別の大まかな分布範囲を表記したものであるが、個人差があることに注意されたい。

大島分類では、分類1 - 4に該当するものを定義上の「重症心身障害児」(ただし、児童福祉法上の話であり、学校教育法上は、重度重複障害の一種にすぎない)とし、分類5 - 9に該当するものを「周辺児」と呼んでいる[12]

判定

日本では以下の通り公的機関による知的障害の判定が行われる。

18歳未満の場合は児童福祉法に基づく児童相談所が知能指数と生活能力、就学能力を総合的に判断して知的障害の判定を行う。 18歳以上の場合は知的障害者福祉法に基づく知的障害者更生相談所(設置する地方自治体によって名称が異なる場合がある)が知能指数と生育歴、生活能力、就業能力を総合的に判断して知的障害の判定を行う。 都道府県知事もしくは政令指定都市の長は判定機関の判定書に基づいて療育手帳の交付を行う。

障害者雇用促進法においては児童相談所及び知的障害者更生相談所の他、地域障害者職業センター精神保健福祉センター精神保健指定医が職業能力評価の一環として知的障害の判定を行うことができる[13]。 ただし同法に基づいた判定書は障害者雇用促進法に関する事項にのみ使うことができる。例えば知的障害の判定を受けた者は障害者雇用の対象になり、雇用率算定の対象となる。しかし、所得税法による障害者控除の対象とならず、療育手帳の交付事務に対しては参考材料にしかならない。


注釈

  1. ^ ただし非常に稀ではあるが、ダウン症の青年(女性)が大学(国文学科)に進学し、卒業した事例もある。
  2. ^ 自閉症が情緒障害に分類されることもあるが、自閉症は先天性の脳機能障害である。
  3. ^ 広義的に発達障害者と支援が準じているため、精神保健福祉法など適用される場合がある。

出典

  1. ^ 小島道生「知的機能に関する制約と支援」橋本創一ら〔編〕『障害児者の理解と教育・支援』金子書房、2008年。[要ページ番号]
  2. ^ a b c d e “Identification and evaluation of mental retardation”. American Family Physician 61 (4): 1059–67, 1070. (February 2000). PMID 10706158. https://www.aafp.org/afp/2000/0215/p1059.html. 
  3. ^ a b c "Definition of mentally retarded". Gale Encyclopedia of Medicine.
  4. ^ “Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 301 acute and chronic diseases and injuries in 188 countries, 1990-2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013”. Lancet 386 (9995): 743–800. (August 2015). doi:10.1016/S0140-6736(15)60692-4. PMC 4561509. PMID 26063472. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4561509/. 
  5. ^ a b 土田耕司「「障害者雇用促進法」改正の背景に関する考察」『川崎医療短期大学紀要』第37号、川崎医療短期大学、2017年、 15-18頁、 doi:10.18928/00000980ISSN 0287-30282020年12月17日閲覧。
  6. ^ Myers SM, Johnson CP (2007). “Management of children with autism spectrum disorders”. Pediatrics 120 (5): 1162–82. doi:10.1542/peds.2007-2362. PMID 17967921. 
  7. ^ "LevineMarks1928p131"
  8. ^ "KamphausWinsoretalpp57–58"
  9. ^ 障害評価の最近の話題 -知能指数と遷延性意識障害- - waybackのキャッシュ
  10. ^ [Levine, Albert J.; Marks, Louis (1928). Testing Intelligence and Achievement. Macmillan. OCLC 1437258. Retrieved 23 April 2014. Lay summary (23 April 2014)]
  11. ^ 小島道生「知的障害に関する制約と支援」橋本創一ら〔編〕『障害児者の理解と教育・支援』金子書房、2008年。[要ページ番号]
  12. ^ 加藤昭和「重症心身障害者への地域支援」橋本創一ら〔編〕『障害児者の理解と教育・支援』金子書房、2008年
  13. ^ 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則(昭和51年労働省令第38号) 第1条の2
  14. ^ a b c サイモン・バロン=コーエン 『自閉症スペクトラム入門 脳・心理から教育・治療までの最新知識』、2011年8月、21-22頁。ISBN 978-4805835234 
  15. ^ 日本医家列伝 鈴木昶 大修館書店、2013年、ISBN 9784469267457 p94-p95
  16. ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社、2009年、ISBN 9784334035013
  17. ^ a b c 黒木美佳, 大和明日香, 中坪晃一, 田村光子、「知的障害者の雇用の状況と課題 : 大学における就労事例を通して」 『植草学園短期大学紀要』 2012年 13巻 p.39-45, doi:10.24683/uekusat.13.0_39, 植草学園
  18. ^ 矢野川祥典, 是永かな子、「知的障害者の一般就労における環境設定の実態と課題 : 卒業生への合理的配慮の提供を目指して」『高知大学教育学部研究報告』 2016年 76巻 p.77-83, 高知大学教育学部
  19. ^ 米澤旦、「福井県における障害者への就労支援を通じた社会的包摂の試み : コミュニティネットワークふくいを事例として」『社會科學研究』 2014年 65巻 p.117-134, 東京大学社会科学研究所。
  20. ^ 森口弘美, 久保真人、「障害のある人の就労の現状と障害者自立支援法の問題点 ― 社会参加の機会平等の観点から」『同志社政策研究』 2007年 1号 p.42-52, doi:10.14988/pa.2017.0000011086, 同志社大学政策学会
  21. ^ a b 鈴木紀理子・阿部崇・小曾根和子・柘植雅義・鈴木紀理子・阿部崇・小曾根和子・柘植 雅義 (2018). “意思の推察と本人・保護者との対話を含む意思決定支援を基盤とした合理的配慮の提供 : 重度知的障害児への合理的配慮が本人主体であるために”. 筑波大学特別支援教育研究 12: 51-64. 






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