甲州法度次第
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/01 06:20 UTC 版)
現代への影響
『民法修正案理由書』によると、日本民法典起草の際に参照されたことが明記されており[12]、現行法にその影響が残っているものもある。
- 信玄家法第40条:親の負物其の子相済すべき事勿論なり。子の負物親方へ之を懸くべからず。但し親借状加筆は其の沙汰あるべし。若し又早世に就き親其の跡を抱ゆるに至っては逆儀たりと雖も子の負物相澄すべき事。
- 民法旧986条(参照後):家督相続人ハ相続開始ノ時ヨリ前戸主ノ有セシ権利義務ヲ承継ス 但前戸主ノ一身二専属セルモノハ此限ニ在ラス
- 民法896条(現行法):(相続の一般的効力)相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
つまり、相続において承継されるのは財産権のみに限られると誤解される虞があるところから、負債を始めとする「義務」一般をも原則的に承継することを注意的に規定したのである。
書誌情報
- 萩原頼平 編 国立国会図書館デジタルコレクション 『甲州法度之次第解 : 附・弓矢之秘事六ケ条並御備書付之事』甲斐志料刊行会、1936年 。
- 隈崎渡「国立国会図書館デジタルコレクション 信玄家法 上・下」 『戦国時代の武家法制』国民社、1944年 。
- 内藤慶助「国立国会図書館デジタルコレクション 甲州法度之次第」 『武田信玄事蹟考』啓成社、1904年 。
脚注
- ^ 三浦1925, p. 1295.
- ^ 三浦1925, p. 1298.
- ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ). “甲州法度”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2020年7月10日閲覧。
- ^ 三浦1925, p. 1296.
- ^ a b 平山 2006, p. 129.
- ^ 隈崎 1944, p. 262.
- ^ a b 平山 2006, pp. 129–130.
- ^ a b 平山 2006, p. 130.
- ^ 柴辻俊六著『戦国大名領の研究』(1981・名著出版)より[3]。
- ^ 海老名真治「武田氏との同盟とその交渉」黒田基樹 編『シリーズ・戦国大名の新研究 第1巻 今川義元』(戎光祥出版、2019年6月) ISBN 978-4-86403-322-0 P243-244.
- ^ 三浦1925, p. 1311.
- ^ 「民法修正案理由書 第四編親族第五編相続」251・252頁
- 1 甲州法度次第とは
- 2 甲州法度次第の概要
- 3 現代への影響
- 4 参考文献
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