甲を着た古墳人 意義

甲を着た古墳人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 01:15 UTC 版)

意義

小札甲を身につけ、衝角付冑や矛・弓矢・砥石など豊富な所持品を持ち、その状態で火砕流に巻き込まれた古墳時代人遺体の発見などというのはこれまでに例がなく、考古学史に残る貴重な成果となった。甲を着た古墳人をはじめとする出土人骨を科学分析することで、その成分や形質的特徴から出身地や当時の食生活・生業の種類など、具体的な古墳時代の生活・社会像を明らかにすることが期待されている[12]

当人骨だけでなく、金井東裏遺跡と隣の金井下新田遺跡(併せて金井遺跡群)は、榛名山噴火に一瞬にして巻き込まれたことで首長居館を含む当時の集落全体が良好な状態で埋没・発見されており『世紀の発掘』とも形容される貴重な発見が相次いでいる[13]

甲を着た古墳人の甲冑は、群馬県渋川市の、県埋蔵文化財調査センター「発掘情報館」で所蔵展示されている[14]

甲を着たぐんまちゃん

「甲を着た古墳人」の発見をPRするため、群馬県および群馬県埋蔵文化財調査事業団は、ご当地キャラクターであるぐんまちゃんを甲冑で武装し、を持たせて「甲を着たぐんまちゃん」をデザインした。公開当初は古墳人が調査途上であり衝角付冑が見つかっていない段階だった。このため 「甲を着たぐんまちゃん」 は、群馬県で多くみられる武人埴輪(東京国立博物館所蔵の「埴輪 挂甲武人」などが著名)の甲冑姿をイメージしてか、頭の冑は武人埴輪が装備しているような6世紀代から出現する「竪矧広板鋲留衝角付冑」様のものでデザインされた。

しかしその後、CTスキャンにより古墳人の頭部下から冑が見つかり、その形式が5世紀から使われている「横矧板鋲留衝角付冑」であることが判明したため、ぐんまちゃんのデザインも修正された[15]

脚注

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注釈

  1. ^ 1990年代以降、研究の進展により、「挂甲」という語が奈良時代の小札甲の一種を示す言葉であることが明らかとなってきて、2000年代ごろから古墳時代の小札で縅した甲に「挂甲」の語をあてるのは不適切であることが指摘され、現在の考古学界では「小札甲」や「札甲」と呼ぶようになってきている[4]

出典






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