牽引自動車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 16:42 UTC 版)
アメリカ合衆国における牽引自動車
運転免許
運転免許の制度については州ごとに決めているため全米一律の規則は無い。おおむね共通する傾向としては、車両の重量で区分され最大のものはClass A、重量や定員に制限が加わることでB、Cと区分のアルファベットが下っていくこと。もう一つは給与や報酬の対価として運転をする場合は、貨物・旅客問わず営業運転免許(CDL、Commercial Driver License)が必要なこと。それ以外は細部が異なっており、一口に牽引自動車の免許と言っても細かいことも含めれば州によって違いがある。
例えばニューヨーク州の場合。
免許区分 | 運転できる車 | 牽引、その他条件 |
---|---|---|
Class A (CDL) | 重量・定員の制限なし | 牽引可、重量等の制限なし |
Class B (CDL) | 総重量26,000ポンド超 | 牽引不可 |
Class C (CDL) | 旅客運送+貨物運送 総重量26,000ポンド以下 |
牽引不可 |
Class D | 総重量26,000ポンド以下 | 牽引可、10,000ポンド以下 連結総重量26,000ポンド以内であれば、被牽引車の単体総重量が10,000ポンドを超えることも可能 |
Class DJ | 総重量10,000ポンド以下 | 牽引可、3,000ポンド以下 16~17歳限定 |
Class E | 旅客自動車運送事業 総重量26,000ポンド以下 定員14名以下 |
貨物運送事業の運転業務不可 |
16歳~17歳までが取得できるClass DJで運転できるのは総重量10,000ポンド(約4.53t)以下の乗用車及び貨物車、被牽引車は総重量3,000ポンド(約1.36t以下)という規則がある。つまり制限はあるものの、DJ免許に牽引資格も含まれている。それより上の免許も被牽引資格が含まれており、且つ運転できる車や被牽引車の重量が大きくなっていく。日本の普通~中型に近い位置づけのClass Dでは総重量26,000ポンド(約11.79t)以下、被牽引車は総重量10,000ポンド(約4.53t)以下で、連結総重量が26,000ポンド以下であれば被牽引車の総重量は10,000ポンドを超えることも可能。ここまでは自家用免許で、賃金や対価が発する営業車両に運転乗務することはできない。Class Eは旅客自動車(バス、タクシー)用免許で、運転できる車はClass Dと同じ総重量26,000ポンド以下且つ定員14人以下となっており、貨物自動車は運転できない。その上のClass CからClass AまではCDLとなり、ニューヨーク州にはこれらの自家用免許は設定されていない。Class CはClass Eに貨物自動車運転資格を付与したもので牽引は含まれない。大型車に相当するClass Bは総重量26,000ポンド超で牽引無し。大型+牽引に相当するClass Aでは牽引車・被牽引車共に制限がなくなる[14]。
テキサス州は免許区分の名称以外はニューヨークとは異なっている。テキサスの運転免許はClass A~Cの3区分にオートバイ用のClass Mを加えた合計4区分で、A~Cは自家用とCDLがある。普通自動車に相当するのはClass Cで、その自家用免許で運転できる車は総重量26000ポンド以下で、被牽引車は総重量20000ポンド(約9t)以下の農業用被牽引車に限定される。Class C CDLは定員16~23人の中型旅客自動車用となっている。Class B自家用は総重量26000ポンド超の車と、総重量10000ポンド以下の各種被牽引車、20000ポンド以下の農業用被牽引車を運転することが可能。Class Aになると制限がなくなる。Class B CDLは26000ポンド超の車と10000ポンド以下の被牽引車、定員24人以上の旅客自動車が運転できる。Class A CDLは重量・定員の規制は無い[15]。
この二州を比べると、免許の名前は同じでも運転できる車が違うのが分かる。牽引自動車を見ると、Class Aならば重量制限がないのは両者とも共通だが、テキサスは自家用とCDLの両方が用意されている。つまりもし自家用の大型キャンピングカーを運転する場合、テキサスであれば自家用Class Aを取得して運転することもかのうだが、ニューヨークではCDLであるClass Aを取得するしかない。またテキサスはClass BとCは被牽引車の農業用途規定があり総重量の上限が異なっているが、ニューヨークにはそのようなものはない。両者ではそもそも免許の建付けや前提が異なっているのがわかる。
注釈
- ^ a b トラクターとトレーラー及びトレーラーヘッドとリヤカーはそれぞれが対で使われる事が多い。トレーラーヘッドを単にヘッド、アタマと言う場合もある。運送業界やトラックディーラーでは、トラクターを頭、トレーラーを尻、ケツ、台車、等の日本語の通称で言っても概ね通じる。
- ^ 亀の子トラクター対応の車載トレーラーは自動車重量税が課税される。
- ^ トレーラーの長さは法律で12 m以下と定められているが、連結部のキングピンから車輌最後端までを規制対象としているので法令違反には当たらない。
- ^ 消防法により危険物車輌ではフルトレーラーは認められていない。
- ^ 2004年3月1日の道路交通法改正による。それまでは3.8 m。
- ^ 1950年4月14日、神奈川県横須賀市の国道134号を走行中の京浜急行電鉄(現・京浜急行バス)が運行するトレーラーバスの客車で、乗客が煙草に火をつけた際に投げ捨てたマッチが、別の乗客の持ち込んだガソリンに引火。客車はたちまち炎上したものの、牽引自動車ならではの構造から運転席と客席が分離されていたため運転士が騒ぎに気付くのが遅れ、結果的に50名近い死傷者を出すこととなった。なお、この事故を機に道路運送法が改正され、車両への危険物の持込が禁止された。
- ^ なおトレーラーが旅客自動車運送事業の用に供されるものであり旅客運送目的で運転する場合には牽引第二種免許が必要となる。
出典
- ^ a b “トラック早分かり”. 公益社団法人全日本トラック協会. 2023年11月閲覧。
- ^ a b 「サそれぞれイエンスがプレミアム」極限のクルマ技術 巨大輸送『BS11デジタル』2010年8月15日
- ^ 全長約35m! 多段18速MT採用! 公道不可の超巨大トレーラーが存在するワケ
- ^ a b “1点の写真から読み取る日韓の明暗”. JBpress (2011年7月7日). 2020年7月20日閲覧。
- ^ “ECU controlled intelligent lift axle dropping and lifting system for heavy trucks”. Engineering Science and Technology, an International Journal (2019年6月3日). 2020年7月21日閲覧。
- ^ a b c “Axle loading: pusher vs mid-lifts”. TE Transport Engineer (2019年11月6日). 2020年8月9日閲覧。
- ^ a b c “TANDEM AXLE LIFT”. Volvo Trucks. 2020年7月21日閲覧。
- ^ “Why does raising the lift axle make sense? Functions and advantages simply explained!”. KRONE TV. Krone Trailer Official Youtube Channel (2019年2月7日). 2020年7月20日閲覧。
- ^ “事業用トラックの種類”. 全日本トラック協会. 2009年7月16日閲覧。
- ^ “主要な道路の解説”. 国土交通省. 2011年9月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月16日閲覧。
- ^ “新規格車”. 国土交通省関東地方整備局. 2009年7月16日閲覧。
- ^ “ドイツにおけるバスドライバーの不足と事業者による 人材確保・育成の取り組み” (PDF). 交通経済研究所. 2018年10月15日閲覧。
- ^ a b c “ヨーロッパ各国における乗用車の安全要件” (PDF). JAF. 2018年10月15日閲覧。
- ^ Filieau, George (2013年9月2日). “New York State driver license types and classes” (英語). New York DMV. 2023年3月9日閲覧。
- ^ “Classes of Driver Licenses | Department of Public Safety”. www.dps.texas.gov. 2023年3月9日閲覧。
- 1 牽引自動車とは
- 2 牽引自動車の概要
- 3 種類と特徴
- 4 用途・積荷による分類
- 5 特有現象
- 6 アメリカ合衆国における牽引自動車
- 7 脚注
牽引自動車と同じ種類の言葉
自動車に関連する言葉 | 消防車 清掃車 牽引自動車 牽引車 自動二輪車 |
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