煉瓦 煉瓦のメリット

煉瓦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/22 05:29 UTC 版)

煉瓦のメリット

  • 原材料の土と水が安く入手が容易[16]
  • 製造技術が低くても一定の規格・基準の製品が作れる[16]
  • 大工や石工、建築士などの技術がなくても家が建てられる[16]
  • 断熱性がある[16]
  • 焼成煉瓦は耐久性が50-100年ある[16]

煉瓦建築

ヨーロッパでは煉瓦は古代から多くの建物に用いられてきたが、教会、宮殿、公共建築など本格的な建物の場合、構造が煉瓦造でも表面を漆喰や石で仕上げることが多い。赤煉瓦のままの建物は古風なものか、工場、倉庫など簡素なものである。しかし、イギリスなどで中世趣味のため、あえて赤煉瓦のままとすることがある。

アフリカ大陸の降水量の少ない地域では、古くから日干し煉瓦が用いられており、モロッコアイット=ベン=ハドゥの集落マリ共和国ジェンネなど、美しい町並みが世界遺産として評価され登録される例もある。

日本

レオンス・ヴェルニーの指導の下で製造された国産第二号煉瓦とされる「ヨコスカ製鉄所煉瓦」の刻印部分。1866年頃から製造され、観音埼灯台、野島埼灯台、品川灯台、城ヶ島灯台等の建造に使用された。

日本で最初期に造られた煉瓦建築は幕末の反射炉である。ヘンドリック・ハルデスレオンス・ヴェルニートーマス・ウォートルスリチャード・ヘンリー・ブラントンお雇い外国人の指導で官営事業を中心に煉瓦の製造、建設が始まった。1870年、日本初の煉瓦(当初は煉化あるいは煉化石とも呼ばれた)工場が堺県(現在の大阪府堺市)に設立された。銀座煉瓦街の建設の際は大量の煉瓦を必要としたため、東京の小菅に煉瓦工場が築かれた。日本では明治初期まではフランドル積み(フランス積み)構造が多く用いられた(長崎造船所、富岡製糸所、銀座煉瓦街等)が、その後はほとんどイギリス積みになった。フランドル積みの方がより優美に見えるが、イギリス積みの方が合理的で堅固であると考えられたためである[22]。例えば、東京駅の外壁を見ると、どの列にも小口が並んでおり小口積みのようであるが、これは表面仕上げに小口煉瓦を用いているためで、主構造はイギリス積みである。

明治中期頃には煉瓦職人も増え、一般的な技術の一つになった。煉瓦造建築は濃尾地震で被害を受けたため、鉄骨で補強する構造なども工夫された(赤坂離宮、東京駅など)。また、大正時代には鉄骨造建築の壁を煉瓦で造ったり(郵船ビルなど)、鉄筋コンクリート造建築の一部を煉瓦造とする混構造も見られた。しかし、煉瓦を構造に用いた建物は関東大震災で大きな被害を受けた。浅草の凌雲閣(十二階)が倒壊したことは象徴的であった。震災以降、煉瓦造は小規模な建物以外には用いられなくなり、鉄筋コンクリート造が主流になった。

煉瓦造の代表的建造物

ねじりまんぽ。アーチによって跨ぐ対象物の軸線とアーチ上部の軸線が斜めに交わる際に用いられる技法で、アーチの煉瓦を捻って積む。正式には「斜架拱」もしくは「斜拱渠」と呼ぶ。1888年(明治21年)建造の琵琶湖疎水の物が有名だが、これはさらに古い1887年(明治20年)建造の東海道本線「甲大門西橋梁」(穂積〜大垣間)[23]。琵琶湖疎水の物以外は全て鉄道構造物である。

赤煉瓦ネットワーク(煉瓦建築の保存を目的とした全国組織)による「20世紀 日本赤煉瓦建築番付」(2000年(平成12年)、藤森照信ら監修)に、上記の建築物のうち、東の横綱に東京駅横浜赤レンガ倉庫富岡製糸場、西の横綱に大阪市中央公会堂江田島旧海軍兵学校今村天主堂が選ばれた(ちなみにこの番付では国指定の重要文化財年寄扱い)。

ホフマン窯

煉瓦を焼くために築かれたホフマン窯が日本国内に4か所ほど残っている。貴重な産業遺構である(栃木県、埼玉県等)。

煉瓦造風建造物

  • 深谷駅 - 東京駅の煉瓦を焼いた工場が深谷にあったことから、煉瓦造風の駅舎を建てた。構造は煉瓦造ではなく、煉瓦タイルで装飾したものである。

ギャラリー

ギャラリー(国産黎明期の代表的煉瓦の刻印)

煉瓦関連の施設

日本の生産地
博物館など

  1. ^ デジタル大辞泉,世界大百科事典内言及. “磚とは” (日本語). コトバンク. 2022年5月18日閲覧。
  2. ^ 「煉瓦という建築材料は、日本の建築の歴史の中では、ごく最近建築に用いられはじめた材料」(清水慶一『建設はじめて物語』大成建設、16頁)
  3. ^ a b 建設コンサルタンツ協会誌 Consultant VOL.269 October 2015 著:水野信太郎 p013
  4. ^ brick” (英語). www.etymonline.com. 2022年5月19日閲覧。
  5. ^ Brickwork: Historic Development - Gerard Lynch”. www.buildingconservation.com. 2022年5月19日閲覧。
  6. ^ Brick making” (英語). Heritage Crafts (2017年4月30日). 2022年5月19日閲覧。
  7. ^ ヴィッキー・レオン『古代仕事大全』原書房、2009年、292頁。
  8. ^ 消えた煉瓦の行方 - なぶんけんブログ”. www.nabunken.go.jp. 奈良文化財研究所. 2022年5月18日閲覧。
  9. ^ 日本煉瓦史の研究 〈オンデマンド版〉 著:水野信太郎、発行:法政大学出版
  10. ^ れんがの歴史(全国赤煉瓦協会)
  11. ^ フランドルはベルギー全土からフランス東北部の地名。日本では明治期に「フランス積み」と誤訳された。
  12. ^ a b わが国における鉄道用煉瓦構造物, p. 123–164.
  13. ^ 建築基準法施行令”. elaws.e-gov.go.jp. 2022年6月1日閲覧。
  14. ^ 須賀音吉, 滑石直幸「珪石煉瓦のMatrixの研究 (第1報)」『窯業協會誌』第62巻第695号、日本セラミックス協会、1954年、 335-339頁、 doi:10.2109/jcersj1950.62.695_335
  15. ^ 20. Mud Bricks and a Flood. A Little History of Archaeology. Yale University Press. (2019-12-31). pp. 128–134. doi:10.12987/9780300235289-020. https://doi.org/10.12987/9780300235289-020 2022年5月20日閲覧。 
  16. ^ a b c d e f g h 青山, 美和「インドにおけるレンガセクターからの大気汚染削減策に関する分析」『生産研究』第73巻第3号、東京大学生産技術研究所、2021年5月1日、 151-156頁、 doi:10.11188/seisankenkyu.73.1512022年5月20日閲覧。
  17. ^ Syed Ashraful Alam and Mike Starr (2009). “Deforestation and greenhouse gas emissions associated with fuelwood consumption of the brick making industry in Sudan”. Science of The Total Environment 407 (2): 847-852. doi:10.1016/j.scitotenv.2008.09.040. ISSN 0048-9697. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969708010048. 
  18. ^ 驚くべき計画都市、モヘンジョ・ダロ”. www.eorc.jaxa.jp. 2022年5月20日閲覧。
  19. ^ モヘンジョダロ/パキスタン” (日本語). [世界遺産] All About. 2022年5月20日閲覧。
  20. ^ 【動画】黄砂はどこから 万里の長城越えて行ってみた” (日本語). 西日本新聞me. 2022年5月20日閲覧。
  21. ^ Twitter (2015年10月9日). “How L.A. conquered an earthquake danger zone: Brick buildings” (英語). Los Angeles Times. 2022年5月18日閲覧。
  22. ^ 村松貞次郎『日本近代建築技術史』彰国社、58頁。
  23. ^ わが国における鉄道用煉瓦構造物, p. 325–355.
  24. ^ 旧本庄商業銀行煉瓦倉庫―保存再生活用に関わる第一期報告書―(平成24年、早稲田大学建築学科)
  25. ^ Brick Tax 1784 -1850” (英語). 2022年5月20日閲覧。






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