法定外普通税 地方税法上の規定

法定外普通税

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/10 10:07 UTC 版)

地方税法上の規定

地方自治体が、法定外普通税を新設、変更しようとする場合は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならないとされる(地方税法第259条・第669条)。但し、

  • 国税又は他の地方税と課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること
  • 地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること
  • 国の経済施策に照らして適当でないこと

のいずれかに該当する場合を除き、総務大臣は同意を与えなければならないこととされている(地方税法第261条・第671条)。

なお、法定外税ではあっても、申告納付の方法・延滞金・加算金・徴税吏員による調査・滞納処分等に関しては地方税法に定めがあり、法定外税を定める条例においても、この範囲を超えることはできないと解される。

総務大臣の同意が与えられなかった事例

協議・同意制に移行して以来、実際に地方税法第261条・第671条により、同意が与えられなかった事例は、2004年4月現在、横浜市が導入を目指していた『勝馬投票券発売税』のみである(平成13年(2001年3月30日付け不同意通知:JRAの競馬事業に課税することは、国の経済施策に照らして不適当となった)。

但し、これについては国地方係争処理委員会による審査を経て、再協議の勧告が平成13年(2001年)7月24日付けでなされた。その後、横浜市長の交代を経て、平成14年(2004年)2月25日を以て、横浜市の同税に係る条例自体が廃止された。

最高裁判決により無効となった事例

神奈川県は2001年度から2009年度にかけて、資本金5億円以上の法人を対象として法人事業税の欠損金の繰越損失控除の適用が無いものとして計算した場合の所得を対象(ただし、適用を受けた繰越損失控除額を上限)に税率を地方事業税の税率の約30%に相当する率に設定して臨時特例企業税を課していた。 しかし、納税者からの同税の無効を理由とした同税の返還を求める訴訟において、最高裁判所は、同税が実質的には法人事業税の欠損金繰越損失控除額を課税標準として、繰越損失控除の適用を一部排除する効果を有するもので、法人事業税における欠損金繰越控除の一律適用を定めた、地方税法の趣旨を阻害するものとして、同法の強行規定に反するものとして、2013年3月21日臨時特例企業税を定めた条例は、違法無効であるとして、納税企業側の主張を全面的に認める判決を下した[1]


  1. ^ 神奈川県臨時特例企業税通知処分取消等請求事件”. 裁判所 - Courts in Japan. 2022年7月26日閲覧。


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