機動戦士ガンダムの登場人物 地球連邦軍 ワ行

機動戦士ガンダムの登場人物 地球連邦軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/17 04:55 UTC 版)

ワ行

ワッケイン

Wakkein[17][19][36] / Watkein[5][2]

声 - 曽我部和行(テレビ版・劇場版I) / 木原正二郎(劇場版III) / 稲田徹(特別版)/ 森川智之 (THE ORIGIN)

地球連邦軍の宇宙拠点ルナツーの司令で階級は少佐。基地および艦隊の司令官としては階級が不相応までに低いため、基地司令ではなく当直司令ないしメイン・ゲートの衛兵司令を務めていたと思われるとする資料もある[37]。「トミノメモ」によれば、ワッケインは要塞の全権を掌握する立場にはおらず、上官としてハムスキー提督なる人物の登場が予定されていた。

第4話で、サイド7からルナツーに避難してきたWBを封印し、軍の機密を無断使用した罪により乗組員を拘禁するという、軍規を重んじる頭の固い人物として描かれる。シャアの奇襲に際し、みずから戦艦「マゼラン」で出撃しようとするが、罠に掛かってゲートを艦で塞ぐ形となる。WBで迎撃しようとする乗組員に銃を突きつけて制止するも、パオロの懸命の説得で出撃を認め、自らの指揮でWBの主砲によりマゼランを排除する。シャア撃退後はパオロの遺言にしたがい、WBの運用をブライトらに任せて地球に向けて出港させる。これに対し、『劇場版I』では重傷のパオロのみ治療のため収容したあと、実戦経験があるとしてWBを門前払いさながらにジャブローへと出発させている。しかし、それも本部の命令でやむなくといった感じあり、テレビ版ほど生硬な対応ではない。

WBを見送る際のワッケインの「寒い時代」という台詞は、テレビ版ではパオロの死を悼む意味合いだったのに対し、劇場版では素人同然の少年たちまで動員せざるをえない戦況の厳しさに加え、そんなWBへサラミス1隻しか護衛を付けてやれなかった己の立場を自嘲するようなニュアンスへと変化している。ゲームなどでは、宇宙で孤立したルナツーの立場的に目立つことはできないという軍事的背景もあり、WBを気遣うなどワッケインへのフォローが入っている[要出典]

後に大佐に昇進して[注 5]第3艦隊の司令官に就任し、ソロモン攻略戦に参戦。旗艦のマゼラン級戦艦「レナウン」に座乗し、傘下に加えたWBと共にソーラ・システム発射までの陽動作戦をおこなう。第35話では久々に会ったブライトへその成長を喜ぶ台詞を発し、第38話ではデラミン艦隊を殲滅したWBの活躍に「たくましくなったな」と独白するなど、かつての融通の利かない頑固さは影を潜めている。また、アムロを「彼は我々とは違う、そう思える」と評価するほどに観察している。

ソロモン占領後は残敵掃討とWBの支援のためレナウン単艦でテキサス・コロニー宙域に向かう。その途中でデラミン艦隊との合流を急ぐバロム大佐のチベを発見し先制攻撃に成功、交戦の末にこれを撃沈。その後テキサスでWBと合流するが、WBが損傷したガンダム収容のためにテキサス内に進入している間に、テキサスを出港したシャアのザンジバルと交戦となり、艦は轟沈し戦死する。劇場版ではソロモン攻略戦とテキサスのエピソートが前後したため、ソロモン攻略戦で戦死。集中攻撃を受けるが退かず、ミサイルの全弾発射を敢行してチベを撃沈しながら艦と運命をともにする。また「トミノメモ」では、シャリア・ブルの駆るゲルググの攻撃により戦死している。

小説版での階級は初登場時から大佐となっている。アムロたちが正規の乗組員ということもあってテレビ版のような対立は見られない。ぶっきらぼうな印象を与えるが実は詩人でもあり、ルナツー基地のプライベート新聞にて、詩の批評をしているとされる。ペガサス(小説版のWBに相当)を加えた第13独立艦隊を率いて出撃。テキサス・ゾーンでマ・クベ艦隊と交戦し、チベを半壊に追い込むも座乗艦「ハル」は轟沈し戦死する。

漫画『THE ORIGIN』での階級は、基地司令官として相応の少将とされた。パオロ艦長の兵学校教官時代の教え子とされ(パオロよりも上の階級になったため、パオロのほうを目上の立場として描くための措置)、パオロによるワッケインの総合評価は「理論・実習共に申し分なし。但し、時として思考に柔軟性を欠く」とされる。また、同作品ではレビル将軍配下の提督としてアニメ版より重要な役割を担っている。ア・バオア・クー攻略前のゴップ元帥と連邦政府要人との会談で「(戦争中期に目立った活躍を見せなかったことから)ワッケインは必ずしも有能な軍人ではない」と連邦政府要人が発言する場面があるが、ソロモン攻略戦では限られた戦力でソロモンに対して苛烈な攻撃を展開。ドズルやラコックすら「陽動にしては強力すぎる」「本隊に間違いない」と判断させるほどの奮闘を見せ、ティアンムからも「よくやっている」と評されるなど、優れた采配を見せている。序盤におけるルウム戦役では分艦隊を率いるが、シャアの率いるMS部隊の待ち伏せにあい艦隊が壊滅、自身の乗る旗艦もシャアによって撃沈される。物語終盤ではソーラ・レイの直撃で戦死したレビル将軍に代わって混乱する連邦軍をまとめ上げ、最終決戦であるア・バオア・クー攻略戦を指揮。攻略時の階級は中将。艦隊司令官として旗艦「ルザル」で前線に向かうが、増援としてやってきたキシリアの座乗艦ドロスにより艦隊の背後から攻撃を受け、WBら上陸部隊に最後の指令を与えようとする中、戦死を遂げる。ブライトは途切れたワッケインの最後の指令を読み取り、ア・バオア・クーへの揚陸を敢行する。

一度拘束されたことがありながらもWBの乗組員からは尊敬されており、ワッケインの戦死はテレビ版でも『THE ORIGIN』版でも悼まれている。殊にブライトにとっては上級軍人としての鑑でもあり、涙ぐみながら敬礼をする。

漫画『MSV-R 虹霓のシン・マツナガ』では、宇宙世紀0079年2月にはルナツー司令になっているが、制服および階級(襟章による)は『THE ORIGIN』の設定に準じている。ジオン軍の月から地球へのマス・ドライバー攻撃に対し、ジャブローのゴップとの通信ではルナツーの戦力不足を訴え、被害がジャブローにおよぶならルナツーを月にぶつける覚悟を伝えるが諌められ、連邦軍の健在を示す何らかの戦果を求められる。

なお、漫画『アウターガンダム』では、フルネームはヴォルフガング・ワッケインとしている。これはあくまでこの漫画独自の設定だが、ゲーム『ガンダムバトルユニバース』ではこの名で登場しており、ゲーム『エンブレム オブ ガンダム』でもW・ワッケインという名になっている。


注釈

  1. ^ 『映画版 機動戦士ガンダム大百科』より[8]。『ロマンアルバム・エクストラ 機動戦士ガンダム(劇場版)』掲載の台本は一部省略されておりエドとビルの名前しか確認できない[9]。なお、劇場版パンフレット[10]なども含めクレジットにはない。
  2. ^ 一方で、『ロマンアルバム』のキャラクター解説ではエドとビルが逆になっている[11]
  3. ^ 劇中で無能と思われる描写は、『THE ORIGIN』でせいぜいミライがゴップの口の軽さによる機密の漏洩に言及している程度である。
  4. ^ ただし肩章は大将の3つ星のままで、胸章に4つ星を新たに付けている。
  5. ^ 第35話以降、描かれる襟首や肩の階級章の星が三つになっている。

出典

  1. ^ ガンダムエイジ 1999, p. 245-252.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t OFFICIALS 2001, p. 816-820.
  3. ^ a b c d ガンダム大事典 1981, p. 133.
  4. ^ a b c d e II特別版DVD字幕 2000.
  5. ^ a b c d e f 公式Web 2006.
  6. ^ 別冊GoodsPress 2011, p. 43-44.
  7. ^ a b ガンダムアーカイヴ 1999, p. 250.
  8. ^ 映画版ガンダム大百科 1981, p. 144-145.
  9. ^ ロマンアルバム劇場版II 1981, p. 153.
  10. ^ 劇場版第1作パンフ 1981.
  11. ^ ロマンアルバム劇場版 1981, p. 65.
  12. ^ 文藝春秋が見た宇宙世紀 2021, p. 26-27.
  13. ^ a b c d ガンダム大事典 1981, p. 134.
  14. ^ a b ロマンアルバムTV版 1980, p. 90.
  15. ^ ガンダム大事典II 1981, p. 12.
  16. ^ a b ガンダムアーカイヴ 1999, p. 272.
  17. ^ a b c d e III特別版DVD字幕 2000.
  18. ^ ガンダムアーカイヴ 1999, p. 333.
  19. ^ a b 海外版DVDBOX1字幕 2011.
  20. ^ ファクトファイル59 2005, p. 31.
  21. ^ ロマンアルバム劇場版II 1981, p. 52.
  22. ^ ミッションΖΖ 1987, p. 17.
  23. ^ ガンダムアーカイヴ 1999, p. 235.
  24. ^ ガンダム大事典 1981, p. 142.
  25. ^ a b ガンダム超百科 1980, p. 213.
  26. ^ a b c ガンダムアーカイヴ 1999, p. 355.
  27. ^ 機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』22頁。
  28. ^ 海外版DVDBOX2字幕 2011.
  29. ^ a b ガンダム大事典 1981, p. 146.
  30. ^ ガンダムアーカイヴ 1999, p. 362.
  31. ^ ガンダム大事典II 1981, p. 20.
  32. ^ a b I特別版DVD字幕 2000.
  33. ^ ファクトファイル141 2007, p. 31.
  34. ^ a b c ガンダム大事典 1981, p. 148.
  35. ^ テレマガ付録大事典下 1981, p. 85.
  36. ^ ファクトファイル150 2007, p. 28.
  37. ^ 一年戦争全史下 2007, p. 151.






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