松かさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 04:47 UTC 版)
生態
アカマツやクロマツのように風による種子散布を行う種においては、種子が成熟すると、松かさを構成する鱗片は反り返り、そのすき間を外に広げる。風散布性のマツの種子には「種子翼」という羽根状の付属物がついており、松かさから地上に落ちる間に風に乗って散らばる。
ハイマツやチョウセンゴヨウのように動物による散布を行う種においては、種子が成熟しても松かさが開くことはなく、動物が種子を捕食する際に松かさごと運ばれてこぼれることで散布を行う。日本の高山帯に分布するハイマツの散布者としてはホシガラスが重要である。チョウセンゴヨウはリスなどによる貯食に依存して種子散布を行っている。
また、松かさは水につけると鱗片を閉じ、逆に乾燥すると開く機構を持っている。これを利用して山火事に依存した種子散布を行う種もある。アメリカ合衆国のヨセミテ国立公園などに生えているコントルタマツ(Pinus contorta、英: Lodgepole Pine)の松かさは火事になると裂開し、種子を地面に捲き散らす。この地域のように、山火事が多い地域では、それに適応した繁殖を行う植物も数多い。こぼれた種子は火事のあとの焼け野原で発芽し、森林が再生する。逆に、火事が起きないとコントルタマツの松かさは開かないため、このヨセミテ国立公園では山火事も自然現象のひとつとして捉え、火事が起きても火を消さない。このような火災の熱で開く松かさは晩生球果(英語: serotinous cone)などと呼ばれ、マツ属の中でも Pinus 亜属のAustrale、Oocarpae、Contortae の各亜節に含まれる一部の種に見られる。
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火災で開く P. contorta の球果
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火災後一斉に生えてきた P. contorta の苗木
- ^ 齋藤愼爾・阿久根末忠編著『必携季語秀句用字用例辞典』柏書房、1997年、1056頁。ISBN 4-7601-1456-4。
- ^ “pineapple”. etymonline. 2024年1月28日閲覧。
- ^ “どんな味なの!?ロシア名物「松ぼっくりのジャム」が話題に 「想像できない」「実在したんですねぇ」|まいどなニュース”. まいどなニュース (2021年7月23日). 2023年8月29日閲覧。
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