札幌市時計台 時計

札幌市時計台

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 09:43 UTC 版)

時計

建設当初は大時計を設置せず、鐘楼に工部省東京工場製の鐘が吊るされていた。綱を引いて鐘を鳴らす仕組みだったが、時報の正確性に欠くことや振動により実験に支障をきたすことから、開拓長官であった黒田清隆のもと、1881年(明治14年)6月に塔部分を新築し、ハワード製の時打重錘振子式四面時計(製造番号738)が設置された[4]

同年8月12日、正式に鐘を鳴らし始めたこの時計は、重りの力を利用した振り子式で、4日に一度は運用針と打鐘用の2つの重りを吊るしたワイヤーを、ハンドルを使い人力で巻き上げねばならないが、豊平川の小石を詰めた木箱の重りの重さはそれぞれ50kgと150kgにもなる上[4]、機械に負担が掛からないよう2時間ほど掛けてゆっくりと巻き上げる必要があり、かなりの労力を要する。文字盤の直径は1.67m、分針の長さは85cm、時針の長さは63cmで杉材を用いている[4]。鐘は銅・錫・亜鉛の合金による青銅製で、高さ73cm、底面直径71cm、重さは約226kg[4]

今でこそ大切に管理されているが、かつては時計台の価値が十分に理解されず故障しても放置されていた時代があった。1933年(昭和8年)、時計台の近くで時計店を営んでいた井上清は、長期間止まったままになっている時計のことが気になり、市に修理を申し出たが予算不足を理由に断られた[19]。そのため井上はボランティアで保守整備を行うことを決意し、作業を始めた[19]。1か月の時間を要し、錆(さび)を取り、部品を丁寧に分解修理し、時計の機能を回復させた。井上はほぼ毎日時計台に通い、長年に渡り重りの巻上げを含む時計の保守管理を続けたが、1982年(昭和57年)に息子の和雄1947年〈昭和22年〉から父の時計店で働いていた)が市の非常勤職員に採用され、清の仕事を引き継いだ[4]2009年(平成21年)からは和雄の指導を受けた札幌市友会(市職員OBによる一般社団法人)の専任職員が保守管理を行っている[20]。なお、2014年(平成26年)度からエムエムエスマンションマネージメントサービスが指定管理者となっている[6][15]


  1. ^ a b 旧札幌農学校演武場(時計台) 文化庁.2021年4月29日閲覧。
  2. ^ a b どちらが日本最古の時計台か… 札幌市時計台と豊岡の辰鼓楼 “論争”に終止符”. 神戸新聞 (2021年6月10日). 2021年6月10日閲覧。
  3. ^ a b c d 札幌市時計台:時計台のあゆみ”. 2023年10月28日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 特集 札幌時計台の大時計 - カムイミンタラ1990年11月号(りんゆう観光
  5. ^ 時計台サロン 北海道大学オープンコースウェア(Hokkaido University OpenCourseWare, HU-OCW, 北大OCW) 北海道大学 2015-9-13閲覧。
  6. ^ a b c d e “札幌市時計台の管理者変更へ 市職員OB組織外れる 経費縮減低評価”. 北海道新聞. (2013年11月23日). オリジナルの2013年11月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131127054129/http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/505987.html 2013年11月23日閲覧。 
  7. ^ 「文化遺産の保存・再生」清水建設サイト
  8. ^ 「旧札幌農学校演武場”. 文化財建造物保存技術協会サイト. 2012年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月13日閲覧。
  9. ^ a b 北海道高等学校日本史教育研究会編 編『北海道の歴史散歩』山川出版社〈歴史散歩 1〉、2006年、118頁。ISBN 4-634-24601-5 
  10. ^ 札幌市教育委員会『さっぽろ文庫6 時計台』札幌市、1978年10月16日、24, 308頁。 
  11. ^ “「北大生の学生群像」第Ⅰ期・第Ⅱ期(附属図書館・大学文書館共催企画展示)”. 北海道大学大学文書館年報 5: 133. (2010). http://hdl.handle.net/2115/43381. 
  12. ^ 札幌市教育委員会『さっぽろ文庫6 時計台』札幌市、1973年10月16日、313頁。 
  13. ^ 札幌市教育委員会『さっぽろ文庫6 時計台』札幌市、1978年10月16日、264, 313頁。 
  14. ^ 札幌市時計台の指定管理者の選定結果について” (PDF). 札幌市. 2014年12月26日閲覧。
  15. ^ a b “時計台をLED化=札幌市〔地域〕”. 時事ドットコム (時事通信社). (2014年8月22日). オリジナルの2014年12月26日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20141226095034/http://www.jiji.com/jc/zc?k=201408/2014082200176 2014年12月26日閲覧。 
  16. ^ 札幌市時計台:クラーク像設置 新たな呼び物に /北海道”. 毎日新聞 (2017年10月17日). 2022年4月11日閲覧。
  17. ^ “明治天皇訪問の碑 戻る 札幌市時計台 76年ぶり 終戦後撤去 昨秋所在確認”. 読売新聞. (2021年9月14日) 
  18. ^ “「時計台の鐘」歌碑設置 札幌の永原さん寄贈 作詞作曲から100年”. 読売新聞. (2021年10月14日) 
  19. ^ a b 札幌市教育委員会『さっぽろ文庫6 時計台』札幌市、1978年10月16日、153頁。 
  20. ^ 中国新聞2010年12月1日付)
  21. ^ ほかに高知市播磨屋橋などが挙げられている。
  22. ^ 「三大がっかり - 卓上四季 -」 北海道新聞2007年5月28日付)
  23. ^ 【細胞分裂 都市の風景】札幌市時計台”. 朝日新聞(2009年1月9日付). 2009年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月16日閲覧。
  24. ^ 「続ほっかいどう百年物語」中西出版、13-14頁。
  25. ^ 北海道キャラクターガイド(エムジー・コーポレーション)
  26. ^ 期間限定で放送される北海道神宮ラジオ時報CMが流れないときに放送。
  27. ^ かつては土曜7時もあったが『オハヨー!土曜日』終了で廃された。また、日曜午前7時もあった。
  28. ^ HOW TO STVラジオ
  29. ^ 札幌時計台の鐘
  30. ^ 札幌市教育委員会『さっぽろ文庫6 時計台』札幌市、1978年10月16日、148頁。 
  31. ^ 公式サイトの「交通アクセス」による。(2013年11月20日閲覧)






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