日本のIP電話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 13:18 UTC 版)
日本のIP電話事業者
IP電話サービスを提供する事業者をITSP (Internet Telephony Service Provider) と呼ぶ。インターネットサービスプロバイダ (ISP)を兼業している事業者と、ITSP基盤提供専業の事業者とがある。050番号のもの・0AB - JのCATVにおいて、基幹IP電話基盤(IP電話の幹線網・IP電話サーバ/ゲートウェイ交換機・課金システムなどの総合システム)提携で、ISPが無料通話グループとなっている場合がある。
ADSLやFTTHにおいてはアクセス回線事業者とISPとが別々で2者に分かれている場合があるが、そのブロードバンドサービス上で利用できるIP電話サービスについても同様に、ITSPが別の事業者に分かれている場合もある。合わせて3つの別々の事業者によりサービスが提供される場合があり、少々複雑になる。
NTT東・西のひかり電話・光回線サービスの卸売を利用したものは、0AB - J番号と、050番号とで基盤提供事業者が別の場合もある。
0AB - J IP電話基盤
IP電話基盤 | 電気通信事業者 | 無料通話先 | 個人向け0AB - J 付加サービス |
1接続回線あたりの最大割当数 | ダイヤルイン | IPセントレックス | FMC | 着信課金サービス着信 | 備考 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
050番号付加 | 着信電話番号表示 | 非通知着信拒否 | 迷惑電話おことわり | キャッチホン | キャッチホンディスプレイ | 着信転送 | 着信お知らせメール | 個人0AB - J | 中小事業所 アクセスライン共有 |
大規模事業所 アクセスライン専有 | |||||||||||
番号 | 同時通話 | 番号 | 同時通話 | 番号 | 同時通話 | ||||||||||||||||
ひかり電話 | NTT東・西とその提携事業者 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 5 | 2 | 32 | 8 | 7000 | 300 | ○ | ○ | ○ | * | *非対応の事業者あり | ||
電力系通信事業者 | STNet | 有 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | 2 | 2 | 複数 | 24 | 複数 | 46 | ○ | ○ | × | * | *NTTコミュニケーションズ・KDDI・ソフトバンクのサービスのみ | |
エネルギア・コミュニケーションズ | 有 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 2 | 2 | 32 | 16 | ○ | ○ | × | × | |||||
九州通信ネットワーク | 有 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 2 | 2 | 32 | 16 | 264 | 276 | ○ | ○ | × | * | *ソフトバンクのサービスのみ | |||
オプテージ | 有 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 2 | 4 | 32 | 16 | 複数 | 46 | ○ | ○ | ○ | * | *KDDI・ソフトバンクのサービスのみ | ||
中部テレコミュニケーション | 有 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 2 | 2 | 100 | 16 | ○ | ○ | × | * | *非対応の事業者あり | ||||
東北インテリジェント通信 | 有 | 複数 | 複数 | ○ | × | × | |||||||||||||||
北陸通信ネットワーク | 有 | 複数 | 複数 | ○ | × | × | |||||||||||||||
楽天コミュニケーションズ | 有 | 複数 | 複数 | ○ | ○ | ○ | * | *楽天のサービスのみ | |||||||||||||
KDDI光ダイレクト | KDDI | 有 | 複数 | 500 | ○ | ○ | ○ | * | *KDDIのサービスのみ | ||||||||||||
auひかり | 有 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ *1 |
2 | 2 | 500 | 8 | ○ | × | × | *2 | *1auのみ *2KDDIのサービスのみ | |||
ケーブルプラス電話 | J:COM | × | 1 | 1 | × | × | × | ||||||||||||||
ホワイト光電話 | ソフトバンク | 有 | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 1 | 1 | × | × | × | フレッツ網で提供 | |||||||
ケーブルライン | |||||||||||||||||||||
Arcstar IP Voice | NTTコミュニケーションズ | 有 | 複数 | 複数 | ○ | ○ | ○ | * | *NTTコミュニケーションズのサービスのみ | ||||||||||||
UCOM光 | アルテリア・ネットワークス | 有 | 1000 | 200 | ○ | × | × | ○ | アクセスライン占有型 |
- ◎は、無料オプション。
(注1)グループが異なっていても、掛ける方向によっては無料の場合がある。
050 IP電話基盤
IP電話基盤 | 電気通信事業者 | 備考 |
---|---|---|
NTTコミュニケーションズ | グループ各社 | |
KDDI IP電話 | 提携事業者 | |
BBフォン | ソフトバンク | |
NTTドコモ | NTTドコモ | ホームU では、090、080の携帯電話番号付加が可能 |
- 個人向けの050番号の場合の、同時通話・電話番号割り当てとも最大数は1のものがほとんどである。
(注1)グループが異なっていても、掛ける方向によっては無料の場合がある。
050のものについて、ITSPの名称(一部には、複数のITSPから選択できる場合もある。@niftyやBIGLOBEなど)を明示し、ユーザに対してIP電話の通話料をISPが徴収代行する事が多い。
2010年代、スマートフォンのインターネット電話・プロバイダフリーのIP電話への050番号付与が行われるようになった。
ADSLサービスでは050 IP電話用の機器が標準添付のものもあったが、光回線で050 IP電話サービスを使おうとすると専用の機器や付加オプション料金が必要な場合が出てきている。
2015年時点でサービス開始から10年前後経過し、(0AB-J)番号のIP電話の普及による加入者減少・代替または推進サービスと重複することなどを理由に、050 IP電話サービスの終了またはその予定が表明され始めている。
- NTT-ME IP電話 2018年3月31日サービス終了。[10]
- ASAHIネット IP電話F - NTT-MEのVoIPバックボーンサービス終了に伴い。[11]
- NTTぷらら IP網
- @niftyフォン-F - 2017年7月24日サービス終了[12]
- KDDI-IP電話基盤「050番号サービス」2016年6月30日サービス終了。
- ケーブルプラス電話を提供するジュピターテレコム・ジャパンケーブルネット傘下のCATV事業者におけるサービス - ケーブルプラス電話と競合するため。
- ぷらら基盤のフォンforフレッツ
日本のITSPの概要
主要ITSP(グループ)と、そのITSP(IP電話基盤)につき対応・提供する主要ISPのうち、主要なものを以下に列挙する。
- NTT東・西のひかり電話
- 2015年4月から光回線サービスの卸売開始。
- 電力系通信事業者・楽天コミュニケーションズ(東京電力系の旧フュージョンコミュニケーションズ)・KDDI(東京電力系の旧パワードコム)基盤 : 電力系通信事業者のアクセス回線で主に提供される。
- ケーブルプラス電話、J:COM PHONE プラス : 地場のCATVインターネット事業者基盤
- NTTコミュニケーションズ・ぷらら・NTT-ME基盤 : NTT東・西のフレッツおよびTOKAIコミュニケーションズのADSLで提供される。
- NTTドコモ
- KDDI・ソフトバンク基盤 : KDDI・ソフトバンクのアクセス回線およびソフトバンクのADSLで主に提供される。
- BIGLOBE
- @nifty (@nifty フォン-K サービス終了)
- ODN
- au one net
- ドリーム・トレイン・インターネット
- 電算
- BBフォン : Yahoo! BB利用のアクセス回線で主に提供される。
- アルテリア・ネットワークス (旧・(2代目)UCOMより継承)基盤
注釈
- ^ もっともこの利用方法は、本来は060番号 (UPT : Universal Personal Telecommunication) が利用されるべき番号ではあるが、サービスが廃止されたため、050のIP電話システムの適用が一般的である。
出典
- ^ 『電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 (平成28年度第4四半期(3月末))』(プレスリリース)総務省 総合通信基盤局、2017年6月29日 。2017年6月30日閲覧。
- ^ 『JJ-201.11 IP 電話の通話品質評価法』(プレスリリース)一般社団法人. 情報通信技術委員会、2015年11月12日 。2015年12月13日閲覧。
- ^ 「電気通信番号指定状況」『総務省』 総務省、2020年6月1日
- ^ 『ネットワークのIP化に対応した電気通信設備に係る技術的条件に関する情報通信審議会からの一部答申-0AB-J IP電話の品質要件等-』(プレスリリース)総務省、2015年9月8日 。2015年12月13日閲覧。
- ^ 『「ひかり電話ビジネスタイプ」における 「フリーアクセス」(通話料金着信者払いサービス)の提供について』(プレスリリース)NTT東日本 。2012年8月27日閲覧。
- ^ 『「ひかり電話ビジネスタイプ」における「フリーアクセス」(通話料金着信者払いサービス)の提供について』(プレスリリース)NTT西日本 。2012年8月27日閲覧。
- ^ 『ニュースリリース | フュージョン FUSION』(プレスリリース)フュージョン・コミュニケーションズ 。2012年8月27日閲覧。
- ^ “フォーバル、光ファイバを利用した中小企業向けのIP電話サービス”. INTERNET Watch. (2003-10-22) .
- ^ J:COM、グループ初のIP網を利用した「J:COM PHONE」正式サービス「ピカラ光でんわ」の機能追加および値下げについて「ひかり電話」の新たな付加サービス「複数チャネル(ダブルチャネル)」、「追加番号(マイナンバー)」および「付加サービスセット割引」の提供について「コミュファ光電話」の新オプションサービス「プラスチャネル」および「プラスナンバー」の提供開始について「BBIQ光電話」の2回線提供について光ファイバー電話サービス「eo光電話」における2番号サービスの開始について
- ^ “IP電話サービスの提供終了について | NTT-ME”. www.ntt-me.co.jp. 2018年4月15日閲覧。
- ^ Inc.), 株式会社朝日ネット (Asahi Net,. “「IP電話F」・「IPテレビ電話F」サービスの終了について(2016年04月25日)|会員サポート|プロバイダ ASAHIネット”. asahi-net.jp. 2018年4月15日閲覧。
- ^ “@niftyフォン-F : @nifty”. ipphone.nifty.com. 2018年4月15日閲覧。
- ^ 『「メタルプラス電話サービス」、「ADSL one」および「au one net ADSL」の一部コースの提供終了について』(プレスリリース)KDDI、2014年12月12日 。2015年11月1日閲覧。
- ^ 『@niftyフォン-K サービス提供終了について』(プレスリリース)@nifty、2015年6月30日 。2015年11月1日閲覧。
- ^ 『2016/06/30をもちまして、BIGLOBEフォン(KD)をサービス終了いたします。』(プレスリリース)BIGLOBE 。2015年11月1日閲覧。
- ^ 『AOLフォンforフレッツサービス終了についてのお知らせ』(プレスリリース)AOL、2013年2月12日 。2015年11月1日閲覧。
- 1 日本のIP電話とは
- 2 日本のIP電話の概要
- 3 日本のIP電話事業者
- 4 脚注
- 日本のIP電話のページへのリンク