日本の近現代文学史 大衆文学・エンターテイメント小説

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日本の近現代文学史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 19:43 UTC 版)

大衆文学・エンターテイメント小説

芸術表現を重視するとされる「文学」(これを特に純文学ともいい、主に小説を指す)とは別に、娯楽を目的とする小説の流れが一貫して存在してきた。大衆小説(大衆文学)と言われる、商業的な小説である。従来の講談読本の流れをくむ時代小説伝奇小説、欧米から導入された探偵小説科学小説、また官能小説などのジャンルを含む。

第二次世界大戦までは、純文学と大衆小説は、比較的はっきり区分されていた。しかし、第二次世界大戦後は、中間小説と言われる、純文学の体裁に大衆小説の娯楽性を大幅に導入した小説が生まれた。現在[いつ?]は大衆小説家を名乗る小説家は少なくなり、大衆小説にあたる小説は「エンターテイメント」などと呼ばれ、ミステリ冒険小説(アクション小説と呼ばれることも)、恋愛小説ファンタジー小説、ホラー小説、ノンフィクション小説、歴史小説、経済小説などのジャンルに細分化されている(それゆえ「ジャンル小説」の呼称がエンターテイメント小説の別名のように使われることがある)。また、大衆小説自体が純文学に影響を与えており、双方の作品を発表する小説家がある。大衆小説から純文学へ移行する作家もいる。現在では純文学、大衆文学の境界はきわめてあいまいであるものの、「純文学」という枠組みは、商業性よりも芸術性・形式に重きを置いた小説として、今でも残っている。今のところ、実態としては純文学・大衆文学の区別はその作品の掲載誌によって行うことがもっとも一般的である。

文学研究以外の「社会言語」を扱う広告研究では、徳富蘇峰、夏目漱石、芥川龍之介、志賀直哉、和辻哲郎、武田麟太郎といった多くの作家の作品中に、現在とは違った意味の「広告」という言葉が散見されることを指摘し、純文学と大衆小説に限らず、社会と作品の相互依存を示している[4][5][6]


  1. ^ 円堂都司昭 (2020年6月14日). “阿部和重、町田康、赤坂真理……“J文学”とは何だったのか? 90年代後半「Jの字」に託された期待”. リアルサウンド (株式会社blueprint). https://realsound.jp/book/2020/06/post-567815.html 2023年11月2日閲覧。 
  2. ^ あなたも、ちょっと「内向い」てる? 〜日本は、やや「パラダイス鎖国」化しているのか〜”. タキレポ. タキゲン (2017年7月22日). 2023年11月2日閲覧。
  3. ^ 桑原聡 (2022年5月28日). “【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら】(128)短歌ブームのZ世代に癒やされる”. 産経ニュース. 2022年7月12日閲覧。
  4. ^ 水野, 由多加「[研究ノート] 近現代文芸の中の広告(1) : 明治期以降の文学作品中の言説渉猟」『関西大学社会学部紀要』第46巻第1号、2014年10月31日、27–55頁。 
  5. ^ 水野, 由多加「[研究ノート] 近現代文芸の中の広告(2) : 明治期以降の文学作品中の言説渉猟」『関西大学社会学部紀要』第47巻第1号、2015年10月31日、53–83頁。 
  6. ^ 水野, 由多加「[研究ノート] 近現代文芸の中の広告(3) : 明治期以降の文学作品中の言説渉猟」『関西大学社会学部紀要』第48巻第1号、2016年11月15日、113–138頁。 
  7. ^ 東浩紀. “新たな時代に向かって”. hirokiazuma.com. 2003年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月2日閲覧。初出:『週刊読書人』2000年11月3日号
  8. ^ 意外と身近にある みんなのメディア芸術 Vol.4『魔法少女まどか☆マギカ』新房昭之(監督)×宇野常寛(批評家)対談 | CINRA”. www.cinra.net. 2024年4月13日閲覧。





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