心臓カテーテル検査 心臓カテーテル検査の種類

心臓カテーテル検査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 19:23 UTC 版)

心臓カテーテル検査の種類

心臓カテーテル検査には各種動静脈の形態観察する心血管造影検査のほかに血行動態検査、電気生理学検査(EPS、カテーテルアブレーションで用いる)心内膜心筋生検、血管内視鏡検査、血管内超音波検査などがある。

右心カテーテル法

大腿静脈、内頸静脈、鎖骨下静脈、尺側皮静脈などからスワンガンツカテーテルを挿入する方法である。特に血行動態検査の情報が豊富であり、ショック、急性心不全、低心拍出症候群などで行われる。測定できる項目としては右心房圧(RAP)、右心室圧(RVP)、右室拡張末期圧(RVEDP)、肺動脈圧(PAP)、肺動脈楔入圧(PCWP)、心拍出量(CO)や心係数(CI)などがある。一時ペーシングの際も右心系からアプローチする。

左心カテーテル法

大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈にピッグテールカテーテルを挿入する。測定できる項目としては大動脈圧(AOP)、左室圧(LVP)、左室拡張末期圧(LVEDP)、左室駆出率(LVEF)、左室拡張末期容積係数(LVEDVI)などがある。左心室造影(LVG)、冠動脈造影(CAG)もこのアプローチで行われる。左→右シャントや右→左シャントの検出を行う場合、酸素飽和度較差を見る場合もこのアプローチである。

心臓カテーテル検査の合併症

合併症の頻度は合計して1%程度である。高リスク群としては左主幹部病変、3枝病変、左室駆出率30%以上、NYHAⅢ以上の心不全、大動脈弁疾患(特に重度の大動脈弁狭窄症)、腎不全例である。

低血圧

低血圧の原因としては血管迷走神経反射、脱水、心タンポナーデがあげられる。特に造影剤を用いると血管拡張作用、浸透圧利尿によって脱水も起こりやすい。十分な輸液で対処する。血管迷走神経反射では生理食塩水全開で輸液を行い、硫酸アトロピンの静注を行う。

血管合併症

末梢動脈血栓、仮性動脈瘤、後腹膜出血、動静脈瘻、深部静脈血栓症などがあげられる。予防としては抗凝固療法があげられる。

心合併症

心穿孔、冠動脈解離、心筋梗塞がみられることがある。処置中の患者の痛みによって想定する。心穿孔は心臓超音波検査で診断を行う。出血が少量ならば経過観察でよい。そうでなければ心膜穿刺術の準備をする。冠動脈解離は動脈の痙縮によってカテーテルが内膜に楔入したときに造影剤を注入したときにおこる。心筋梗塞は血栓や空気による幹動脈塞栓である。空気塞栓ならば高気圧酸素治療の有効性が知られている。

不整脈

心室頻拍、心室性期外収縮、心房性期外収縮、心房細動、洞性徐脈などが起こりえる。心室頻拍、心房細動は冠動脈造影時に起こりやすい。

神経合併症

脳塞栓、大腿神経障害、正中神経麻痺などが起こりえる。脳塞栓はカテーテル内の血栓、空気塞栓によるものである。神経障害は血腫などによる圧迫である。

腎合併症

血清クレアチニン値が上昇している場合、造影剤によって腎不全にいたり人工透析導入となることがある。術前より十分な輸液と重炭酸の投与(ビカーボンなどを用いる)によって予防を行う。典型的には2日後位から乏尿となり、1週間程度で完成する。

薬剤アレルギー

造影剤の使用によるアレルギーが問題となる。

感染

穿刺部位の感染以外に細菌性心膜炎なども起こりえる。

術前、術後の処置




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