射影多様体 連接層のコホモロジー

射影多様体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 15:32 UTC 版)

連接層のコホモロジー

X を体(あるいはより一般にネーター環 A)上の射影スキームとする。X 上の連接層 のコホモロジー英語版 はセールによる以下の重要な定理を満たす。

  1. は任意の p に対して有限次元 k ベクトル空間である。
  2. 次のような整数 n0 に依存する;Castelnuovo–Mumford 正則性英語版も参照)が存在する:
for all and p > 0, where is the twisting with a power of a very ample line bundle

これらの結果は、同型

を用いて の場合に帰着することで示される。ここで右辺の は零拡張によって射影空間上の層と見る[注 4]。すると結果は任意の整数 n に対する に対する直接計算から従い、任意の に対しては大して難しくなくこの場合に帰着される[20]

上の 1 の系として、f がネータースキームからネーター環への射影射ならば、高次順像 は coherent である。同じ結果は固有射 f に対しても成り立ち、チャウの補題の助けを借りて示すことができる。

ネーター位相空間上の層コホモロジーHi は空間の次元よりも真に大きい i に対して消える。したがって、オイラー標数と呼ばれる量

は(射影的な X に対して)well-defined な整数である。すると、 がある有理数体上の多項式 P に対して成り立つことを示すことができる[21]。この手続きを構造層 に適用して、X のヒルベルト多項式が復元される。特に、X が既約で次元が r ならば、X の数論的種数は

で与えられ、これは明らかに内在的、すなわち埋め込みに依らない。

次数 d の超曲面の数論的種数は において である。特に、P2 内の次数 d の滑らかな曲線の数論的種数は (d − 1)(d − 2)/2 である。これが種数公式英語版である。


  1. ^ この斉次イデアルは I の斉次化と呼ばれることがある。
  2. ^ この定義は Eisenbud–Harris 2000, III.2.3 とは異なるが、ウィキペディアの他の記事と整合的である。
  3. ^ cf. the proof of Hartshorne 1977, Ch II, Theorem 7.1
  4. ^ これは難しくない(Hartshorne 1977, Ch III. Lemma 2.10):脆弱分解英語版 とその射影空間全体への零拡張を考える。
  5. ^ To make the construction work, one needs to allow for a non-variety.

出典

  1. ^ Kollár & Moduli, Ch. I.
  2. ^ Shafarevich, Igor R. (1994), Basic Algebraic Geometry 1: Varieties in Projective Space, Springer 
  3. ^ Mumford 1999, p. 82.
  4. ^ Hartshorne 1977, Section II.5.
  5. ^ Mumford 1999, p. 111.
  6. ^ Grothendieck & Dieudonné 1961, 5.6.
  7. ^ Hartshorne 1977, Ch II. Exercise 4.5.
  8. ^ Humphreys, James (1981), Linear algebraic groups, Springer , Theorem 21.3.
  9. ^ Hartshorne, Ch. V, Exercise 3.4. (e)..
  10. ^ Fulton 1998, Proposition 8.4..
  11. ^ Hartshorne, Ch. II, Exercise 5.14. (a).
  12. ^ Rosen, Michael (2002), Number theory in Function Fields, Springer 
  13. ^ Hartshorne, 1977 & Ch IV, Exercise 1.7.
  14. ^ Hartshorne 1977, Ch I, Exercise 2.8; その理由は、{{Pn}} の斉次座標環は一意分解整域であって、そのような環では高さ 1 の任意の素イデアルは単項イデアルだからである。
  15. ^ Shafarevich 1994, Ch. I. § 4.4. Example 1..
  16. ^ Mumford, Ch. II, § 7. Proposition 6..
  17. ^ Hartshorne, Ch. I, Exercise 4.9..
  18. ^ Hartshorne 1977, Ch II, Theorem 7.1.
  19. ^ Hartshorne 1977, Ch II, Proposition 7.2.
  20. ^ Hartshorne 1977, Ch III. Theorem 5.2.
  21. ^ Hartshorne 1977, Ch III. Exercise 5.2.
  22. ^ Hartshorne 1977, Ch IV. Theorem 1.3.
  23. ^ Kollár 1996, Ch. I 1.4.
  24. ^ Eisenbud & Harris 2000, VI 2.2
  25. ^ Hartshorne 1977, Appendix B. Theorem 3.4..
  26. ^ Griffiths-Adams, IV. 1. 10. Corollary H.
  27. ^ Griffiths-Adams, IV. 1. 10. Corollary I.
  28. ^ Hartshorne 1977, Appendix B. Theorem 2.1.
  29. ^ Mumford 1970, p. 36.
  30. ^ Hartshorne 1977, Ch III. Remark 7.15..
  31. ^ Esnault, Hélène; Viehweg, Eckart (1992), Lectures on vanishing theorems, Birkhäuser 
  32. ^ Dolgachev, Igor (1982), “Weighted projective varieties”, Group actions and vector fields (Vancouver, B.C., 1981), Lecture Notes in Math., 956, Berlin: Springer, pp. 34–71, doi:10.1007/BFb0101508, MR0704986 





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