労働基準法による休日 休日の振替

労働基準法による休日

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/18 16:09 UTC 版)

休日の振替

事前に所定の休日と所定の労働日を特定して入れ替えることを休日の振替(振替休日または休日振替)という。就業規則に休日の振替を必要とする場合には休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって所定の休日と所定の労働日とを振り替えることができる。この場合、当該休日が労働日となり、休日に労働させたことにはならない。一方、これによることなく、休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働を免除する、いわゆる代休の場合はこれに当たらない(休日労働に対する割増賃金の支払いが必要だが、代休を与える法的義務はない。昭和23年4月19日基発1397号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号)。

休日の振替を行う場合には、就業規則等においてできる限り、休日の振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望ましい。なお振り替えるべき日については、振り替えられた日以降できる限り近接していることが望ましい(昭和23年7月5日基発968号、昭和63年3月14日基発150号)。

就業規則等によって休日を振り替える場合、当該休日は労働日となるので休日労働とはならないが、振り替えたことにより当該週の労働時間が一週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間については時間外労働となり、時間外労働に関する三六協定の締結及び割増賃金の支払いが必要である(昭和22年11月27日基発401号、昭和63年3月14日基発150号)。変形労働時間制を採用している事業場において、休日振替の結果、就業規則で1日8時間を超える所定労働時間が設定されていない日に1日8時間を超えて労働させることになる場合は、その超える時間は時間外労働となる(平成6年3月31日基発181号)。

なお、使用者が日を指定して代休として労働者を休ませかつ無給(あるいは賃金控除)とするには、使用者都合の休業(第26条、休業手当が必須)と峻別させるため、少なくとも就業規則に代休を命じる根拠と賃金取り扱いの規定が必要である。労働者が行使した年次有給休暇日を、代休(ただし、賃金控除あり)または休日に振り替えることは、法を逸脱しており許されない。


注釈

  1. ^ 国民の祝日に労働させること自体は労働基準法違反ではないが、「国民の祝日の趣旨及び労働時間短縮の見地から、労使間の話し合いによって、国民の祝日に労働者を休ませ、その場合に賃金の減収を生じないようにすることが望ましいことはいうまでもないところである。」とされる(昭和41年7月14日基発739号)。

出典

  1. ^ a b 野田進「「休暇」概念の法的意義と休暇政策─「休暇として」休むということ」『日本労働研究雑誌』第625巻、労働政策研究・研修機構、2012年8月、NAID 40019394013 
  2. ^ a b 神吉知郁子「休日と休暇・休業」『日本労働研究雑誌』第657巻、労働政策研究・研修機構、2015年4月。 
  3. ^ 労働基準法第39条
  4. ^ 「新基本法コメンタール第2版 労働基準法・労働契約法」日本評論社、p.148


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