再生医療EMAT 再生医療EMATの概要

再生医療EMAT

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 22:19 UTC 版)

従来、根尖病変に対しては、根管内を機械的、化学的に清掃して、根尖部の密封を図る感染根管治療や外科的歯内療法など歯内療法学が治療法として行われている。

しかし、従来の治療を施行したにもかかわらず、症状の改善を示さない、いわゆる難治性症例がある。その原因として、上記の治療では除去できない細菌が根管系に残留することや、それらの細菌の集まり(バイオフィルム)が、根尖外に存在することが知られている。その結果、根尖部周辺の歯槽骨が大きく吸収されていくことになる。

そのような症例に対し、電磁波のもつ殺菌作用ならびに骨芽細胞活性作用により、歯根周囲組織の治癒を促進することで早期に病変を縮小させる「再生医療EMATは有用である。

治療時間は30分程度という短時間で終了し、術後は温熱感が数時間残る程度で、疼痛等の不快症状もほとんど認められていない。その後、約1週間程度で歯の動揺も減少し、約3ヶ月程で吸収された歯槽骨の改善が認められる。

再生療法EMATは、2005年7月、医療法人とみなが歯科医院理事長 富永敏彦によって考案された。2016年現在、一般社団法人国際電磁歯科学研究会(ISEM)を中心として「北海道大学」「徳島大学」「香川高等専門学校」「徳島文理大学」「大阪大学」「新潟大学」にて研究が進められている。

また2011年には、歯科の他分野への応用も行われている。その一つとして挙げられるのがEMPR(Electro-Magnetic Periodontal Regeneration)である。歯肉セメント質歯根膜および歯槽骨より構成される歯周組織に対し電磁波を照射することにより、患部への殺菌と障害を受けた歯周組織の再生を促すことを目的としている。現在、EMPRは国際電磁歯科学研究会と北海道大学で共同研究がすすめられている。


  1. ^ 富永敏彦 電磁波の歯内療法への応用 -EMAT(Electro-Magnetic Apical Treatment)- 四国歯学会雑誌 24(1), 2011
  2. ^ 湯本浩通、富永敏彦、平尾功治、高橋加奈子、松尾敬志: 高周波・電磁波照射による骨芽細胞のGrowth Factorの発現・産生誘導, 日歯保誌(抄), 13 , 2011.
  3. ^ 坂東直樹、富永敏彦、湯本浩通、住友孝史、平尾早希、平尾功治、松尾敬志:電磁波照射の歯内療法への応用-EMAT (Electro-Magnetic Apical Treatment)-,歯内療法誌, 32 , 184-200, 2011.
  4. ^ 富永敏彦 : 電磁波骨再生療法(EMAT)-天然歯を残す新しい治療法-電磁波骨再生療法(EMAT), 歯科医療, 25 , 97-104, 2011.
  5. ^ a b 富永敏彦 : 電磁波骨再生療法(EMAT)-天然歯を残す新しい治療法-電磁波骨再生療法(EMAT)の歯内療法への応用, 歯科医療, 25 , 77-96, 2011.
  6. ^ 富永敏彦 : 電磁波骨再生療法(EMAT)-天然歯を残す新しい治療法-電磁波骨再生療法(EMAT) のペリオ・インプラントへの応用, 歯科医療, 25 , 94-103, 2011.
  7. ^ 富永敏彦 : EMAT 電磁波骨再生療法-EMATの原理と方法, アポロニア21,11 , 30-35, 2010.
  8. ^ 富永敏彦 : EMAT 電磁波骨再生療法-EMATの臨床, アポロニア21, 12 , 30-35, 2010.
  9. ^ 富永敏彦 : EMAT 電磁波骨再生療法-EMATの開発の経緯と発展性, アポロニア21, 1 , 26-33, 2011.


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