全国民主労働組合総連盟 全国民主労働組合総連盟の概要

全国民主労働組合総連盟

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/04 14:11 UTC 版)

全国民主労働組合総連盟 /
民主労総
各種表記
ハングル 전국민주노동조합총연맹 /
민주노총
漢字 全國民主勞動組合總聯盟 /
民主勞總
発音 チョングンミンジュノドンジョハプチョンニョンメン /
ミンジュノチョン
テンプレートを表示

労働組合が支持基盤の一つである文在寅政権時代から、組合員数約120万人という韓国内では最大規模の労働組合となった[1][3][4]。本部は京郷新聞社内にある。

この団体は正義党労働党緑色党民衆党のような韓国左派革新政党を支持している[5]。 一方で朴槿恵大統領退陣デモを企画するなど、国民の力のような韓国保守政党には非常に強く批判的。左派政権であるために蜜月であった文在寅政府とは、2021年にはコロナ禍で禁じられた大規模デモを行った罪にトップ逮捕された以降は「自分たちを弾圧している」と、対立関係になり、猛非難している[6][7]。後に文政権という左派政府時代にも北朝鮮から日本と韓国政府の対立を煽るように命令されていたことが判明している[1]

基礎データ

組織現況

  • 総組合数(支部も含む):2,032組合
  • 組合員数:693,662名
  • 総加盟組織:16組織
  • 組合員対比産別転換率:80%
    • 産別労組数:23箇
    • 産別組合員数:547,430名
  • 地域本部と地区協議会
    • 地域本部:16箇
    • 地区協議会:44箇
  • 直加入労組数と組合員数
    • 直加入労組:107箇
    • 組合員数:14,434名

出典:조직현황(組織現況)、民主労総ホームページ(2014年2月28日閲覧)

役員

8期11代(2015年1月~)の役員

  • 委員長:ハン・サンギュン(한상균
  • 副委員長(6名)
    • チェ・ジョンジン(최종진
    • キム・ギョンジャ(김경자
    • チョン・ヘギョン(정혜경
    • キム・ウクトン(김욱동
    • キム・ジョンイン(김종인
    • イ・サンジン(이상진
  • 事務総長:イ・ヨンジュ(이영주

出典:8기 11대(8期11代の役員紹介)、民主労総ホームページ(2015年3月27日閲覧)

設立経緯

元々、韓国の労働組合のナショナルセンターとして軍政が育てた労資協調路線の韓国労働組合総連盟(韓国労総)が存在した。しかし、1987年民主化宣言以降、韓国労総の労資協調姿勢に反発する労働運動が活発化。1995年11月11日に当局非公認のまま結成され、労働法改正後の1999年11月22日に晴れてナショナルセンターとして認可された。

政治的姿勢

政治姿勢としては金大中をも含めた保守・中道派に対して批判的な姿勢を保ち、金大中政権下での新自由主義路線に対しても実力行使で反撃、2001年大宇自動車(現:GM大宇)争議への白色テロに対しても徹底抗戦を貫いた。また2000年4月には立場の近い在野勢力と共に民主労働党(民労党)を結成、支持母体となった。しかし、2008年には民主労総現職・前職役員の党員が集団離党するなどの動揺も見せた[8]2002年大統領選挙2007年大統領選挙では民労党候補を全面的に支援した。

2011年12月に民労党と国民参与党及び進歩新党脱党派によって結成された統合進歩党(進歩党)には、チョ・ジュノ前委員長が共同代表として入党した[9]第19代総選挙に際し、比例代表では進歩党を支援したが、地域区においては進歩新党の一部候補も支援した[10]。総選挙後、比例代表候補予備選における不正事件が発覚し、真相究明をする過程で党権派党員による暴力事態が発生するとこれを非難する姿勢を示した[11]。また、労総中央委員会が決めた党刷新案が受け入れられなかったことを受け、進歩党支持を撤回する姿勢も示したが、5月17日の中央委員会で革新非常対策委員会(進歩党の非党権派が結成した党運営機関)による党刷新が実現するまでの間は支持を撤回する「条件付き支持撤回」を決定した[12]

姜基甲を代表とする新党権派による指導部が発足し党刷新が図られたが、不正選挙の当事者とされる議員2名の除名が7月の議員総会で否決されたことを受け、民主労総は中央執行委員会を8月14日未明まで行い、統合進歩党への支持を撤回することを決定した。統合進歩党の最大支持組織である民主労総が支持を撤回したことで、新党権派による新党結成方針が加速されるものと推測される[13]

12月に行われる大統領選挙では、民主労総として独自候補を擁立する動きもあったが断念した。役員は野党圏の有力候補であった文在寅民主統合党)と安哲秀(無所属)、それぞれの候補者キャンプに合流する動きが続いた。そして野党圏候補が文在寅に一本化(安哲秀は立候補辞退)されたことで、民主労総は「政権交代」を目標に文在寅を消極的に支持する姿勢を採った[14]。ただ、2018年以降からは再び文在寅(ムン・ジェイン)政府など自由主義勢力を強い口調で批判している。2019年以降からは文在寅自由主義政府を取り壊さなければならないという、非常に強硬な立場を取っている。[15]

日本の三里塚芝山連合空港反対同盟(北原派)とは共闘関係にある[16]

不祥事・批判・親北スパイ行為摘発

大企業・正規職労働者中心の労働組合として年収約9200万ウォン(約920万円)など既得権に執着するうちに強硬闘争中心路線を歩むようになり、結局は労働者間の格差を広げたという批判がある。文在寅政権で経済社会労働委員会委員長に2017年8月に任命されて、全国労働組合協議会事務総長や民労総金属連盟委員長、民主労働党代表など、民主労総にも設立から関わってきた文成賢は「30年間、私なりに正義だと信じながら労働運動をしてきたが、今になってみると正義ではないこともあった。それには民労総にも責任がある」と述べ、民労総が最低賃金算入範囲や全国教職員労働組合の合法化など個々の事案に絡めて政府に要求することに、「大きな枠組みでの社会的対話を拒否するのは間違っている。対立と確執ではなく、和合と共生の労使関係を築くため、民労総は最善を尽くすべきだ」「民労総はこれまでの慣行と決別し、新たな未来に向かって行かなければならない」と批判した[2]

全国民主労働組合総連盟化繊労組ダンキン支会長がSPCグループが運営するダンキンドーナツの製品を非衛生的な環境製造・生地に異物混入という内容の情報提供映像を捏造して、KBCに公益申告者の振りして報道させた自作自演していたことが発覚した[17]

元々反日親北的組織であったが、2023年1月の本部への捜査で北朝鮮から反日や日韓対立の扇動など各種指令を受けていたことが判明した。同年3月末には、東南アジアなどで北朝鮮工作員と直接接触で指令を受け、反韓国政府活動を行ったとして、国家保安法違反容疑で、、中枢幹部や元幹部ら4人が逮捕された[1]


  1. ^ a b c d 紀雄, 桜井 (2023年4月7日). “<特報>脈々と続く故金日成主席の日韓離間指令…福島デマで韓国の反日あおる”. 産経ニュース. 2023年9月4日閲覧。
  2. ^ a b 「韓国の労働運動、こんなことなら30年もやるんじゃなかった」民労総出身の文成賢労使政委員長「労働運動が労働者間の格差広げた」「民労総にも責任がある」」『』。2018年7月28日閲覧。
  3. ^ 민노총 제1 노총 등극…첫 요구는 “새판 짜자”, 중앙일보. (2019年12月26日)
  4. ^ 민주노총 ‘제1노총’ 첫 등극…“노·정관계 새판 짜는 계기 돼야” 한겨레. (2019年12月25日)
  5. ^ 全国民主労働組合総連盟 - 613地方選挙民主労総と進歩制、政党の地方選挙の共同要求案と民主労総候補、支持候補発表の記者会見
  6. ^ 全国民主労働組合総連盟 - 文在寅政府民主労総への弾圧に対する立場
  7. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2021年9月17日). “【劇場型半島】文政権に〝蜜月〟巨大労組が報復宣言「大統領選揺るがす」”. 産経ニュース. 2021年10月3日閲覧。
  8. ^ “民主労総前職・現職幹部、民主労働党集団離党”. レイバーネット. (2008年2月20日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2008/1203588023619Staff/view 2012年7月16日閲覧。 
  9. ^ “チョ・ジュノ、統合進歩党代表に...イ・ガビョン、進歩新党に入党”. レイバーネット(原文チャムセサン). (2012年2月23日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1330349914793Staff/view 2012年7月15日閲覧。 
  10. ^ “民主労総支持候補34人のうち統合進歩党は31人”. レイバーネット(原文チャムセサン). (2012年3月23日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1332524793614Staff/view 2012年7月16日閲覧。 
  11. ^ “民主労総「統合進歩党の暴力事態は容認できない...後続措置を議論」”. レイバーネット(原文チャムセサン). (2012年5月13日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1336931440837Staff/view 2012年7月16日閲覧。 
  12. ^ “民主労総、統合進歩党『条件付き支持撤回』を決定”. レイバーネット(原文チャムセサン). (2012年5月17日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1337275397821Staff/view 2012年7月16日閲覧。 
  13. ^ “民主労総 統合進歩党への支持を撤回”. KBSワールドラジオ. (2012年8月14日). http://rki.kbs.co.kr/japanese/news/news_Po_detail.htm?No=44867&id=Po&page=1 2012年8月14日閲覧。 
  14. ^ “開店休業の民主労総、大統領選挙方針が『映画鑑賞』?”. レイバーネット(原文チャムセサン). (2012年12月12日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1355378164278Staff 2012年12月16日閲覧。 
  15. ^ 민노총 "문재인 정권 퇴진 투쟁 벌이겠다"…3일 만에 논평 낸 靑 "위원장 구속 안타깝다" (民主労総"文在寅政権退陣闘争展開する"…3日ぶりに論評した青瓦台"委員長逮捕、残念だ"). 한국경제. (2019年6月4日)
  16. ^ 民主労総 50年の三里塚農地死守闘争への連帯メッセージ”. 『前進』. 革命的共産主義者同盟全国委員会 (2016年7月18日). 2019年5月13日閲覧。
  17. ^ "민노총이 던킨 도너츠 '이물질' 제보 영상 조작"” (朝鮮語). n.news.naver.com. 2021年10月3日閲覧。
  18. ^ “民主労総、直接選挙制3年延期を決定”. レイバーネット(民衆言論チャムセサン). (2012年10月30日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1351627090395Staff 2013年5月2日閲覧。 
  19. ^ “民主労総委員長、直接選挙制の責任で辞退表明”. レイバーネット(民衆言論チャムセサン). (2012年10月10日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1349954121682Staff 2013年5月2日閲覧。 
  20. ^ “キム・ヨンフン委員長辞任”. レイバーネット(民衆言論チャムセサン). (2012年11月7日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1352336168656Staff 2013年5月2日閲覧。 
  21. ^ “民主労総、非常対策委構成...ペク・ソックン非対委員長を確定”. レイバーネット. (2012年12月11日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2012/1355377791946Staff 2013年5月2日閲覧。 
  22. ^ “民主労総、役員直接選挙制の2年延期を決定”. レイバーネット(民衆言論チャムセサン). (2013年1月26日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2013/1359137100868Staff 2013年5月2日閲覧。 
  23. ^ “民主労総委員長選挙、また中止”. レイバーネット(原文チャムセサン). (2013年4月23日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2013/1366713757626Staff 2013年5月2日閲覧。 
  24. ^ “果てしなく墜落する民主労総、指導部空白6か月”. レイバーネット(民衆言論チャムセサン). (2013年4月23日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2013/1366866306960Staff 2013年5月2日閲覧。 
  25. ^ “民主労総委員長にシン・スンチョル当選...「力強い闘争で希望を」”. レイバーネット(民衆言論チャムセサン). (2013年7月18日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2013/1374187443303Staff 2013年7月20日閲覧。 
  26. ^ “韓国:民主労総、初の役員直接選挙制の選挙日程に突入”. レイバーネット. (2014年10月2日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2014/1412402300710Staff 2015年3月28日閲覧。 
  27. ^ “韓国:民主労総4巴戦の役員直接選挙、各候補の主要公約は?”. レイバーネット(原文チャムセサン). (2014年11月13日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2014/1415886196894Staff/view 2015年3月29日閲覧。 
  28. ^ “韓国:民主労総役員直接選挙制、決選投票へ”. レイバーネット. (2014年12月10日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2014/1418277844076Staff 2015年3月29日閲覧。 
  29. ^ “民主労総 初の直選委員長にハン・サンギュン元双龍自動車支部長が当選”. ハンギョレ. (2014年12月26日). http://japan.hani.co.kr/arti/politics/19176.html 2015年3月29日閲覧。 
  30. ^ “韓国:民主労総新任執行部「朴槿恵の暴走をゼネスト闘争で止める」”. レイバーネット(原文チャムセサン). (2014年12月30日). http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2014/1419958270202Staff/view 2015年3月29日閲覧。 


「全国民主労働組合総連盟」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「全国民主労働組合総連盟」の関連用語

全国民主労働組合総連盟のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



全国民主労働組合総連盟のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの全国民主労働組合総連盟 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS