偏光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 16:02 UTC 版)
偏光を作り出す光学素子
偏光子
自然光(非偏光)や円偏光から直線偏光を作り出すものを、偏光子(へんこうし)と呼ぶ。
- 吸収型偏光子
- ある方位の電場を吸収し、それに垂直な方位の電場を透過することにより直線偏光を作り出すもの。鉱物では電気石(トルマリン)など。人工の物としてはポラロイド社などのポリマーで作られたフィルム偏光子がある。これは廉価である。一般的にセロハンテープなどのように1方向に引き伸ばされて作られる高分子には偏光特性がある。
- 結晶
- 方解石などの複屈折性の結晶を利用したもの。古くから用いられている。これは高価である。
- 反射式偏光子
- 反射面に対し角度を持って反射した光が部分的に偏光することを利用し、多段階の反射を用いて直線偏光を作り出すものである。反射光が一般に偏極するということはフレネルの式で記述される。
波長板
直交する偏光成分の間に位相差を生じさせる複屈折素子のことである。位相板とも呼ばれる。位相差π(180度)を生じるものをλ/2板(にぶんのラムダばん)または半波長板と呼び、直線偏光の偏光方向を変えるために用いる。位相差π/2(90度)を生じるものをλ/4板(よんぶんのラムダばん、しぶんのラムダばん)または四分の一波長板と呼び、直線偏光を円偏光(楕円偏光)に変換、また逆に円偏光(楕円偏光)を直線偏光に変換するために用いる。これらは光を吸収せず、位相のみを変える。
- プラスチックフィルム
- ポラロイド社などからプラスチックの薄い板を用いた波長板が市販されている。廉価であり、波長特性も可視光全域でほぼ一定になるように作られている。
- 結晶
- 水晶や雲母などの結晶を用いて位相を変える素子。素子の厚さによって特性が決まり、用いる光の波長によって特性が異なるため代表的なレーザー波長に対して専用の素子が市販されている。
- 反射式
- 菱形プリズム内の全反射を利用した光学素子フレネルロムのような波長板も存在する。波長特性はプラスチックフィルムよりも良いが高価である。
- ^ 光の百科事典、pp.577,580-593(著者: 柴田清孝)
- ^ Tsyr-Huei Chiou et. al., Curr. Biol., 18, 429-434 (2008)
- ^ (日本語) ハリガネムシは寄生したカマキリを操作し水平偏光に引き寄せて水に飛び込ませる 2021年7月9日閲覧。
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