予想 (競馬) 欧米における競馬予想

予想 (競馬)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/24 08:44 UTC 版)

欧米における競馬予想

イギリスやアメリカのラスベガスには合法的な職業としてプロの予想屋が存在している[1]

アメリカの競馬の予想屋の団体であるプロフェッショナル・ハンディキャッパーズ・アソシエーションには100人を超える会員が加入している[1]。これらの予想屋にはインターネット上で競馬予想を行ったり、前回のレース結果・前レースからの日数・ケガの状態・騎手・馬の重量・出走枠・馬場の状態などの要素をコンピュータ・モデルによって総合的に分析している者もいる[1]

日本における競馬予想

予想家

予想を専門的に行う者のことを予想家(よそうや)と言う。競馬新聞スポーツ新聞に所属し取材の後に予想行為を行う記者であるトラックマンがその典型例である。

地方競馬においては、競馬主催者及び競馬場所有者が公認し、競馬場内の「場立ち」と呼ばれる所定の場所において自らの予想を販売する予想屋と呼ばれる職業予想家が存在する。

中央競馬においても自らの予想を販売する法人(馬券予想会社)や個人が多数存在するが、日本中央競馬会(JRA)は場内での予想屋とその予想の販売活動は一切公認していない。ただし競馬新聞についてはレースや出走馬に関する情報に付随して予想家による予想が行われているが、競馬新聞の業界団体への加盟など所定の要件を満たしているものについてはJRAは競馬場内における販売を許可している。

非公認で競馬場や場外馬券売場の内外で予想行為を行う者の一部には違法行為であるノミ行為をする者や闇社会などとも繋がりが存在する場合が少なくない。ノミ行為については参加させた側のみならず、参加した側も警察による取り調べの他、法により罰せられる事がある。競馬主催者もノミ行為防止の為、特に自施設内で非公認の予想屋として活動している者たちに対しては警察などと連携して取り締まりを実施しており、近年では関連法規の改正によりおとり捜査を利用した取り締まりも可能となっている。

予想が行われる媒体

かつて日本における予想はラジオテレビにおける競馬番組、競馬新聞スポーツ新聞の競馬欄などで競馬評論家トラックマン、競馬好きで知られる一部著名人などの限られた人間によって行われていたが、現在ではインターネットの普及により一般の競馬ファンウェブページブログなどにおいて予想を行うことも盛んとなっている。

1991年4月、白夜書房が発行しているパチンコ必勝ガイドの1コーナーとしてダウシング競馬予想を始めた。ところがその年の桜花賞皐月賞と連続で高配当を的中させたことから評判となる[2]。その後1993年のコーナー終了まで連載を続けた。

予想行為についての制限

日本においては、1960年代前半までは現役の騎手調教師が新聞やテレビ・ラジオの競馬中継等で予想を公表することが一般的に行われていた[3][4]。さらに遡れば、1950年には東京優駿で1番人気が確実であったクモノハナに騎乗予定の橋本輝雄が、競走の前夜に当時国民的メディアであったNHKラジオの人気番組にゲスト出演し、その際に馬場などの状況を挙げて「勝てるでしょう」と具体的に騎乗馬の勝利を予告して勝利したという出来事もあった。

だが、現在は現役の騎手や調教師、厩舎関係者・競馬主催者および統括団体の関係者については、競走の公正確保という観点から、公の場で結果予想や買い目を公表することは禁止されている[5]。レース公正確保の観点から選手、主催者、統括団体の関係者による予想行為を禁止しているのはオートレース競艇競輪など他の公営競技いずれも同様である。

騎手や調教師が競走に勝利すべく作戦を練るため、事前にレース展開を予想する事は違反行為にはならない。しかし、これを具体的な買い目や「この有力馬は消える[6]」などという結果予想の形で第三者に漏らせば違反行為となり、処罰の対象となる。また、レース枠順確定後にも時折見られるいわゆる“逃げ宣言”のコメントなどは、あくまで自身の騎乗場・管理馬を勝利させるための作戦の示唆・公表の範疇とされ違反ではないが、発言の場所・状況・内容次第によっては予想行為と受け取られる可能性がある。

そのため、テレビ・ラジオなどの競馬中継番組においても、ゲストやインタビューで出演した調教師・騎手や、統括団体の関係者の立場にある人物のコメントについて予想行為と取られ問題となることは、当該の人物の職業生命すら危うくしかねないものであるため、万一にもそのような事態を起こさないように、コメントを引き出す側であるアナウンサー・司会者・インタビュアーなどは自身の発言にも細心の注意を払っている。

自身が中央(地方)指定交流競走で出走する当日の開催レースに関連していない限りは、中央競馬の関係者が地方競馬の馬券を、また地方競馬の関係者が中央競馬の馬券を、それぞれ予想し購入したり、新聞などで予想行為を行ったりすることは可能である。地方競馬の著名騎手がスポーツ紙で中央競馬の予想コーナーを持つことが多く、木村健(騎手時代。現調教師)がスポーツニッポンで、森泰斗スポーツ報知で毎週連載を担当している。また、スポーツ報知ではG1レースを中心に地方所属の女性騎手がコーナーを持つことが見られる。なお、テレビバラエティ番組などでJRAの騎手がタレントと馬券勝負をする企画が一部で見られるが、この様な番組の収録は騎手自身が当日の競走に関連しない地方競馬場で行っている。

他方、騎手引退後に調教師や調教助手などの厩舎関係者に転身せず、一見した限りでは競馬サークルの内部から離れた部外者に見えても、実際には予想行為の制限対象に該当しているという人物もいる。知られる所では騎手として日本の最多勝記録を保持していた佐々木竹見[7]がおり、引退後に地方競馬全国協会の管轄する地方競馬教養センターの参与に就任しており、現在でも地方競馬関係者の立場にあるという理由で、大井競馬場など地方競馬の競馬中継などにゲストとして出演する事はあっても、直接の買い目予想行為を行う事はない[8]

馬主は調教師や騎手などの競馬関係者と容易に接触することが可能であり、彼らの持つ秘密情報を知りうる立場であるにもかかわらず、予想行為の公表は一切禁止されていないし、馬券の購入も禁じられていない。ただし、地方競馬においては、限定した会員に有料で競馬予想情報を提供する事業(会員制競馬予想業)の運営者・従事者および関係者は馬主登録を受けることができない[9]。したがって、既に馬主登録を受けている者がその地位を利用して厩舎などから入手した秘密情報を会員制競馬予想会社に提供した場合、馬主登録取り消しの対象となる。中央競馬にはこの種の規定はない。

脚注


  1. ^ a b c d e f ドナルド・トンプソン『普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略』ダイヤモンド社、2013年、p.34-54
  2. ^ 桜花賞は当時のG1競走における枠連最高配当だった
  3. ^ 1965年に山岡事件が発生する以前は、調教師会が作成した『勝馬の栞』という、著名な調教師が予想印を打った出馬表が、ファンサービスの一環として競馬場内で配布されていた。
  4. ^ また、関西テレビ版の『競馬中継』においても、当時現役の調教師だった武輔彦がレギュラー解説者を務めた記録が残っている。
  5. ^ 厳密に言えば、現在も競馬法上は第29条において関係者の馬券購入が禁じられているのみで、競馬法や日本中央競馬会法(いずれも施行規則・施行令含む)・日本中央競馬会競馬施行規程等において関係者による予想の公表を直接禁止する規定はない。ただし競馬法第16条2項・第22条や競馬法施行令第14条・第17条の7において、日本中央競馬会(JRA)や地方競馬全国協会(NAR)、競馬主催者となる自治体は競馬の公正を確保するために必要があると認めた場合に騎手・調教師の免許を取り消したり関係者の競馬への関与を禁止したりすることが認められており、現在では「関係者による予想行為=競馬の公正を乱すもの」と判断されているため、事実上予想の公表が禁じられている。
  6. ^ ここで言う「消える」とは「馬券の対象となる3着以内にその馬が入ってくる可能性はない」という意味である。
  7. ^ 2018年8月12日に的場文男が最多勝記録を更新。
  8. ^ 競輪における中野浩一や競艇における植木通彦が、各々の競技でマスコミなどにレースについてコメントをしたりレース中継にゲスト出演しても具体的な買い目予想を行わないのは、佐々木と同様に統括団体の関係者の立場にあるためである。
  9. ^ 地方競馬の情報サイト 馬主登録申請の手引きと申請書類


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