ロードプライシング ロードプライシングの事例

ロードプライシング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 06:32 UTC 版)

ロードプライシングの事例

シンガポール
詳細はシンガポールの電子道路課金(ERP (シンガポール)
島国であるシンガポールでは、都心部の混雑緩和のために1975年に制限区域を設け、午前中の通勤時間帯の進入車両から通行料の徴収を開始した(その後、実施時間帯を昼間と午後にも延長)。導入当初は、紙製のエリアライセンスをドライバーが購入し車のフロントガラスに貼付け、それを制限区域の入口の監視所職員が目視でチェックしていた。人件費がかかり過ぎるため、1998年から料金自動徴収システム(電子道路課金、ERP)が導入された。これは、入口のゲート(ガントリー)の下をくぐると車内の車載器キャッシュカードから料金が引き落とされる仕組みである。未払車両のナンバープレートはゲートの監視カメラから撮影されて罰金が請求される。
オスロ
ノルウェー独特のフィヨルド地形のために高くつく道路費用と公共交通(地下鉄路面電車)の整備費用をまかなう財源を確保するために、ベルゲン市は1986年1月から、オスロ市は1990年2月から市内中心部に通じる道に料金所を設置し、現金と自動車両識別 (AVI) タグによる課金(トールリングシステム)を開始した。トロンハイム市も1991年10月から始めたが2005年に終了した。
ロンドン
詳細は渋滞(混雑)課金制度(ロンドン市)
ロンドンの慢性的交通渋滞の改善を公約に掲げ、2000年5月に初の公選ロンドン市長に選ばれたケン・リヴィングストン市長は、2003年2月17日にロンドン・インナー・リング・ロードの内側の官庁街や金融の中心シティー、多数の観光名所があるセントラルロンドン地区に渋滞(混雑)課金制度を導入した。平日の午前7時から午後6時30分までの時間に課金区域内で自動車を運転するドライバーは、全車種一律で1日5ポンドを課金される(原則的に前払) が、区域内の住民は9割減免、タクシーと二輪車オートバイは課金対象外であり、課金対象でも緊急車両代替燃料車両他など課金を100%割引される車両もある。市内各所の監視カメラが違反(未登録・未払い)車両のナンバープレートを読取・照合して取り締まる仕組みである。
ストックホルム
スウェーデンのストックホルム都心2ヵ所で2006年1月から7月までの半年間、DSRC方式の自動料金収受 (ETC) による朝夕ラッシュ時20クローネの渋滞課金を試験運用に入り、2007年8月1日から正式運用が開始された。
ミラノ
大気汚染の影響の大きい車種に応じた金額設定で、中心市街地に進入する車による汚染物質発生の低減を狙った課金を2008年に始めた(エコパス(Ecopass)制度)。

注釈

  1. ^ ただし、公平性も重視する現実の政治では必ずしも普遍的な純便益最大化を追求できるわけではなく、葛藤が生じる。

出典

  1. ^ 「外来語」言い換え提案(国立国語研究所)http://www.ninjal.ac.jp/gairaigo/index.html
  2. ^ 宇沢弘文、自動車の社会的費用、岩波新書、1974年、ISBN 978-4-00-411047-7
  3. ^ 岡並木、都市と交通、岩波新書、1981年、ISBN 978-4-00-420155-7
  4. ^ 竹内健蔵、交通経済学入門、有斐閣、2008年、ISBN 978-4-64-118368-1
  5. ^ 宮川公男 、高速道路 なぜ料金を払うのか ―高速道路問題を正しく理解する、東洋経済新報社、2011年、ISBN 978-4492223147
  6. ^ 根本敏則、味水佑毅、対距離課金による道路整備、勁草書房、2008年、ISBN 978-4-32-654814-9
  7. ^ Taxation of heavy goods vehicles: Eurovignette Directive Directive 1999/62/EC, Directive 2006/38/EC
  8. ^ Trends in Tolling and Telematics, 2007
  9. ^ Directive 2004/52/EC on the interoperability of electronic road toll systems, 2004
  10. ^ Paying Our Way: A New Framework for Transportation - National Surface Transportation Infrastructure Financing Commission, 2009
  11. ^ Facing the future on the roads; Governing and Paying for England's Roads, 2010
  12. ^ Towards fair and efficient pricing in transport, 1995
  13. ^ Fair Payment for Infrastructure Use: A phased approach to a common transport infrastructure charging framework in the EU, 1998
  14. ^ PKW-Maut in Deutschland?, 2010(ドイツ語)「ドイツでの乗用車通行課金?」
  15. ^ Road User Charging, GINA
  16. ^ 1968年、1973年の構想については下記を参照
    「都心乗り入れ車から"通行税" 賦課金構想が再燃 交通渋滞にカンフル」『読売新聞』1973年7月1日朝刊2面
  17. ^ 日中の首都高は千円上乗せ、夜間は半額に…渋滞緩和のため「ロードプライシング」開始”. 読売新聞 (2021年7月19日). 2023年7月17日閲覧。
  18. ^ 近藤咲子 (2023年6月20日). “アクアラインが変動料金を試験導入へ 渋滞緩和対策としては全国初”. 朝日新聞. 2023年7月17日閲覧。
  19. ^ 日本テレビ (2023年6月20日). “「東京湾アクアライン」 来月22日から土日祝日の時間帯による通行料金変更を試験導入 渋滞緩和へ”. 日テレNEWS. 2023年7月17日閲覧。
  20. ^ アクアライン、変動料金導入 渋滞緩和へ今夏から―国交省”. 時事通信 (2023年6月21日). 2023年7月17日閲覧。
  21. ^ TBSテレビ (2023年7月22日). “東京湾アクアラインで変動料金の社会実験開始 土日祝の午後1時~8時は1200円”. TBS NEWS DIG. 2023年7月22日閲覧。
  22. ^ 道路は、だれのものか、森川高行、ダイヤモンド社、2010、ISBN 978-4478012710





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