ロシアの宇宙開発 組織

ロシアの宇宙開発

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/10 08:26 UTC 版)

組織

施設

関連企業

※2016年時点、主要企業はORKKを経て国営企業ロスコスモスへと統合されている。

海外との合弁企業

開発状況

開発傾向はソビエトの物を引き継ぎながら、新しいものに更新することが目的になっている。また、ソ連崩壊後にウクライナで生産されていたもののロシアでの国産化も課題となっている。

  • アンガラ・ロケット
    • 開発中の新型ロケット。幾つかの既存ロケットを代替するものとして開発が進められている。
  • オリョール
    • 有人宇宙飛行船。ソユーズよりもより多人数を運べ、乗組員の空間に余裕のある機体を目指す。
  • ルナグローブ計画
    • 月探査計画。1機目では月周回機と衝突体が、2機目では月面ローバーの着陸が計画されている。
  • ベネラD
    • 金星探査機。周回機と着陸機が計画されている。

軍事

トーポリ

ロシアのロケットの開発は、独ソ戦で勝利したナチス・ドイツから接収したV2ロケットとその技術・人材で大きく進歩した。その技術は世界初の大陸間弾道ミサイルとなったR-7系統を経て現在のソユーズロケットにも連なるものであり、同様のミサイル技術は東欧諸国や中国などにも流れた。現在では後継となるR-27スカッドミサイル、トーポリとして良く知られるRT-2PMRT-2PM2などがあり、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)R-30が開発中である。また短距離ミサイルに9K720等が存在する。これらの軍事技術の一部はロスオボロンエクスポルト英語版社を通じて輸出も行われていると見られる。

偵察衛星はソビエト崩壊後の経済事情からソ連時代に比べ衰えていた。ソ連時代から継続して地上でフィルム回収を行う方式のヤンターリが使われており、2015年まで改良型のヤンターリ‐4K2Mが運用されていた。遠隔通信式の偵察衛星としては2008年にペルソナが打ち上げられ、現状3機が打ち上げられたとみられている。傍受用衛星にはリアーナが存在するがこちらも経済事情から構築は遅延しており、2015年12月現在は3機に留まっている。早期警戒衛星系としてはEKS英語版を構築する予定であり、2015年11月に1号機が、2017年5月に2号機が打ち上げられ、偵察力の回復が図られている。

ミサイル防衛では弾道弾迎撃ミサイル制限条約 (ABM条約) に基づいた開発を行ってきた。迎撃用としてS-300S-400が存在し、ABM条約で決められた範囲内の弾道弾迎撃能力を保有しており、極東への配備の計画も存在する[16]。また、新型のS-500の開発も行っている[17]。一方、アメリカの弾道弾迎撃ミサイルの欧州配備には反対しており[18]、その後アメリカは東欧でのMD配備の見直しを検討している[19]


  1. ^ a b 「露、宇宙開発にかげり 有人飛行60年 米中と格差拡大」『読売新聞』朝刊2021年4月14日(国際面)
  2. ^ ゼニート3F / スペクトルR、打上げ成功”. Космоград. 2012年7月25日閲覧。
  3. ^ バイコヌール宇宙基地”. 宇宙情報センター. JAXA. 2012年7月25日閲覧。
  4. ^ ロシア政府、ミールの来年2月の廃棄を決定”. AstroArts. 2012年7月25日閲覧。
  5. ^ ロシア連邦宇宙機関”. 宇宙情報センター. JAXA. 2012年7月25日閲覧。
  6. ^ 冨田信之 (2008年5月6日). “ロシアの新宇宙活動(2)-- 安全保障会議におけるプーチン大統領の挨拶 ---”. 宙の会. 2012年7月25日閲覧。
  7. ^ 宇宙基地で極東活性化を目指すロシア: 宇宙基地は過多ではないのか”. ロシアNOW. 2012年7月25日閲覧。
  8. ^ 羅老号、今後2回再発射行う”. 中央日報日本語版 (2009年8月26日). 2012年7月25日閲覧。
  9. ^ ロシア 衛星測位システム 完全復旧”. The Voice of Russia (2011年10月3日). 2012年7月25日閲覧。
  10. ^ ロシア連邦宇宙局、年内に測位衛星「グロナス」を2基打ち上げへ”. MORNINGSTAR (2011年2月24日). 2012年7月25日閲覧。
  11. ^ 小泉悠 (2014年6月17日). “ロシアの宇宙ビジネス”. ユーラシア研究所. 2015年1月28日閲覧。
  12. ^ ロシア連邦宇宙庁が廃止、来年に国営宇宙開発企業「ROSKOSMOS」が誕生へ”. Sorae.jp (2015年12月31日). 2015年2月4日閲覧。
  13. ^ 各国の有人宇宙開発動向”. 宇宙航空券旧開発機構 (2010年4月30日). 2012年7月25日閲覧。
  14. ^ 「有人計画偏重から実利重視へ」、ロシア宇宙庁長官”. AFP (2011年8月14日). 2012年7月25日閲覧。
  15. ^ ロシア、今年の宇宙開発予算は3100億円に”. Klug (2011年1月12日). 2012年7月25日閲覧。
  16. ^ 露、極東部隊に対空ミサイルS400を配備”. CRIonline (2011年2月19日). 2012年7月25日閲覧。
  17. ^ 新S-400型ミサイル 実験の第一段階に成功”. The Voice of Russia (2011年2月18日). 2012年7月25日閲覧。
  18. ^ ロシア参謀総長、東欧軍備めぐり欧米を非難”. AFPBBNews (2007年12月15日). 2012年8月19日閲覧。
  19. ^ 米、東欧MD中止 対露核軍縮 年内合意に道”. 中国新聞 (2009年9月18日). 2012年8月19日閲覧。
  20. ^ シャトル引退で宇宙を独占するロシア、飛行士運賃を大幅値上げ”. TheWallStreetJournal (2011年7月7日). 2012年7月25日閲覧。
  21. ^ ロシアのソユーズ、仏領ギアナから初の打ち上げ”. 朝日新聞社 (2011年10月21日). 2012年7月25日閲覧。
  22. ^ インド、グロナスの利用でロシアの重要パートナーになるかも知れない”. ノーボスチ通信社 (2011年11月11日). 2012年7月25日閲覧。
  23. ^ ロシア インドのグロナスへの関心に期待”. The Voice of Russia (2011年11月10日). 2012年7月25日閲覧。


「ロシアの宇宙開発」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ロシアの宇宙開発」の関連用語

ロシアの宇宙開発のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ロシアの宇宙開発のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのロシアの宇宙開発 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS