ルクレツィア・ボルジア (オペラ) あらすじ

ルクレツィア・ボルジア (オペラ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/05 07:40 UTC 版)

あらすじ

プロローグ:ヴェネツィア、グリマーニ館のテラス。夜
ヴェネツィア共和国の大使として、フェラーラ公国に赴任することになったグリマーニに随行するジェンナーロら若者たちが宴に招かれ、やってくる。彼らがフェラーラ公妃ルクレツィアの噂を始めると、オルシーニはボルジア家の恐ろしさを話し出す(アリア「リミニの戦いで」)。そのような中、1人居眠りをし始めるジェンナーロ。他の仲間が立ち去ると、ゴンドラが現れ、仮面をつけたルクレツィアが降りる。彼女は、ジェンナーロの寝顔に見入る(ロマンス「なんと美しい!」)。この様子を、ルクレツィアの夫フェラーラ公アルフォンソの密偵が見張っている。彼女がジェンナーロの手にそっとキスをすると、彼は目を覚ます。見知らぬ高貴な女性に驚くジェンナーロは、自分の身の上を語って聞かせる(アリア「卑しい漁師の息子と信じてきたが」)。ある日突然、見知らぬ騎士が一通の手紙を持ってきて、彼の母は高貴な女性であること、しかし政治的事情からその名を明かせないと書かれていた。ルクレツィアは、その話からジェンナーロがかつて手放した我が子であると悟る。その時、オルシーニたちが戻ってきて、彼女をルクレツィア・ボルジアを見破る。彼らは、ボルジア家によって親族を殺されたことを口々に恨み、ルクレツィアを悪徳の女と侮辱する(六重唱「シニョーラ、マッフィオ・オルシーニです。あなたに兄弟を殺された」)。ルクレツィアは、取り乱しその場を去っていく。
第1幕第1場:フェラーラの広場
ルクレツィアの夫であるアルフォンソ公は、ジェンナーロがルクレツィアの愛人であると疑っている。公は、部下のルスティゲッロにジェンナーロの殺害を命令する(大アリア「来たれ、我が復讐よ」)。公が立ち去るとオルシーニ、ジェンナーロらがやってくる。オルシーニらは、ルクレツィアの色香にやられたのかとジェンナーロをからかう。ジェンナーロは怒り、公の宮殿の壁に書かれた「ボルジア」(Borgia)の紋章に駆け寄り、短剣で紋章の「B」の文字を切り取り、「Orgia」(オルギア)として、ボルジア家を侮辱する。しかし、人の気配に全員が逃げる。公の部下と公妃の部下が共にジェンナーロを捕えに来る。双方はしばし争うが、公の部下が勝ち、彼らはジェンナーロの家に押し入る。
第1幕第2場:大公宮殿の一室
ルスティゲッロが、大公にジェンナーロを捕えたことを報告する。そこへルクレツィアが現れ、ボルジア家の紋章を侮辱した者がいるので、その人物を死刑にするよう求める。公は必ず死刑にすると約束するが、現れた犯人がジェンナーロと知るやルクレツィアは、全員を下がらせ、ジェンナーロの助命を乞う(二重唱「2人だけになったぞ」)。公は、そなたが愛する男を許すことができぬと拒否すると、ルクレツィアは怒る。残酷な公は、処刑の方法を選ばせてやるとルクレツィアに言い、彼女は毒殺することに決める。再びジェンナーロが呼ばれ、今回に限り罪を赦すと告げられる。ジェンナーロは、そのことをかつて公の父を戦場で救ったからだと解釈する。公はワインを用意させ彼に勧める。彼がワインを飲み干すと、後は2人で別れを惜しめと皮肉を言い、立ち去る。2人っきりになるとルクレツィアは、今のワインには毒が入っているのですぐにこの毒消しを飲むように小瓶を渡す。ジェンナーロは、かえってこの小瓶が毒ではないかと疑うが、彼女の懇願を受けてその薬を飲み干す。ルクレツィアは、彼にフェラーラを逃れるよう指示し、秘密の扉から逃がす。
第2幕第1場:ジェンナーロの家の中庭
公の部下たちが、ジェンナーロが生きているのを発見し、再度暗殺をと囁きあう。そこにオルシーニが現れ、ネグローニ館での宴会に誘う。しかし、ジェンナーロは公の宮殿での出来事を話し、危険だから逃げると言う。オルシーニは、2人は生きるも死ぬも一緒と誓ったと、彼を強引にネグローニ館へ連れて行く。この様子を見ていた公の部下たちは、ネグローニ館に行くなら罠にかかったも同然と追跡を止める。
第2幕第2場:ネグローニ館の大広間
華やかな宴会の中、オルシーニが乾杯の歌を歌う(乾杯の歌「幸せでいるための秘密」)。しかし、酔った参加者が喧嘩を始めるので、女性たちは逃げ去る。その場に残るのは、ジェンナーロとオルシーニら友人たち6名、そしてルクレツィアの部下グベッタだけである。グベッタは、ヴェネツィアでの出来事は忘れようと語り、6名にシラクサの酒を勧めるが、自分だけ飲むふりをして酒をこぼす。不審に思ったジェンナーロが怪しむが、オルシーニは気にするなと言う。宴が佳境に入ると、突如不気味な声と鐘の音が聞こえ、明かりが消える。その時、広間の扉が開き、ルクレツィアが入ってくる。彼女は、一同に今夜の宴はヴェネツィアでの侮辱のお礼で、酒には毒が盛られていて、もう死体を包む布を5枚用意してあると告げる。そこへジェンナーロが6枚要ると言って現れる。驚くルクレツィアは、他の5名を衛兵に連れ去らせ、ジェンナーロに解毒剤を飲むよう懇願する。しかし、彼は解毒剤が1人分しかないことを知ると、友を死なせて自分だけ生き残ることを拒否する。怒りでルクレツィアに斬りかかろうとするジェンナーロに対し、彼女は思い余って、お前もボルジア家の血を受けた者と言う。彼は自分がルクレツィアに迫害された他のボルジア家の女の息子と思い、かえって彼女を責める。ついに彼女は自分こそ実の母であると告白するが、時既に遅く、毒が回りジェンナーロは死ぬ。そこへアルフォンソ公が宮廷の人々を従え現れる。驚く人々に、ルクレツィアはジェンナーロが実の息子だったことを告白し、倒れる(カヴァレッタ「この若者は私の息子でした」)。

  1. ^ Ashbrook, Le opere, pp. 309-10
  2. ^ Mancini, Roland; Jean-Jacques Rouveroux (1986), Le guide de l'opéra, Paris: Fayard.
  3. ^ Lucrezia Borgia: English National Opera, 31 January 2011
  4. ^ Ashbrook and Hibberd, p. 234
  5. ^ この裁判の経緯については、ヴァルター著・小山田訳『オペラハウスは狂気の館 19世紀オペラの社会史』p297-301に詳述
  6. ^ アルファベット表記、訳は永竹『オペラ名曲百科 上 増補版 イタリア・フランス・スペイン・ブラジル編』p.172-173より
  7. ^ Source for recording information: operadis-opera-discography.org.uk





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