ラド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/22 17:49 UTC 版)
rad | |
---|---|
記号 | rad または rd [注 1] |
度量衡 | メートル法 |
系 | 非SI単位 |
SI | 0.01 Gy |
定義 | 物質 1 kg あたり放射線エネルギー 0.01 J を与える吸収線量 |
由来 | ネズミを殺すのに必要なX線の吸収線量 |
語源 | radiation または radiation absorbed dose |
位置づけ
ラドは、国際単位系国際文書(2019年版)では、全く言及されていない単位である。日本の計量法においては、法定計量単位となっているが、SI単位であるグレイ (Gy)を使う方がよい[1]。 米国のNISTのSP811は、ラド、キュリー(en:curie)、レントゲン(en:roentgen)、レム(en:rem)の使用を避けるように強く("strongly discouraged")呼びかけている[2]。
単位記号
ラドの単位記号は、rad である。しかし角度の単位であるラジアンの単位記号 rad と同一であるので、紛らわしい場合は、rad に替えて rd を使うことができるとされていた[3]。
定義
計量法でも国際単位系 (SI) でも、ラドの定義は、グレイの1/100 である[4]。グレイの定義は、「電離放射線の照射により物質1 kg につき1 J の仕事に相当するエネルギーが与えられるときの吸収線量」[5]であるから、ラドは「電離放射線の照射により物質1キログラム (kg) につき0.01ジュール (J) の仕事に相当するエネルギーが与えられるときの吸収線量」ということになる。
SI(MKS単位系)でもCGS単位系でも半端な係数が現れるのは、ネズミを殺すのに必要なX線の吸収線量として定義されたからである。1918年に S. Russ が定義した。しかし、実際にネズミを殺すには1 rad ではまったく足りない。
日常的に浴びる線量としては量が大きいため、ミリラド (mrad) やマイクロラド (µrad) がよく使われる。
計量法における位置付け
計量法では、放射能の計量単位である、キュリー、ラド、レントゲン、レムの4単位を現在でも法定計量単位として認めている。ただし、これらの単位は計量制度審議会の資料(2005年)において、「暫定的使用」する単位として位置づけられている[6]。
番号 | 物象の状態の量 | 計量単位(非SI単位) | SI単位 |
---|---|---|---|
64 | 放射能 | キュリー(Ci) | ベクレル(Bq) |
65 | 吸収線量 | ラド(rad) | グレイ(Gy) |
69 | 照射線量 | レントゲン(R) | クーロン毎キログラム(C/kg) |
71 | 線量当量 | レム(rem) | シーベルト(Sv) |
番号は計量法第2条第1項第1号における物象の状態の量の列挙順の番号である。
脚注
注釈
- ^ 本文を参照。
出典
- ^ 平凡社大百科事典(第15巻:ユエ-ワン)、p.399、「ラド」の項、執筆者は山下幹雄、1985-06-28初版、平凡社
- ^ NIST SP811 p.10, Chapter5.2, NIST
- ^ SI Brochure(1991) p.80, Table 10 note h
- ^ 計量単位令 別表第1、項番58、ラドの項、「グレイの百分の一」
- ^ 計量単位令 別表第1、項番58、グレイの項、「電離放射線の照射により物質一キログラムにつき一ジュールの仕事に相当するエネルギーが与えられるときの吸収線量」
- ^ 単位について p.20、(参考)法定計量単位とSI(国際単位系 )との関係 一覧表 項番57,58,62,63,64,65、2005年度第1回 計量行政審議会 開催資料 資料4(12)、経済産業省 計量行政審議会、2005-07-26
ラドと同じ種類の言葉
「ラド」に関係したコラム
-
株価指数は、証券取引所に上場している銘柄を一定の基準で選出し、それらの銘柄の株価を一定の計算方法で算出したものです。例えば、日本の株価指数の日経平均株価(日経平均、日経225)は、東京証券取引所(東証...
- >> 「ラド」を含む用語の索引
- ラドのページへのリンク