モバイルWiMAX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 04:22 UTC 版)
この規格は、固定式、又はほとんど移動しない用途での無線ネットワーク・システムの規格であるWiMAXが元となって策定されたため、主要な部分が同一である。以下では両規格の差異と、出来る限りモバイルWiMAXの独自の点に関して示すものとする。
特徴
- 高速通信
- モバイルWiMAXの伝送速度は75Mbpsとされ、例えば同様の用途として2009年初頭現在、日本で最大伝送速度を持つHSDPAでサービスされている7.2Mbps又は14.4Mbpsやその規格上限の28.0Mbpsと比較すると、モバイルWiMAXは規格上はかなり上回っている。2009年夏から提供されている日本での商用サービス(UQコミュニケーションズ)では下りを40Mbpsとしている[1]。
- 比較的広いセル
- 無線通信によるコンピュータ・ネットワークであるモバイルWiMAXは、規格上の通信距離が1 - 3kmとされる。また、固定用途に限定すれば「WiMAX」(IEEE 802.16-2004)という兄弟規格があり、それは移動通信には向かないものの通信距離が2 - 10kmとされて無線MANや無線WANに相当する。モバイルWiMAXは、1つの無線基地局がカバーするサービスエリアであるセルの範囲は1km程度(UQの場合、都市部は750m以下で設計)となると考えられている。
- 高速移動体に対応
- IEEE 802.16eの規格では120km/hの移動速度でもセクター間のハンドオーバーが可能となっている。実際の試験では200km/hでの移動でも支障は生じなかった[要出典]。
- 常時接続
- LANのように常時接続を前提としたサービスが想定されており、ダイヤルアップ接続のようなわずらわしさがない。このため、企業内のPCをシンクライアントにすることで外出先にそのまま持ち出して事務・作業などを行える可能性がある。
- 世界標準規格
- 日本では携帯電話会社が個別の規格による携帯無線機本体の乱立を招いたため、ユーザーが他社へ携帯サービスを移行するには電話機を買い換えねばならないことが普通だった。また、海外での使用にも2Gの頃には日本だけが独自規格のPDC方式で、3G移行後もSIMカードロックによる制約があるなど、利用上の不便が付きまとっていた。世界標準規格に対応すれば、こういった問題は生じないと同時に、開発コスト低減や量産効果、各社の競争によって電話機(通話端末)や無線ターミナル(端末)の価格が安く出来ると期待される[2]。
用途
- ノートPC類、多機能携帯電話機、スマートフォン、携帯情報端末、など
- シンクライアントPC
- カーナビ
- 家庭用ゲーム機
- デジタル家電製品
- 医療機器
- テレメトリング
- デジタルサイネージ
- クレジットカード決済システム[2]
- ^ WiMAXとは?|
- ^ a b c d e f g h i j k l m ボイスワーク著 『WiMAXがわかる』 技術評論社 2008年9月10日初版第1冊発行 ISBN 9784774135625
- ^ ダイバーシチとも。
- ^ インプレス社のページ - ハンドオーバーと誤り訂正、アンテナ技術の不明な点で参照した。
- ^ 『無線LANはどこまで速くなったか』「日経NETWORK」2004年9月号 日経BP社
- ^ “IEEE Std 802.16m: Publication History” (英語). IEEE 802.org 2015年1月18日閲覧。
- ^ “UQ野坂社長「事実上の4G」、WiMAXの魅力をアピール”. ケータイ Watch. (2010年7月15日)
- ^ “次世代サービス「WiMAX 2+(「ワイマックスツープラス」仮称)」について”. UQ コミュニケーションズ (2013年7月29日). 2013年7月30日閲覧。
- ^ “2.5GHz帯新規周波数割当てに伴うWiMAX 2+サービスの提供開始について -1Gbpsを超える高速モバイル通信の実現に向けて-”. UQ コミュニケーションズ (2013年7月29日). 2013年7月30日閲覧。
- ^ “世界初、4×4 MIMO対応Wi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT WX01」の発売について”. UQ コミュニケーションズ. 2015年1月18日閲覧。
- ^ “受信最大220Mbps!「WiMAX 2+ キャリアアグリゲーション」、「4G LTE」に対応した超快適モバイルルータ「Speed Wi-Fi NEXT W01」が登場 - 2015年”. KDDI株式会社. 2015年1月18日閲覧。
- ^ “速報:UQ WiMAX 2+ 発表会。下り220Mbpsの ヤ倍速、容量無制限うたう ギガ放題、新ルータなど発表”. Engadget Japanese. 2020年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月18日閲覧。
- ^ “「通信料は“入口課金”から“出口課金”へ」--UQ野坂社長 -”. CNET Japan (2011年5月27日). 2013年7月30日閲覧。
- ^ “UQ WiMAX 2+は440Mbpsに高速化へ。CAと4×4MIMO同時利用。2020年には1Gbps目指す - Engadget Japanese”. 2020年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月18日閲覧。
- ^ 若杉紀彦 (2009年7月3日). “「アイ・オーのモバイルWiMAXアダプタを試す”. PC Watch (インプレス社)
- ^ “超速モバイルネット「WiMAX 2+」の提供開始および取扱MVNOについて”. UQコミュニケーションズ. (2013年10月30日)
- ^ “「Speed Wi-Fi NEXT W01」の下り最大220Mbps対応について”. UQコミュニケーションズ. (2015年3月19日)
- ^ Brad Reed (2008年9月29日). “Sprint WiMAX service now online in Baltimore” (English). Network World. 2013年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月21日閲覧。
- ^ “FAQs about the WiMax network shutdown” (English). Sprint.com (2015年9月23日). 2015年10月16日閲覧。
- 1 モバイルWiMAXとは
- 2 モバイルWiMAXの概要
- 3 3.5G vs. 3.9G
- 4 実用例
- 5 関連項目
- モバイルWiMAXのページへのリンク