ホットケーキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/15 06:35 UTC 版)
概説
英語圏では広く「パンケーキ(pancake)」と呼び、イギリス風では膨張剤を入れない薄めの、クレープに近いものを指すが、アメリカ風ではメープルシロップなどをかけた厚めのものを指し、これを「ホットケーキ(hotcake)」などと呼ぶ[1][2][3]。パンケーキの名前はパン(ポルトガル語: pão)ではなく、平鍋(パン、フライパンなど)で簡単に焼いて作る製法に由来する。速成パン、膨化食品の一種。
ホットケーキという名称の由来については諸説あり、ホットプレートで焼いていた事からパンケーキではなくホットケーキと言われるという説や、日本でホットケーキミックスを発売した社長[誰?]が「温かいケーキだからホットケーキ」と名づけたことが始まりという説などがある。
また、日本国外ではお好み焼きもパンケーキの一種として認識されることがある(英語版Okonomiyakiページ参照)。
調理・食べ方
小麦粉に鶏卵、砂糖、牛乳または水、ベーキングパウダーを加えた生地を用いるのが基本で、日本では菓子のような甘めの配合が主流。塩やバターなどの油脂を加える例もある。
ホットケーキ用に小麦粉、砂糖、膨張剤などが配合された商品ホットケーキミックス、パンケーキミックスが、菓子メーカーや製粉会社から各種販売されている。基本的には、卵と適量の水または牛乳を入れ、混ぜることで、生地がすぐに出来上がる。このホットケーキミックスは、添加する材料や分量、調理手順を変更することで、生地の配合が類似するドーナツ、クレープ、スポンジケーキなどの材料として流用することも可能である。
生地にココア、チョコレート、果物や他の穀粉(小麦粉の全粒粉、蕎麦粉、はったい粉、オートミールなど)を混ぜて味や食感に変化をつけることもできる。バニラオイルを数滴加えることで香りがよくなる。
ホットケーキを焼く際には、生地の表面が先に焼けると内部に火が通りにくくなるため、生地を流し込む前に、加熱したフライパンを濡れ布巾の上に置いて少し冷ますのがコツとされる。また、ホットプレートで焼く場合は、設定温度を180度にして焼けばきれいにふんわり焼ける。
液状にした生地を模様のようにホットプレート上に流して先に焼くなどして、焦げや焼き色の違いで絵を描く楽しみ方もある[4]。
焼き上げられたホットケーキは、冷凍食品としても出回っている。
バター・マーガリンやメープルシロップ、キャラメルソース、蜂蜜、ホイップクリーム、チョコレートソースなどをかけて食べることが多い。多くの国や地域ではソーセージ・ベーコン・豆類やスープとともに朝食とすることが多い。日本ではおやつとして供されることが多く、甘味喫茶などではアイスクリーム、チョコレートクリームや果物を乗せたメニューも一般的である。ファーストフードやファミリーレストランの朝食メニューとしても定着している。手軽に焼けるため、アウトドアでもおやつや主食として焼くことも多い。
フライパンやホットプレートで焼く代わりに炊飯器でホットケーキを「炊く」という方法もある。生地を入れて炊飯スイッチを入れるだけで簡単に出来上がる。ただし、量が多過ぎると火が通りきらず、中が生焼けになる。炊飯終了後に生地の中心に竹串などを刺し、串に生地が付着していれば生焼けになっている。もし、生焼けになった際にはもう一度炊くとよい。焼きあがったものはホットケーキよりはスポンジケーキに近い感じに仕上がるため、そのままケーキにすることも可能である。
歴史
粉と水、燃料、パンケーキを焼く金属製や石製の表面があれば簡単に作れるため、その歴史は古代エジプトまで遡るといわれる。古代エジプトでは人々の健康と幸福を祈り、神への捧げ物として作られていた。
英語圏では古くから脂の火曜日(灰の水曜日の前日)にパンケーキを焼いて食べる習慣があるため、この日をパンケーキの火曜日と呼ぶ習慣がある(Shrove Tuesday参照)。フランスとカナダの旧フランス領では主の迎接祭(2月2日)にクレープを焼き、ロシアでは灰の水曜日の前のマースレニッツァ(バター週間)にブリヌイ(薄いクレープやパンケーキに類似するロシア料理の1つ)を焼いて食べるなど、ヨーロッパでは早春の行事にパンケーキが関係していることが多い。
フィンランドではキリスト教の断食の前日により、パンケーキと豆のスープを木曜日に食べる習慣が一部にある。
アメリカ英語の慣用句「Selling like hotcakes(ホットケーキのように売れる)」は、「飛ぶように売れる」の意味である。
日本におけるホットケーキの歴史は日本のホットケーキのセクションを参照の事。
- ^ “Pancake Day”. LearnEnglish. British Council. 2019年10月2日閲覧。
- ^ “hotcake”. Collins English Dictionary. HarperCollins. 2019年10月1日閲覧。
- ^ Darra Goldstein (2005), The Oxford Companion to Sugar and Sweets, Oxford University Press, p. 500
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- ^ “1月25日「ホットケーキの日 体温実証実験」を旭川市で実施!”. 森永製菓株式会社. 2018年12月26日閲覧。
- ^ “イースター前の風習!欧米で広がる「パンケーキの日」を解説”. Cosmopolitan. 2022年1月22日閲覧。
- ^ “今年は2月16日!知っているようで知らない パンケーキ・デーの5つの豆知識”. 英国ニュースダイジェスト. 2021年1月11日閲覧。
- ^ a b c d “パンケーキがホットケーキになるまで”. PANCAKE QUEST (2018年7月8日). 2022年4月7日閲覧。
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- ^ “なるほどそこか…!「パンケーキとホットケーキ」の違い、知ってた?”. macaroni (2019年9月30日). 2022年4月7日閲覧。
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- ^ “カステラ1番「文明堂カフェ」の『焼立て “三笠” パンケーキ』はあなたのパンケーキ像を粉砕するほどに激ウマ1番だぞォォォオオ! 東京・日本橋”. RocketNews24 (2016年2月21日). 2022年4月9日閲覧。
- ^ 蛋巻皇后香港経済新聞(2013年5月16日)2020年2月23日閲覧
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