ビルボード
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日本におけるビルボード
日本では1970年、ビルボードと提携した[6] 音楽業界誌ミュージック・ラボ(ビルボード・ジャパン・ミュージック・ラボ)が創刊した(1994年に休刊)。創刊号(1970年8月24日号)のシングルチャート1位は岸洋子の「希望」、休刊号(通巻1189号、1994年2月28日号)のシングルチャート1位はB'zの「Don't Leave Me」。
その後、2006年に阪神コンテンツリンクとの提携を行い[7]、2007年夏にBillboard JAPANとして本格的に進出を開始。ライブハウスの開業や公式着うたサイトの開設を行った。2008年2月28日からは日本版チャートの公開を開始した[8]。アメリカ国外でビルボードの名を冠したチャートを発表する国は、カナダ(2007年6月7日開始)に続いて世界で2ヶ国目。
日本版Billboard Hot 100にあたるBillboard Japan Hot 100も公開されており、本家同様多様な音楽の視聴スタイルを反映した複合チャートが特徴である。同じ複数の指標で構成される米国Hot 100との違いは、カラオケ指標の有無のみとなっている。
ストリーミング再生回数の不正問題
自分の好きなアーティストを一位にするために、ファンによるストリーミング再生回数のフェイクプレイや音楽総攻と呼ばれる不正工作が問題となっており、2018年10月に米メディアのバズフィードは、これらのキャンペーンが高度化すればするほど、ビルボードチャートの信頼性を損なう恐れがあると警告した。当初は米国国内での現象だったが、その後SNSを利用して海外にもその手法が輸出されていることに懸念を表明している。ペンシルベニア大学のピーター・フェーダー教授もファンによる再生回数の水増し工作が続けば、「ビルボードチャートは破綻に追い込まれるだろう」と警告している。記事ではチャート不正の例として、韓国の音楽グループBTS(防弾少年団)のファンである「BTSアーミー」による戦略を挙げている。ただK-POPアイドルのCDにはグッズ特典が付く場合が多く、前述のBTSも2020年にアメリカ年間フィジカルセールス一位となっているなど、ザ・ウィークエンドなど、他のアーティストと比べてストリーミングによる比率がかなり低いとの反論も出ている。韓国ではファンによる音楽ランキングのチャート不正が相次いでおり、同国の国家行政機関である文化体育観光部が調査に乗り出すこととなった[9][10][11]。
2018年11月、韓国アイドルグループEXOの元メンバーで、中国系歌手クリスの中国在住のファンによるiTunesチャートの不正疑惑を海外メディアから指摘され、彼のアルバム「Antares」はiTunesチャート分のみ適用を除外された[12][13][14]。
2020年5月、ラッパーの6ix9ine(シックスナイン)が、アリアナ・グランデとジャスティン・ビーバーのコラボ曲「スタック・ウィズ・ユー」は金銭で1位を買ったものであると主張し論争になった。同日に6ix9ineもシングル「グーバ」を発売し3位を記録していたが、「彼らはチャートの締日に6枚のクレジットカードで3万曲を購入した」「自分の曲のストリーミングが少なくカウントされている」などと不正を訴えた。これに対し、ジャスティンは「グローバルでなく、国内のストリーミングのみカウントすべきだ」と反論し、アリアナも「私たちのファンがこの曲を購入しているし、1枚のクレジットカードで4曲までカウントされる(ビルボードの)ルールになっているわ」などと追随した。ビルボードも「6枚のクレジットカードという主張は間違っており、彼が言及したカウントは我々が提供したものではない」との声明を直ちに発表した[15][16]。
2020年8月、BTSファンによるツイッターのアカウントが、デジタルシングル「Dynamite」の音源消費や募金などのマニュアルの投稿をリリース前に共有していた。このような動きは他のK-POPアイドルのファンの間でも見受けられ、専門家らは「他の歌手にも被害を与える操作行為だ」とし、「今後K-POPのイメージに打撃を与え、ビルボードチャートの公信力にまで影響を与えることができる」と懸念を示している。評論家のイ・デファは「(韓国の大手配信サービスの)メロンチャートが買い占めと便法、広報問題で信頼性が墜落したように、ビルボードチャートも同じ道を進みかねない」と指摘した。(ちなみに、現在メロンはチャートの集計方法を変更している[17]。)評論家のキム・ユンハは「(韓国の国威宣揚という名分に酔って)暗黙的に助長した歌謡芸能事務所、音源プラットフォーム、韓国メディアも責任から自由でない」と指摘した[18]。
脚注
出典
- ^ Billboard 19 Dec 1970
- ^ 米ビルボード、世界200以上の地域のストリーミングとダウンロードに基づいたグローバル・チャート発足、Biiboard JAPAN、2020年9月15日。
- ^ 米ビルボードの新グローバル・チャートにおける地域ごとの割合を分析 J-POPは何曲チャート・イン?、Biiboard JAPAN、2020年9月17日。
- ^ 【ビルボード最新ニュース】Ne-Yoのシングル、アルバムの効果でチャート上昇! 株式会社まぐまぐ 2007年5月12日配信
- ^ 【ビルボード最新ニュース】Chris Brownが9月にニューアルバム『Exclusive』をリリース!先行シングルは「Wall To Wall」に決定! 株式会社まぐまぐ 2007年5月19日配信
- ^ TALKへ行きたい 第70回(1/3) 作家・音楽プロデューサー・NPO法人ミュージックソムリエ協会 会長佐藤 剛さん、CDV-NET、2016.10。
- ^ “阪神、ビルボードと提携 ライブハウスを来夏開業”. 共同通信 (2006年9月14日). 2013年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月15日閲覧。
- ^ “日本版ビルボードチャート始まる オンエア数も加味”. 朝日新聞社. 2008年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月15日閲覧。
- ^ “大好きなアーティストを1位に ストリーミング回数を操作する熱狂的ファンたち”. BuzzFeed. (2018年10月28日) 2018年11月11日閲覧。
- ^ “防弾少年団(BTS)全米1位獲得は“チャート不正操作”だった? 空前の快挙があぶり出した「K-POPの闇」”. excite.ニュース. (2018年9月30日) 2018年11月11日閲覧。
- ^ “Fans Are Spoofing Spotify With "Fake Plays," And That's A Problem For Music Charts” (英語). BuzzFeed News. (2018年9月13日) 2018年11月11日閲覧。
- ^ “クリス・ウー、ソロ・デビューAL収録曲が米iTunesチャート上位を独占するもニールセンが調査中”. billboard JAPAN. (2018年11月9日) 2018年11月11日閲覧。
- ^ “Kris Wu’s Album ‘Antares’ Debuts at No. 100 on Billboard Chart Amid Sales Controversy” (英語). Variety (2018年11月14日). 2018年11月14日閲覧。
- ^ “KRIS(元EXO)に米iTunesチャートの順位操作疑惑…不正行為と見なされビルボード順位から除外”. WoW!Korea. (2018年11月8日) 2018年11月11日閲覧。
- ^ “アリアナ&ジャスティン、全米No.1デビュー獲得を感謝/チャート不正をきっぱり否定”. billboard JAPAN. (2020年5月19日) 2020年9月2日閲覧。
- ^ “Ariana Grande, Justin Bieber respond to Tekashi 6ix9ine's claim they stole top chart spot” (英語). NBCNews. (2020年5月19日) 2020年9月2日閲覧。
- ^ “韓国大手配信サービス Melon、リアルタイムチャート廃止 ファンによる過剰な“スミン”行為の影響を解説”. Real Sound. (2020年7月14日) 2020年9月2日閲覧。
- ^ “「音源総攻撃」Kポップの危険な影”. 東亜日報 (2020年8月31日). 2020年9月2日閲覧。
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