ビデオカード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/09 02:21 UTC 版)
ビデオカードのメリットとデメリット
メリット
- 描画性能の向上とスケーラビリティ(システムの電源容量が許す限りの高性能な製品を選択して搭載できるほか、マルチGPU構成にもできる[10])
- システム性能の向上[11]
- マルチモニター機能などの対応
- 保守性の向上
- CPUの負荷が軽減される(グラフィック描画の処理がCPUから外れる)
デメリット
- 消費電力の増加(電気代などのランニングコストだけでなく、電源ユニットも比較的高額な高出力タイプが求められる)
- 占有スペースの増加(ハイエンドのビデオカードは大型化する傾向があり、Micro-ATX規格などの省スペースPCでは搭載できない)
- 排熱の増加(十分なエアフローや冷却性能が確保できない場合はオーバーヒートしてしまうこともある)
- 接続部位の増加による信頼性の低下
- 隣接PCI Express等のスロットへの圧迫(厚みの大きいビデオカードを挿入することで隣接スロットで挿入できるスペースが取られ、物理的に使用不可となるケースが多い)
なお、GPUはCPUと比較して価格・コストの割には性能および機能水準陳腐化のペースが速く、グラフィック処理の性能や機能を求められるアプリケーションソフトウェア(例:3DCGソフトウェアやCADソフトウェアのリアルタイムプレビュー用レンダラ、PCゲーム、動画加工オーサリングソフトなど)のバージョンアップに合わせ、買い替えが必要となるケースが生じやすい。オンボードGPUの場合は通例システム全体の刷新が必要になることが多いが、独立した外付けビデオカードであればカードのみを交換することで対処できる可能性がある。例えばDirectX (Direct3D) を利用する3Dゲームは、OSやハードウェアのサポート状況に合わせて、利用するDirectXのバージョンや描画品質のオプションを切り替えることができるようになっているものがあるが、最新世代の高性能なビデオカードに交換することで、描画品質や快適性の向上が見込める。
エントリーモデルのビデオカードは、ハイエンドのビデオカードほどの性能向上は見込めないものの、オンボードグラフィックスやCPU内蔵GPUでは対応していない高解像度出力機能や各種の豊富な接続インターフェイスをサポートし、性能よりも低コストで複数のモニターを利用する用途などに使われる。性能を抑えることで1スロット、ファンレス、補助電源不要など、小型化や静音性を実現した低価格モデルが提供されている[12]。
- ^ メーカーや販売店・販売代理店および時期などによって名称にばらつきがある。日本国内向けローカライズの際に「カード」が「ボード」に変更されることもある。
- ^ “Previous Generation Desktop Graphics Cards from NVIDIA Quadro” (英語). NVIDIA. 2022年9月4日閲覧。
- ^ “プロフェッショナルグラフィックスボードシリーズ - 株式会社 エルザ ジャパン”. www.elsa-jp.co.jp. 2022年9月4日閲覧。
- ^ “グラフィックスカード - GIGABYTE Japan” (英語). GIGABYTE. 2022年9月4日閲覧。
- ^ “ビデオカード - 全シリーズ|ASUS 日本”. ASUS 日本. 2022年9月4日閲覧。
- ^ “Graphics Cards | MSI Japan”. jp.msi.com. 2022年9月4日閲覧。
- ^ “MSI グラフィックボード 国内正規代理店”. 株式会社アスク. 2022年9月4日閲覧。
- ^ ASCII. “NEC、3Dグラフィックスアクセラレーターカード『TE4E』を発売”. ASCII.jp. 2022年9月4日閲覧。
- ^ たとえばDDR3とGDDR5では帯域幅におよそ10倍程度の差がある。
- ^ NVIDIA SLI/AMD CrossFire対応マザーボードと複数枚の対応グラフィックスカードを用いた分散レンダリングのほか、CUDA/OpenCL/DirectX/Vulkanのようなマルチデバイス対応APIによって分散コンピューティング・分散レンダリングを行なうこともできる。
- ^ オンボードグラフィックスやCPU内蔵GPUを用いたUMA構成の場合、システムメモリの一部がGPU用に予約・利用されることで、CPUが利用可能なメモリ空間が減少したり、GPU性能が比較的低速なメインメモリに律速されてしまったりする。外付けのビデオカード(専用VRAMを搭載するディスクリートGPU)を用いることで、これらの問題が解消され、システム全体の性能向上に寄与することがある。
- ^ 瀬文茶 (2014年10月23日). “ファンレス&長寿命、ASUSのGeForce GT 730ビデオカードをテスト ~あなたの知らない(?)ローエンドビデオカードの世界~ text by 瀬文茶”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス. 2022年3月13日閲覧。
- ^ ASCII.jp:AMD、ノートPCに外付けGPUをつなぐ技術「AMD XConnect」を発表
- ^ AMD、Thunderbolt 3経由でノートPCに外部GPUを接続する技術「XConnect」 ~再起動不要で着脱可 - PC Watch
- ^ AMD,Thunderbolt 3接続の外付けGPU技術「XConnect」を正式発表 - 4Gamer.net
- ^ GeForce RTX 30 シリーズ ノート PC - NVIDIA
- ^ Intel gains, Nvidia flat, and AMD loses graphics market share in Q1 - Comments - Press Releases
- ^ a b “日常作業や2D CADを快適に――AMDが1スロットサイズのGPU「Radeon PRO W6400」を2022年第1四半期に投入 229ドルから”. ITmedia PC USER. 2022年3月13日閲覧。
- ^ a b c ““謎の”ビデオカードメーカー「Palit」潜入レポート”. ドスパラ. 2022年3月15日閲覧。
- ^ “「GeForce GT 1030」と「Radeon RX 550」直接対決。新世代のエントリー市場向けGPUをゲーマー目線でチェックする”. 4Gamer.net. Aetas, Inc.. 2022年3月15日閲覧。
- ^ “NEC、独自の3Dエンジンを搭載した業務用ビデオカードなど”. pc.watch.impress.co.jp. 2022年9月4日閲覧。
- ^ “航空管制 | EIZO株式会社”. www.eizo.co.jp. 2022年9月4日閲覧。
- ^ NVIDIAグラフィックス カード - 概要 | 日本ヒューレット・パッカード
- ^ “AMD,メモリ容量32GBのサーバー向けGPU「FirePro S9170」を発売”. 4Gamer.net. Aetas, Inc.. 2022年3月15日閲覧。
- ^ 4Gamer.net ― [COMPUTEX]S3 Graphics,「Chrome 5400E」を製品化。デジタルサイネージ向けに事業展開開始
- ^ 元麻布春男の週刊PCホットライン
- ^ Yoichi Yamashita (2022年9月20日). “NVIDIAグラボ 北米トップのEVGA、グラボから事実上の撤退、その理由は?”. マイナビニュース. 株式会社マイナビ. 2022年9月23日閲覧。
- ^ “Sondrel Agrees to Acquire IMG Works Division of Imagination Technologies” (英語). www.sondrel.com. 2018年6月26日閲覧。
- ^ “【電子版】半導体の英イマジネーション、米ファンドに身売り アップルのGPU内製化で存続困難に”. 日刊工業新聞電子版 2018年6月26日閲覧。
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