バーチャル・リアリティ
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VRの医療面における活用
VR技術は医療面における活用の研究も始まっており、日本IBMと順天堂大学は、医療分野における仮想空間の研究を行っている。これは、患者が来院前に前もって入院、治療を体験するもので、従来の口頭による複雑な治療の説明をより分かりやすくし、患者の治療に対する理解を深めることを目的としている[28]。類似の取り組みは海外にもあり、マレーシアの病院グループであるIHHヘルスケアとインドネシアのシロアム・インターナショナル・ホスピタルズが、移動制限のある患者らのための遠隔診療の一環としてVRを用いた研究も行なっている[29]。
また、VRによる暴露療法を用いた不安障害やうつ病の改善を目的とした研究も存在する。 患者への負担や時間面、費用面などの課題がある暴露療法だが、実際に状況を用意するのではなくVRを使用することでこれらを大幅に抑えることが出来る上、画面を眺めるよりも没入感があるためより現実味のある状況再現が可能となり、治療効果が高まるとされている[30]。
VRの課題
- 子供の視神経への配慮
- 10歳未満の子供がVRデバイスを利用して斜視になった症例が、過去に一件だけ報告されている[31]。幼少期は目の筋肉や視力が発達途中で、大人よりも悪影響を及ぼしやすいとされる。ちなみに立体細胞は6歳までに形成され、瞳孔間距離については10歳ごろまでに発達するため、VRデバイスの業界標準では「対象年齢13歳以上」などと表示するなど保守的な設定となりつつある[32]。
- VR酔いとその軽減
- 詳細は「VR酔い」を参照
- 人により程度が大きく異なるが、VRを使って平気な人がいる一方でVRの映像によって「VR酔い」を起こし頭痛や吐き気を催す人がそれなりの割合いる。PlayStation VRでは健康のための注意として映像上の光の表現(光の刺激)によって痙攣や意識障害などの発作が起きることがあるとしており、頭痛、めまい、吐き気など体に不快感を感じたときはすぐに使用を中止して、治らない場合は医師に診察を受けることなどを注意をしている[33]。VR酔いはなぜ起こるのか完全な解明はされてはいないが、視覚系と前庭系の間でミスマッチが生じることではないかとされている[34]。 開発側でもこれらの問題が認識されており、不快感を軽減するため視点の移動速度やゲーム内の重力を調整するなどの対策が行われている[35]。
- 普及速度の遅さ、その理由、メーカーへの負荷
- 2016年はVR元年と言われ、VRがブームになるだろうと期待されていたのだが、VR元年から1年がたった2017年に蓋を開けてみるとVRヘッドセットの売り上げは伸び悩んでいた[36]。毎年のようにブレイク寸前といわれるも、実態が伴わない状況が続いた[37]。デジタルマーケティング調査会社のスライブ・アナリティクスが2017年3月に「VRヘッドセットの購入を考えていない」と話すインターネット利用者を対象にその理由を聞くと「値段が高くコンテンツが少ない」「乗り物酔いになりそう」などの回答があった。中でも一番多い回答が「単純に興味がない」で53%だった[38]。
- VRのようなデバイスは任天堂バーチャルボーイ、マイクロソフトKinect、立体テレビ放送と商業的に失敗したものが多い[39]。中国ではVRスタートアップの9割が倒産したと中国のメディアが報じている[40]。グーグルはスマホVRで勝負に出たが撤退した[41][42]。
- 市場調査会社のIDCのデータでは、VR/ARヘッドセット市場は2022年初頭から23年にかけて54%減少。メタのヘッドセットを購入した消費者の半数以上が、6カ月以内に使用を中止したと報告されている[43]。
VRを取り扱った作品
作品の世界観または重要な主題としてバーチャルリアリティを取り上げているもの以外は追加しないでください。 |
- 映画
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- 『13F』
- 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
- 『アヴァロン』
- 『スタートレック』のホロデッキ
- 『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』
- 『トータル・リコール』
- 『バーチャル・ウォーズ』
- 『バーチュオシティ』
- 『フリー・ガイ』
- 『マトリックス』シリーズ
- 『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』
- 『20世紀少年 (映画)』
- 『レディ・プレイヤー1』
- 『スペース・プレイヤーズ』
- 小説
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- ウィリアム・ギブソン『ニューロマンサー』『クローム襲撃』『モナリザ・オーヴァードライブ』
- 岡嶋二人『クラインの壺』
- 高畑京一郎『クリス・クロス 混沌の魔王』
- 森博嗣『すべてがFになる』 『有限と微小のパン』
- 山田悠介 『Aコース』『Fコース』
- 川原礫 『アクセル・ワールド』『ソードアート・オンライン』
- 時雨沢恵一 『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』
- アーネスト・クライン『ゲームウォーズ』
- 劉慈欣 『三体』
- 漫画
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- 寺沢武一『コブラ』(物語冒頭、ジョンソン(コブラ)は、退屈しのぎにT.M.株式会社のアミューズメントを体験する)
- 花沢健吾『ルサンチマン』
- 筒井哲也『リセット』
- 佐倉ケンイチ『ドラゴンドライブ』
- 青樹佑夜/綾峰欄人『GetBackers-奪還屋-』(エピソード「IL奪還作戦」以降、「バーチャルリアリティ」や「仮想現実」の言葉が頻繁に出てくる)
- CLAMP『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』(桜都国編)
- 冨樫義博『HUNTER×HUNTER』(グリードアイランド編)
- 浦沢直樹『20世紀少年』『21世紀少年』
- 小野敏洋『バーコードファイター』(題材となるゲームの対決はVRを利用した施設で行われる)
- ドラマ
- アニメ
- ゲーム
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- .hack//シリーズ
- 武装神姫 BATTLE MASTERS 神姫ライドシステム
- Fate/EXTRAシリーズ
- メタルギアソリッド2
- 龍騎兵団ダンザルブ
- 戯曲
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- 鴻上尚史『朝日のような夕日をつれて』(玩具会社で開発中の新製品としてバーチャル・リアリティが登場。設定上では、1991年上演でEyephones[44]、2014年上演でOculus Riftがそれぞれ使用されている)
注釈
出典
- ^ NTT docomo, ITトレンド用語、バーチャル・リアリティ
- ^ [https://www.merriam-webster.com/dictionary/virtual%20reality Merriam-Webster, virtual reality.
- ^ “米家電見本市「近未来」の仮想現実や自動運転が続々”. 産経ニュース (2022年1月5日). 2022年1月5日閲覧。
- ^ “VRとは - IT用語辞典”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ “「VR=仮想現実」ではない? VRの“第2次ブーム”で世界はどう変わる (1/3)”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ “Pygmalion's Spectacles”. Project Gutenberg. 2014年9月21日閲覧。
- ^ Sutherland, I.E.. “The Ultimate Display”. Proc. IFIP 65 (2): 506-508, 582-583.
- ^ “知覚的リアリティの科学 (2)バーチャルリアリティ――リアリティをつくり,変える技術”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ Cruz-Neira, C.; Sandin, D.J.; DeFanti, T.A. (1993). "Surround-Screen Projection-Based Virtual Reality: The Design and Implementation of the CAVE". Proceedings of SIGGRAPH '93 Computer Graphics Conference. SIGGRAPH '93 Computer Graphics Conference. ACM SIGGRAPH. pp. 135–142.
- ^ 「流行語VRをテーマに TVゲーム開発を探る NHK衛星が4夜にわたって特集番組」『ゲームマシン』(PDF)、第435号(アミューズメント通信社)、1992年10月1日、9面。2021年3月12日閲覧。
- ^ “PSVRを機に振り返るVR・立体視ゲームの歴史(その2)”. 2017年1月13日閲覧。
- ^ さよならCABINシンポジウム(2012年12月18日火)
- ^ 株式会社VRテクノセンター
- ^ COSMOS
- ^ HMDがダメだといわれた時代 - CABIN誕生
- ^ “西田宗千佳のRandomTracking 特別編:「バーチャルリアリティー」の歴史を俯瞰する 全ては1960年代から。「Oculus」の衝撃とその未来”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ “石井英男の「週刊Gear VR」(第1回): 据え置き機と遜色なし! 「GALAXY×Gear VR」で気軽に楽しめる“VR”の世界 (1/3)”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ “西田宗千佳のRandomTracking PC一体型HMDも登場。“VRに本気”のAMDが示す「スマホの次は没入感の時代」”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ “ニュースでよく見る「バーチャルリアリティ」ってどんなもの?”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ “Access Accepted第496回: VRゲーム市場は立ち上がるか?”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ プロダクション・アイジーが手がけたVR作品がベネチア国際映画祭VR部門から正式招待
- ^ REALIVE360公式サイト
- ^ “VR 酔い対策の事例”. 2016年5月11日閲覧。
- ^ “VRヘッドセットOculus Riftがまた大幅値下げ。Touchセットで5万円、半年前の半額以下”. 2020年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月12日閲覧。
- ^ “11 new PS VR2 games announced: The Dark Pictures: Switchback VR, Cities VR – Enhanced Edition, Crossfire: Sierra Squad and more” (英語). PlayStation.Blog (2022年11月2日). 2022年12月10日閲覧。
- ^ “VR eスポーツまとめ!VRのeスポーツ競技は何がある? | VR Inside”. vrinside.jp (2020年1月4日). 2022年6月26日閲覧。
- ^ “日本初!eスポーツ観戦ができるバーチャル空間「V-RAGE」アジア最高峰のeスポーツ国際大会「RAGE ASIA 2020」開催に合わせて正式ローンチ。外観や演出がアップデート!”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2022年6月26日閲覧。
- ^ “日本IBMと順天堂大学、医療メタバースで共同研究”. 日経速報ニュースアーカイブ. (2022年4月13日)
- ^ “「メタバースで病院運営」 東南アジア、遠隔医療の未来”. 日経速報ニュースアーカイブ. (2022年2月22日)
- ^ “心の不調、ゲーム・VRで治療”. 日本経済新聞. (2020年8月27日)
- ^ 不二門尚 (2012). “小児の両眼視と3D”. 日本視能訓練士協会誌 41: 19-25.
- ^ VRによる斜視リスクに“企業はどう対策しているのか”を聞いた
- ^ 健康のためのご注意
- ^ VR酔いを防ぐにはどうしたらいいのか?
- ^ サイゲームス社長・渡邊耕一氏が『M∀RS』を語る! 「いまのサイゲームスがあるのは『ANUBIS』を遊んだおかげ」 - [ファミ通]
- ^ 高価格帯VRヘッドセット、普及が足踏み
- ^ 大越章司「2022年はついにVR/AR普及の年となるのか:Mostly Harmless:オルタナティブ・ブログ」
- ^ WallS treet Journal, MIRIAM GOTTFRIED(2017年5月22日) 「VRヘッドセット、なぜ売れないのか[2] 」
- ^ 米国の大手VRメディアがVRへの3つに懸念に反論。「失敗した3Dテレビ、バーチャルボーイとは違う」 - Mogura VR News
- ^ 中国VRスタートアップの9割が倒産 中国のVR産業は崩壊するのか?
- ^ さよなら、Google――彼らは本当にVRから撤退するのか? - Mogura VR News
- ^ スマホでVRは終焉へ、グーグルはなぜ失敗したのか(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)
- ^ アップルの“新しいVRデバイス”は、新たなテクノロジーの波の到来を占う試金石になる
- ^ “【VRヒストリー】The Eyephonesの続き。超人気劇団の戯曲が描いた「VR」とは何か - VRonWEBMEDIA(ヴイアール・オン)”. 2021年4月3日閲覧。
- '^ Antonin Artaud, "The Alchemical Theater", in The Theater and its Double, trans. Mary Caroline Richards, New York: Grove Press, 1958, p. 49, emphasis in original. See also Samuel Weber, "'The Virtual Reality of Theater': Antonin Artaud", in Theatricality as Medium, New York: Fordham University Press, 2004, pp. 277-94.
- ^ Savage, Emily (2010-10-20). "Renaissance man: Berkeley resident is a musician, a Web guru and the father of virtual reality". j. the Jewish news weekly of Northern California. Archived from the original on 2011-03-06.
- ^ Appleyard, Bryan (2010-01-17). "Jaron Lanier: The father of virtual reality". The Sunday Times. Archived from the original on 2011-03-06.
- ^ a b c d 谷 卓生「VR=バーチャルリアリティーは,“仮想”現実か~“virtual”の訳語からVR の本質を考える~」
- ^ 舘 暲 (12 2005). “第10回を記念する新字(ばーちゃる)の提案”. 日本バーチャルリアリティ学会誌 10 (4): 18-19 .
- ^ “日本バーチャルリアリティ学会第11回大会 大会長挨拶”. 2007年11月24日閲覧。
- ^ バーチャルリアリティ学. 日本バーチャルリアリティ学会. (2011)
- ^ “高橋幸治のデジタルカルチャー斜め読み ― 第22回 VRが盛り上がり始めると現実に疑問を抱かざるをえない”. 2016年5月11日閲覧。
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