ディスチャージヘッドランプ 光軸調節

ディスチャージヘッドランプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/21 23:12 UTC 版)

光軸調節

光束が従来型バルブに比べて大きいので、車両の姿勢によっては対向車への眩惑も大きくなる。そのため、光軸調節の機能が付いている事が多い。ヨーロッパにおいてはディスチャージの認可にあたって、オートレベライザー(自動光軸補正機能)が要件とされた。日本でも2006年以降、レベライザー(光軸補正機能)が義務づけられた。

ランプ内から水銀を排除した水銀フリーHIDバルブ

一般的なHIDバルブには水銀が封入されているため、仕向け地によっては使用することができない(RoHSを参照)。2004年7月26日トヨタ自動車より発売されたトヨタ・ポルテにおいて世界で初めて水銀フリーディスチャージランプが採用された。開発元は小糸製作所およびフィリップス社である[4]。水銀代替物質としてヨウ化亜鉛(ZnI2)を使用している[5]。水銀フリーバルブは水銀を排して廃棄時、破損時の環境負荷を低減させただけではなく、

  • コールドスタート時の色特性が良い(水銀を使用しているバルブはコールドスタート後法令で定められた白色となるまでに15秒程度かかるが、水銀フリーバルブはスタート直後から白色の範囲に収まる)
  • 色特性の変化が小さい
  • 調光やバラスト小型化への将来対応が可能である

など水銀を使用しているバルブと比べていくつかのメリットがある。

ランプ形式は、イグナイター一体型がD3、イグナイター別体型がD4(それぞれマルチリフレクター式とプロジェクター式の設定あり)となる。

ただし、HIDバルブを点灯させるのに必要な電圧や電流は水銀を使用しているHIDバルブと差異があるため水銀フリーランプ専用の点灯システムが必要となり、電球部分のみを取り換えて既存の車両を水銀フリー化する事はできず、口金形状が異なるため単に交換はできない。また同一消費電力とした場合の光量は従来に比べて劣る傾向にある。

これらの要因から、普及する前に主流はLEDに移行していった。

その他

白熱タイプに比べて発熱量が少なく、熱で変形・劣化しうる樹脂レンズの使用も容易になる。一方、レンズに付着した雪を熱で融かす効果は若干低くなる。そのため積雪地では、ハロゲンなどの従来型の白熱タイプの方が、降雪時の視界確保には有利だとする意見もある。UVカット対応品でないと樹脂レンズや樹脂リフレクターが劣化する可能性もある。本来直近を照らすフォグランプにHIDを導入すると高い車高の車種やフォグの位置が低い場合などは、光を散乱させたり遠くまで光が届くため、対向車などへの迷惑となりかねないので設置の際は注意が必要である。ヘッドランプをハロゲンバルブなどからHIDに交換(改造)した場合、発光点が変わるため、光軸調整を行う必要がある。これらのバルブに限らず、ランプ類の交換、または変更の際、最大の効果を得、かつ他車への配慮のため、光軸調整は必須である。

国際連合欧州経済委員会 (UNECE) による自動車基準調和世界フォーラムWorld Forum for Harmonization of Vehicle Regulations:欧州諸国を中心に、日本、オーストラリアなども加盟)では、ロービームで2000ルーメン以上の光束を持つ光源を使用するヘッドランプに対して洗浄装置を装備することを規定している。ECE R99で規定されているD1、D2、D3、D4タイプを使用するディスチャージヘッドランプは、これに該当する。







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