ヅダ 劇中での活躍

ヅダ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/21 13:41 UTC 版)

劇中での活躍

『機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話が初出。かつて空中分解する欠陥を晒してコンペでザクに敗退したヅダ (EMS-04) は、4年の歳月の間に改修を重ね、新型ヅダとして完成する。型式番号「EMS-10」が与えられた新型ヅダの登場とその高性能ぶりは、ジオンのプロパガンダ放送でも喧伝される。

その最終評価試験を行うため、4機がテストパイロットのジャン・リュック・デュバル少佐とともに第603技術試験隊所属の支援艦ヨーツンヘイムに配備されるが、評価試験中に3番機はエンジンの暴走を起こして空中分解し、テストパイロットのオッチナン・シェル中尉が死亡する。原因はシェルが命令を無視して高加速を行ったことにあるとされたが、欠陥を解消したはずのヅダが改修以前の機体 (EMS-04) と同様の事故を起こしたことに、関係者は不審を抱く。折りしも地球連邦側のプロパガンダ放送でEMS-10の素性が暴露され、EMS-04から設計が変わっていないことが関係者に知れると同時に、本来なら軍上層部とツィマット社の機密事項であるはずの情報が連邦軍に筒抜けであることも明らかになる。この情報漏洩に関し、デュバルはMS開発を巡ってツィマット社とライバル関係にあるジオニック社の差し金であると主張するが、いずれにせよマルティン・プロホノウ艦長らは試験の続行が危険と判断し、試験中断の判断を下す。

その折、オデッサ作戦で地上を追われた多数の友軍がHLVで宇宙空間へ敗走してくる。彼らはより多く人員を乗せるために燃料搭載量を減らしたといわれ、大気圏を脱して以降は地球周回軌道上を漂うことしかできず、友軍による回収を待たねばならなかった。連邦軍はこの機を捉えて据え物斬りに取りかかり、HLV側も搭載していたザクJ型を放出して果敢に反撃を試みるが、J型は空間戦闘に適応した機構を持たない重力下の陸戦型であり、宇宙空間では姿勢制御もままならず、ボールを相手に満足な反撃もできないまま一方的に撃破されていく。この状況を目の当たりにしたモニク・キャディラック特務大尉は、独断で評価試験の再開を名目とした救援活動を下命する。友軍の救援を2番機と予備機に任せ、陽動に徹するデュバルの1番機はまずボール2個小隊6機のうち少なくとも4機を撃破し、加勢に現われたジム6機のうち2機をただちに撃破すると、残りのジムをHLVから引き離すべく高速機動に誘い込み、3機を空中分解に至らしめる[注 2]が、1番機もエンジンが暴走して空中分解し、デュバルも死亡する。

その後、ジオン本国から評価試験の中止と残存機のヨーツンヘイム護衛の搭載機として配備する旨の指令が伝えられたが、これは数度にわたる空中分解事故を要因とする事実上の「不採用決定通知」であり、護衛機転用の名を借りた体の良い廃棄処分でもある。しかし、最終決戦となったア・バオア・クー攻防戦にて予備機は左腕を破損したに留まり、2機とも終戦まで残存する。機体の不採用が決定した後の戦闘が、皮肉にも機体の高性能を証明する結果となった。

なお、友軍救出活動時にキャディラックが予備機のパイロットを務めたことが確認されるが、のちに彼女がヨーツンヘイムに乗艦している状態で予備機が出撃しているシーンもあることから、同艦にヒデト・ワシヤ以外にもヅダを運用するパイロットが乗艦していたと考えられる。

漫画版『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』では、友軍を救出した後、試作MSのゲム・カモフの技術試験を行なうために第603技術試験隊に配属されたエンマ・ライヒ中尉が、操縦技術を見せるために護衛機として転用されたヅダに搭乗し、戦闘を行う。

漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』では、ウドガルドの艦載機として登場する。ザメルヒルドルブ改と共に、コロニー「アイランド・イーズ」の内部へ潜入した連邦軍部隊を迎撃する。


注釈

  1. ^ 伸縮は油圧ジャッキ方式[5]
  2. ^ 残りの1機は、エンジントラブルで落伍したところを追撃してきた予備機(キャディラック搭乗)によって撃破されている。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k IGLOOウェブ出渕 2005.
  2. ^ a b ガンプラファクトリー 2005, p. 99.
  3. ^ a b c 『機動戦士ガンダム MS IGLOO 完全設定資料集』エンターブレイン、2007年5月、22-27頁。ISBN 978-4757734081
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』竹書房、2009年12月、38-45頁。ISBN 978-4812440933
  5. ^ a b c d HGUC 1/144 ヅダ』バンダイ、2006年6月、組立説明書。
  6. ^ a b c d e f 『機動戦士ガンダム MS IGLOO 完全設定資料集』エンターブレイン、2007年5月、28-33頁。ISBN 978-4757734081
  7. ^ MS開発秘録ザクI 2022.
  8. ^ トレーディングカードアーケードゲーム『ガンダムトライエイジ』ZPR-028「ヅダ(ウォルフガング専用機)」裏書より。
  9. ^ a b ガンダムエース』2014年1月号、角川書店、38頁。
  10. ^ コミックス『機動戦士ガンダム バンディエラ』6巻(小学館、2022年、ISBN 978-4-09-861295-6)の表紙に記載されている。
  11. ^ a b 機動戦士ガンダム バンディエラ』第42話
  12. ^ 機動戦士ガンダム バンディエラ』第39話
  13. ^ 機動戦士ガンダム バンディエラ』第43話
  14. ^ 機動戦士ガンダム バンディエラ』第44話
  15. ^ 機動戦士ガンダム バンディエラ』第46話


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