ジエチルアミノエチルセルロース ジエチルアミノエチルセルロースの概要

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ジエチルアミノエチルセルロースの解説 > ジエチルアミノエチルセルロースの概要 

ジエチルアミノエチルセルロース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/12 07:34 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
DEAE-Cの構造:正に帯電しているジエチルアミノエタノール基は陰イオンと結合しやすい。

種類

一般的な樹脂

一般的に販売されているDEAE-セルロースにはDE52とDE53がある[1]。セルロースのイオン交換樹脂は結合部位により結合しやすくするため強塩基性下で膨潤するが[2]、あらかじめ膨潤した状態で調製される[3]

ジエタノールアミン緩衝範囲はpH8.4-8.8であるが、DEAE-セルロースの緩衝範囲は製品によって変わる[4]

DEAE-D

DEAE-デキストラン (DEAE-D)は正に帯電したデキストランの誘導体で、ワクチンの誘導体や遺伝子治療、タンパク質の安定化、脂質異常症の予防や凝析剤などに用いられる[5]。DEAE-デキストランも動物細胞に外部からDNAを導入するのに用いられる。DEAE-デキストランは導入するDNAを含む溶液に加えられる。DEAE-デキストランは負に帯電しており、DNA分子に結合して細胞が核酸を吸収するのを促進するが、そのメカニズムはよくわかっていない。この方法は分子生物学で用いられる一時的な導入に対して有効である[6]

その他の誘導体

DEAE-セファロース英語版、DEAE-650やDEAE-セファデックス英語版クロマトグラフィーで一般的に用いられる。

イオン交換クロマトグラフィー

DEAE-セルロースは弱い陰イオン交換体である。イオン交換は微妙な電荷の違いによってタンパク質を分離するのに用いられる。他のイオン交換体と同様に、樹脂は正電荷を帯びており、負電荷をもつ分子やイオンと親和性が高い。DEAEセルロースの正電荷はプロトン化されたアミノ基に起因している。樹脂が確実にプロトン化され、正電荷を帯びているようにするため、クロマトグラフィーはアミノ基のpKaである10より2以上小さいpHで行うことが望ましい。樹脂とタンパク質の結合の強さはカラム内のpHと目的のタンパク質の等電点に大きく依存する。DEAEセルロースはほとんどのpHで一部しかイオン化しないため、弱いイオン交換樹脂であるから、DEAE-セルロースを用いた効率的なイオンクロマトグラフィーを行うにはカラム内をある特定のpHに保つ必要がある[7]。目的のタンパク質はカラム内の塩濃度が増大するか、3級アミンと結合の強さで並ぶイオンが加わったときに溶出する。塩化物イオンが樹脂に結合してタンパク質を再配置し、タンパク質がカラムを流れやすくするため、塩化ナトリウム塩化カリウムがよく使われる。安定な緩衝液を使うことでタンパク質が負電荷を失い、溶出しやすくなる。

セルロース、デキストラン、アガロースなどの不溶性高分子は内部で基質を作るため反応しにくく、ゆえにクロマトグラフィーでは強電解質を加えて強いイオン交換樹脂の誘導体に帰ることが多い。DEAE-セルロースベッドはジエチルアミノエチル鎖がセルロースD-グルコースサブユニットの酸素原子と共有結合を作っている。

関連項目


  1. ^ Whatman® anion exchange cellulose DE52”. Sigma-Aldrich. 2016年5月11日閲覧。
  2. ^ Peterson, Elbert A.; Sober, Herbert A. (1956). “Chromatography of Proteins. I. Cellulose Ion-exchange Adsorbents”. 米国化学会誌 78 (4): 751–755. doi:10.1021/ja01585a016. ISSN 0002-7863. 
  3. ^ Reuveny, S.; Silberstein, L.; Shahar, A.; Freeman, E.; Mizrahi, A. (Feb 1982). “DE-52 and DE-53 Cellulose Microcarriers: I. Growth of Primary and Established Anchorage-Dependent Cells”. In Vitro 18 (2): 92–98. doi:10.2307/20170418. 
  4. ^ DEAE and CM Bio-Gel ® A Ion Exchange Gels Instruction Manual”. Bio-Rad. 2016年5月11日閲覧。
  5. ^ DEAE-Dextran”. GE Life Sciences. Amersham Biosciences. 2016年5月11日閲覧。
  6. ^ Gulick, Tod (2003). Transfection Using DEAE-Dextran. doi:10.1002/0471143030.cb2004s19. 
  7. ^ Ninfa, Alexander (2010). Fundamental laboratory approaches for biochemistry and biotechnology. ホーボーケン: ジョン・ワイリー・アンド・サンズ. ISBN 978-0-470-08766-4 


「ジエチルアミノエチルセルロース」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ジエチルアミノエチルセルロース」の関連用語

ジエチルアミノエチルセルロースのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ジエチルアミノエチルセルロースのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのジエチルアミノエチルセルロース (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS