ジェットカー 概要

ジェットカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/18 06:12 UTC 版)

概要

ジェットカーは、日本で初めての高加減速車両である近畿日本鉄道の「ラビットカー」に次いで、日本で2番目の高加減速車両である[注釈 1]

阪神本線の普通列車は停車する駅の数が多く、また駅間距離も非常に短いため、後続の優等列車から逃げ切るために、加減速性能が高いジェットカーが採用されている。

愛称は、『従来の車両をプロペラ機に例えるならこの車両はジェット機に匹敵するぐらいの加速・減速の良さである』という比喩から名付けられた。

5001形は起動加速度4.5km/h/s(5500系、5550系、5700系は4.0km/h/s)だが、この数値は日本の鉄輪式の鉄道車両の中で阪神が唯一である[注釈 2]。減速度も日本の鉄道車両ではトップクラスであったが、こちらはJR東日本E233系電車および相鉄12000系電車に並ばれている。

阪神では、駅間が非常に短いため古くから普通用と急行用を区別して車両を運用していたが、車両の大型化に際し1950年代前半から、車両関係者・技術者や電機メーカーなどと高加減速度車両の開発を行っていた。最も路線環境に適した普通列車の専用車両を試作し、各種試験を行い量産され現在に至る(旧型車時代の普通専用車両1001形なども起動加速度3.0km/h/s、減速度3.3km/h/sと高かった)。

ジェットカーに類する高加減速車は京阪電気鉄道(京阪電車)の2000系(「スーパーカー」)、近畿日本鉄道(近鉄)の6800系(前述の「ラビットカー」)などが存在したが、いずれも沿線人口の増大に車両増備が追いつかなくなり、通常の加減速度を有する車両と併結されたり付随車を連結されるなどして高加減速運用を解除された。

阪神のみ高加減速車が生き残ったのは、元々沿線が成熟しており沿線人口の増大が緩やかであったことや、普通列車の運用本数が少なく普通専用車両の維持がしやすかったこと、本線の平均駅間距離が短いことなどが理由とされる。


  1. ^ なお、5500系、5550系、5700系と近鉄6800系(抵抗器容量増大・減速度低下工事・塗装変更実施前の原型時代)は起動加速度および減速度が同じである。
  2. ^ 磁気浮上式鉄道であれば、愛知高速交通リニモ)の100形電車が、VVVFのジェットカーとほぼ同じ起動加速度である。


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