シャワー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/15 05:18 UTC 版)
歴史
古代ギリシャには高度な水道技術があり腰掛シャワー施設が存在した[2]。一方、古代ローマに存在した共同浴場は後期になると風紀を乱しペストなど疫病の原因にもなっていると考えられるようになり、ローマ帝国の衰退とキリスト教の拡大により浴槽入浴による全身浴は悪とされ、欧米では入浴にたらいが使用されるようになった[2]。
現代的なシャワーは19世紀後半にフランスで発明された[3]。1873年頃、仏ルーアンの刑務所の外科医Françoi Merry Delabosが、囚人用に開発したものが現代のシャワーの始まりで、時間と費用を節約するのが目的だった[4]。発明されたシャワーは軍隊の施設や監獄などで使用された[3]。初期のシャワーはパイプに等間隔に穴を開けたもので、シャワーヘッドが発明されたのは1920年代のことである[5]。欧米では入浴にたらいが使用されていたが、煩わしい方法だったため、シャワーが発明されると一気に普及した[2]。
日本では1988年には朝早く起きてシャンプーをしてから通勤、通学する「朝シャン」が若い女性に流行した。このためシャンプーが手軽に短時間でできるような「ハンディシャワー」という商品が発売された。雑誌の広告欄には「服を着たままシャンプーができる」というキャッチコピーを掲げ、セーラー服姿の女子高生がシャワーを持って微笑んでいる写真が掲載されていた[6]。
シャワーノズル
台所などで食器を洗浄する際に水道の蛇口に取り付ける器具にもシャワー状の構造を有する物が搭載されており「シャワーノズル」ないし「シャワーヘッド」などという。食器洗い機やシャワートイレなど、洗浄機能が取り付けられた機器にも、こういったシャワーは組み込まれている。
こういった構造が利用されるのは、主に以下の理由による。
- 少ない水量で広い面積に湯水を当てることができる。
- 直接蛇口から噴出する湯水では勢いが命中部分中央に集中し勢いがあり過ぎるが、それを軽減できる。
- 各々を細いノズルから噴射すると、勢いをつけた状態で複数個所を同時に洗浄できる(そしてそれらは全体としてはそれほどの反動がない)。
- 細い水の流れは滴となって対象に当たり、連続した断続的衝突となって、その細かい衝撃が対象表面の汚れを効果的に取り去る。
- ^ “shower(シャワー)の意味”. goo国語辞書. 2019年12月1日閲覧。
- ^ a b c d 橋田規子「MS2-1 入浴スタイルとデザイン : -日本の入浴文化の独自性-」『人間工学』第51巻、日本人間工学会、2015年、S16-S17、doi:10.5100/jje.51.S16、ISSN 0549-4974、NAID 130005092430、2020年10月14日閲覧。
- ^ a b 森 明子「けがれ、衛生管理、あるいは癒し」 国立民族学博物館 2020年10月9日閲覧。
- ^ Dr. Merry Delabost ≪ Un demi-siecle de prison ≫, 1917
- ^ アルヴ・リトル・クルーティエ 『水と温泉の文化史』武者圭子 訳、三省堂、1996年、ISBN 4385355037、pp.152-157
- ^ 1989年発売。商品名は、「三菱モーニングハンディシャワー 朝シャンCLUB」。
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