サザエ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/28 02:58 UTC 版)
学名
サザエの学名としては、1786年に英国のジョン・ライトフットが命名した Turbo cornutus(英名Horned turban、サザエ亜属Batillus Schumacher, 1817のタイプ種)が長らく用いられていた[3]。しかし、日本の福田宏(岡山大学)の研究によれば、ライトフットが Turbo cornutus と命名したのは、日本列島・朝鮮半島に生息する棘のあるサザエではなく、中国原産の棘のないナンカイサザエであった[3]。
1848年に英国の貝類学者ロベル・オーガスタス・リーブは棘のないナンカイサザエと棘のあるサザエを同一の種として扱い[3]、シーボルトが日本で採取した棘のないサザエを Turbo japonicus と命名した。しかし、この際にリーブはモーリシャス産の棘のない別種(Turbo japonicus)と混同し、Turbo japonicus はそのままモーリシャス産の種の名称として固定された[3]。
1995年、棘のないナンカイサザエと棘のあるサザエは異なる種として識別され、棘のないナンカイサザエのほうを新種として学名 Turbo chinensis が記載された[3]。
2017年、福田宏は、Turbo cornutus は本来棘のないナンカイサザエを指しているため Turbo chinensis は Turbo cornutus に対する重複命名(新参異名)であって無効であると指摘し、1995年に新種として記載されるべきであったのは棘のあるサザエのほうであり、今まで一度も有効な学名が与えられていない未記載種であったとした[3]。福田は、これまで種の同定に問題があったため棘のあるサザエには有効な学名がなく、未記載種(新種)として扱われるべきとする論文を発表、サザエの学名として Turbo sazae を命名した[3]。
- ^ a b Hiroshi, Fukuda (2017-05-16). “Nomenclature of the horned turbans previously known as Turbo cornutus [Lightfoot], 1786 and Turbo chinensis Ozawa & Tomida, 1995 (Vetigastropoda: Trochoidea: Turbinidae) from China, Japan and Korea”. Molluscan Research (AOP). doi:10.1080/13235818.2017.1314741.
- ^ a b c フリーランス雑学ライダーズ 編 『あて字のおもしろ雑学』永岡書店、1988年、53頁。
- ^ a b c d e f g h “驚愕の新種! その名は「サザエ」 〜 250年にわたる壮大な伝言ゲーム 〜 - 国立大学法人 岡山大学”. 岡山大学. 2017年5月20日閲覧。
- ^ a b “船橋中央卸売市場「サザエ」”. 船橋市. 2009年8月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月23日閲覧。
- ^ “サザエ/軟体/市場魚貝類図鑑”. ぼうずコンニャク. 2022年7月27日閲覧。
- ^ 『食材健康大辞典』314頁
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